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私的、感情論。

悲しみを言葉に乗せても
言葉達は掬いあげた掌から
指の間から砂のように
さらさらと逃げてしまう

それは逃がしているのかもしれない
悲しみを言葉に乗せたとしても
僅かな悲しみは残しておきたくて

残しておかなければ
心はただの容器にしかならなくて
言葉、気持ち、感情
好き、嫌い、愛している
少しでも、ほんの少しでいいの

縋りたくはないけれど
袖口を指先でそっと掴むくらいには
心の容器に残しておきたくて

わがままなのか、本能なのか
もしかしたら
満たされない欲望かもしれなくて

人差し指で胸をなぞり
容器の形を感じ取る

新しい容器に変えてしまおうか
艶めかしく顔を照らすスマートフォン

明日には届くかな
画面の上、指を滑らせ、1クリックで
封を開け、容器を取り替える

愛されるには必要なこと
愛されないなら取り替えるだけ
そんな簡単で淡々とした作業

それなのに満たしても満たしきれない夜
嘘と虚飾のワードローブを散らかして

温くなった紙コップのコーヒー片手に
妖しく光るスマートフォン
指を滑らせ、新しい容器を買いあさる

悲しみを言葉に換えて
心の容器に流し込んで
誰かに飲み干してもらいたくて

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