デスノート読切感想

もしまだ読んでないよという方がいるなら、まず上のリンクから読んで来て欲しい。ちゃんと面白いので。

まあ当然だが、ネタバレ注意です。



ここから感想

主人公の田中ミノルは知能テストで全国1位を取ることができる天才児です。そのことを死神リュークに知られたため、デスノートを手に入れることになります。

しかし勉強は全く好きではないので、普通のテストではそこまで結果を出せていないという、結構今時の普通の学生さんという感じのキャラクターです。

天才だけども努力しないというのは、デスノート本編の主人公である夜神月とは対照的ですね。加えて、夜神月は元々強い正義感を持っていましたが、ミノルくんはそういう思想的な物は何も持っていないというのも対照的です。

思想も殺人欲求も持っていないミノルくんは、テレビと死神の特性を利用してツイッター上でオークションを開きます。
つまりデスノートをお金に変えようとするわけです。当然、デスノートなどという殺戮兵器はあらゆる国が欲しがるものなので、最終的には中国とアメリカが落札合戦を繰り広げることになります。

ミノルくんは前述したように思想的なものは一切持っていないのですが、アメリカの大統領のスピーチに苛立っている描写や、クラスメイトが語った日本の借金について興味を持つ描写があり、結構流されやすいというか影響を受けやすい性格でもあるようです。(描写されてはいませんが、後で日本の借金についてもググったんじゃないかな?)

だからなのかは分かりませんが、最終的には日本を(あるいは日本の若者を)助けるかのように、日本の若者に等分してお金を配るように落札合戦に勝利したアメリカ政府を仕向けます。(もちろん特定されないようにという意図もありますが。)

結果として、ミノルくんを含む若者に一人当たり10億円が支払われることになるわけです。多分これによって日本政府も所得税などでかなり潤ったんじゃないかなと思われますが、一方で弊害もあるでしょう。

弊害というのはまず一つ目はインフレですね。若者たちが大富豪になったわけですから、おそらく物の値段が上がりますし、10億円を貰えていない人は値段が上がったものを買いにくくなり、経済的な分断が起こるでしょう。

二つ目は労働へのインセンティブの減退です。10億も貰えるのだから、ミクロ視点では働く必要が無くなるわけで、仕事をしなくなる人が出てくる可能性が予想できます。
この仕事をしなくなる人々が増えてしまうと、日本の国力が落ち、場合によってはせっかく手に入れた10億円が紙切れになってしまうかもしれません。まあかもしれないというのは、実際人々が働かなくなるかわからないからですが。
仕事に生きがいを見いだしている人も珍しくありませんので。

まあ私が思いつく弊害はこの程度ですが、天才のミノルくんがこれらの弊害に気付けないというのは、やはり勉強不足のせいだろうなあと思いますし、実際原作者の大場つぐみさんもそれを意図してミノルくんの設定を練ったんだと思います。凄いですね。

さて、最後にオチの話をします。最初に言っておきますが個人的にはこのオチはあまり好きではないです。

この読切のオチというのがミノルくんが現金を引き出した時点で死ぬ、というものです。

追い詰められた末に殺された夜神月とはここも対照的ですね。あっけない。

何故死んだかというと、死神大王というリュークの上司が「デスノートを売買したら売買した者はどちらも死ぬ。」というルールを急遽追加したからです。

完全なる後付けルールですし、ミノルくんがデスノートの所有権を捨てた後に追加されたのでミノルくんが知ることも無かったルールです。(ちなみにミノルくんはデスノートを売った後、リュークとは永遠に会わない約束をしていました。)

正直、理不尽だと思いますし、他の若者たちが豪遊している描写もあるのでいたたまれなく思います。ミノルくんは特に悪いことをしたわけでもないですしね。

ただ漫画としてはどうしてもオチは必要になりますし、「死神は理不尽である。」ということを伝える意図もあるのかもしれませんから、漫画としては正解なのだとは思いますが...

可能ならばもっと違うオチが欲しかったです。

ということで、この記事はここで終わります。良かったらスキつけていってくださいね。






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