無観客の有料ライブ配信が多くなってきた。ロックフェスもライブも開催しなくなって、好きなアーティストの演奏を生で見る機会がめっきり減ってしまったので、ライブ配信はとてもありがたい。
　有料ライブ配信が良いと感じるのは、アーカイブが期間限定で残ること。ライブだと日時が決まっているから、仕事との調整を行わないといけない。家で好きな時間に観ることができるのは、その点の負担を軽減してくれる。また、もう一度観たくなったときに観ることができるのも一つの魅力だ。
　通常のライブよりもチケットの料金がお手頃なのも良い。今まで足を運んで観に行っていなかった、けれども気になっていたアーティストのライブを観るハードルが、低くなったのもある。それで、新規開拓もできるのではないだろうか、と感じる。
　ライブだと観る場所によって、観えづらいときもある。背の高い人の後ろだと余計にだ。人と人との間をうまくポジショニングして観る。それも現場のリアルな楽しみなのかもしれないが、その負担はライブ配信だとなくなる。
　アーティストによってもライブ配信の捉え方が変わってくる。KIRINJIのライブ配信はその洗礼されたサウンドをしっかりと届けてくれる。曲と曲との合間にアーティストのインタビューも挟まれて、ライブとはまた違った趣のある配信となっていた。
　ceroのライブ配信は完全にライブの臨場感を伝えている。音源とは違った音程やアレンジが散りばめられ、また配信だからこそできる映像の工夫もあり、魅力的であった。
　そういったライブ配信だからこそ魅せれる面がこれからどんどんと増えていき、一つの音楽の形になるのかもしれない。
　けれども、野外であれば、陽が暮れていく感じや、草木のぬるい匂いが風に運ばれてくる感じ、ライブハウスであれば、ライブハウス独特な埃っぽい匂いや会場の一体感など、耳や目で得られる情報以外の肌から伝わるライブ、というのが恋しく感じてしまう。
　はやく生のライブも感じられる世界へいけることを切に願う。

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