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気ままな女の子、タイムちゃん

眠い目に容赦なく光を注ぎ
朝だと私の手を引くきみ

のんびりしていたいのに
トタトタトタ
きみは止まらない

あれよあれよと
気がつけば玄関を開き
太陽の声に驚く私

外に出れば進むのみ
きみの指さす方は上り坂
今日も行くかと踏み出した

止まることも戻ることも
できないのだから
私は重い足で歩くのみ

なのにきみは全然ついてこないし

いい加減疲れた頃に
ちょっと腰掛ければその隙に

ずいぶん先まで
走って行っちゃう

仕方ないから私も走り
ようやく身体が温まった頃
さぁ一緒に行こうと
手を繋いだら

きみは目を擦って
瞼を閉じる

まつ毛が空の幕を引き
終わりを告げる鐘の音

否応なしに
きみをおぶって帰路につく

私はため息一雫
波紋が消えた静寂に
背中を打つはきみの鼓動

トクトクトク
時を刻む

何も変わらぬ
タイムちゃん

今日も日暮れて
月に会釈

いつものように
扉を閉める