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カフェで一杯を楽しむ感覚で観られる、映画『もうひとつのことば』

ごきげんよう。雨宮はなです。
22日(金)より池袋HUMAXシネマズで映画『もうひとつのことば』の上映がはじまりました。
最近よく見かけるのですが、1週間限定上映。
Twitterでちらちら見かけて気になっていたので、さっそく行ってきました!

※すでに公開済みの作品のため、この後はネタバレアリで進みます。
プラス、実験的に「短めの文章で」「一文ずつ区切って」「常体で」表記します。

ざっくりまとめると…

ランチ後の腹ごなしのお散歩のような。
仕事後に観に行って翌日に無理をしなくていいような。
そんなサイズと内容で気軽に楽しめた。

気軽に楽しめるけど、勝手に深堀することも楽しめちゃうわけで。

”マスク”

マスクをして話しているー英語を話しているー間は嘘をついている、「自分ではない誰かを生きている」状態。
マスクはマスクだけど、「仮面」としての役割を果たしているのがおもしろかった。
目元ではなく口元を隠す仮面、なんておもしろい。
隠されるのは、ごまかされるのは、視線ではなく言葉。

ミキ(女主人公)とケンジ(男主人公)が嘘をついていることを私たちは知っている。
でも、ワンコイン英会話カフェの参加者だって嘘をついているのかもしれない。
語られる言葉が本当なのか嘘なのか。
普段の生活でも「マスク」に隠された部分を見つめる必要があると言われているように感じた。

嘘と本音

設定では「英語で話すときは嘘をついていても良い、日本語で話すときに嘘はなし」という”ルール”。
それがとてもおもしろいなとおもった。
言語を変えるだけでキャラクターまで変えてしまうのは、たしかにゲームみたいでおもしろい。
でも、私がおもしろいと感じたのは英語で話しているときのミキだ。
彼女は嘘をついているときのほうが生き生きしていたからだ。

彼女が嘘をつく理由なんてものは映画を観ればわかること。
おもしろいのは「日本語で本音を話さない」ことにある。
これはミキだけでなく、私たちにも言えることだと思う。

日本語…母国語、自分たちがふだん使う言葉で本音を言える環境にあるだろうか?

私たちはミキと同じようなことを、日本語でマスク無しでもやってるじゃないか。
ミキに親しみを感じるのは、ミキというマスクをつけた自分が見えるからかもしれない。

言語化されない「ことば」

好きなシーンを並べてみる

画面が二つに割れて始まり、2人の人間が合流するとワンフレームになるあの瞬間。
浅草を観光するうちに景色や自分を新発見していくボブ(仮)の表情。
女性三人が集まったときの、「女たちの会話」のリアリティ。

49分という短い時間にそんなおもしろいものが整頓されているこの作品。
なかでも私が好きなのはクライマックスだ。

クライマックス、ふたりが国立競技場の前で再会を果たすシーンで悶絶した。
ミキの気持ちがその時のミキを見れば一発でわかるからだ。
なのに、嘘(強がり?かっこつけ?)でも「恋愛だと思い込もうとしてただけだった!ごめんね!」と言ってしまうケンジの阿呆よ!
もう、二人ともいとおしい。かわいい。

ミキのスタイリングについて少し思い返してみる

見逃してなければ、ミキがスカートを穿いたのもアップヘアにしたのもあのシーンだけのはずだ。
淡い色合いや柔らかさと透け感のある素材の服で、セリーヌのラゲージ風なかっちりした形のバッグ。
ハーフアップにすることはあっても、アップにすることはない。
不織布のマスクをつけている。
それがミキだった。

だから、クライマックスのミキを見たらわかるのだ。
「ああ、彼女は戦闘服で来たんだな」と。

ちょっと古いが”バッチリきめた”ってやつなんだと。
ドレスにも思えるきれいな濃い緑のワンピース(セットアップ?)にアップヘア。
バッグはいつもと同じだったか…忘れてしまったけど。
そしてマスクが布マスクに変わっていた。
その姿を見たなら気づいてやれよ!汲んでやれよ!!
あぁ、もう、オトコノコだなあ!!

そんなケンジも、Tシャツ姿になっているのだけれど。

この映画は「ことば」をキーにしている。
英語と日本語、嘘と本音。それがウリだ。
けれど、ボブの表情だったりミキの戦闘服だったり、言語化されない「ことば」があちこちにあった。
なんて丁寧に造るんだろうと思った。
きっとまだまだたくさん気づいていない、言語化されない「ことば」があるはずだ。

さいごに

1週間限定での上映で7月28日(木)までで、しかも単館上映。
なんてもったいない。
今後、じわじわと上映館が増えて欲しいなと思える作品だった。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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