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【映画本】本当にでてくる『あなたの恋がでてくる映画』

ごきげんよう。雨宮はなです。
2020年夏に出会った一冊で、非常に良い出会いだと思った本を紹介します。

二村ヒトシさんの『あなたの恋がでてくる映画』です。

イエロー、ブルー、ピンクとの出会い

ある夏の日のことです。
予定と予定の間がかなり空いた一日がありました。
スマホで映画を観ていることもできたのですが、なぜかそのときの私は無性に読書がしたかったのでした。

であれば、本を手に入れよう…と足を運んだのは、有楽町の交通会館に入っている三省堂書店さん。
普段であればエッセイやハウツー本の棚をうろつくのですが、私は迷わず検索機に向かい、お目当てのジャンルが置いてある棚の位置を確認。
店内2階の奥へ向かいました。
そう、「映画」の棚です。
あまり多くは無かったものの、観たことのない背表紙が並ぶそこにこの本はいました。

とても映画本らしくない、柔らかいクリームイエローと水色。
そして帯部分にあるピンクで書かれた「AV監督による恋愛映画論」の文字。
迷わず手に取り、いそいそとレジで会計を済ませました。

解説と解釈とチョイス

読んでみて驚いたのは、表現の上手さでした。
偉そうじゃない、押しつけがましくない、ちゃんとわかる、読みやすい。
でも、ばかっぽくないし、いろんなものが刺激される。
そんな上手な文章で映画を解説しつつ、解釈も同時に展開してくれます。
これだけ受け取ることができて伝えることが上手な人なら…監督じゃなく、プレーヤーとしても強そうだななんて思ったのは内緒です。

取り扱う作品も興味深いものばかりです。
純愛、性愛、同性愛、不倫…様々な題材が扱われた作品が並ぶ中で、「これ、恋愛映画なの?!」と驚くようなものまで幅広くあります。

ペースを崩さずに読むことができ、しかし全く飽きさせることのない…素晴らしいつくりの本だと思いました。

わたしの恋もでてきた本

紹介されている作品の中で、わたしの恋がでてくるのはどの作品なんだろう…とわくわくしながら読みました。
結論から言えば、その人の置かれた状況や相手によって、あてはまる映画は都度変わるでしょう。
ただし、「過去(おおよそこうなった)」の恋愛と、「妥協(こうしがちだ/なりがちだ)」の仕方は変わらないでしょうから、自分を冷静に第三者のことばで顧みたくなったときに読み返すのにうってつけです。

もちろん、しっかりわたしの恋もでてきました。
恋ってモロにその人の「人間」が出ますね。

著者が過去に読んだ本から紹介される文章もあり、予想以上に「恋愛」というものを真面目に読む結果となりました。
過去の恋愛を振り返るきっかけになる文章があり、自分の恋愛傾向に改めて気づいたり反省したりしながら読み進め、最後には「好きってなんだっけ?」と哲学に至りました。

お気に入りフレーズ

随所に見つけましたが、これだけ紹介します。

❝光は最終的には、恋愛の相手からもたらされるものではなく、自分で作り出さなければならない。
自分自身が「自分にとっての光」にならなくては、この恋が無駄になってしまう。そう気づいたテレーズは、もう弱者ではなかったのです。❞

紹介されている26作品

今後、作品紹介をした際にその記事とリンクさせます。
既に鑑賞済みのものは太字にしてあります。
「既」既に鑑賞していた作品
「★」本を読んでいこうに鑑賞した作品
「☆」未鑑賞の作品

既『ウォールフラワー
☆『パリ、ただよう花』
☆『かぐや姫の物語』
☆『エヴァの告白』
既『ラヴレース
既『アデル、ブルーは熱い色
☆『とらわれて夏』
☆『美しい絵の崩壊』
★『her/世界でひとつの彼女
☆『ジゴロ・イン・ニューヨーク』
☆『ジェラシー』
既『ニンフォマニアック
☆『紙の月』
☆『毛皮のヴィーナス』
★『ラブストーリーズ エリナーの愛情
★『ラブストーリーズ コナーの涙
既『博士と彼女のセオリー
☆『ラスト5イヤーズ』
☆『海街diary』
★『マッドマックス 怒りのデス・ロード
既『ピース オブ ケイク
☆『ヴィオレット ある作家の肖像』
★『キャロル
★『ブロークバック・マウンテン
☆『そこのみにて光輝く』
☆『悪い男』

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