夏机・雨宮琴陽いちごつみ日記「旅路」(ネットプリント)のみじかい感想、あめの日記
あめの日記
今はもうすっかり仲良しに進んでいるんだけど、ことちゃんと夏机くんの交換日記がはじまったとき、わたしは夏机くんから連絡を断たれていた。それは返信がなかなかされなかったなんて生やさしいものものではなく、はっきりと拒否されていた。
わたしはその前の頃、死にたいって思ったときに自殺未遂をするのをやめて、夏机くんに連絡をするようになっていた。たぶんそれが良くなかったんだと思う。だとしても、自分が生きるのにとても大きな存在であった人に連絡ができなくなってしまったわけだけど、わたしはそれよりも夏机くんにしあわせでいてほしかった。そのためには自分がどうであってもよかった。だから連絡はしばらくしなかった。
そのあいだも、夏机くんはだれかに大事にされていればいいな、と思っていた。だれかが夏机くんの話を聞いてくれていればいいな、と思っていた。だからこの交換日記の存在を聞いたとき、わたしは安心したし、嫉妬したし、もうわたしばかりがそれをやらなくてもいいんだな、とも思った。
わたしはふだん日記のたぐいを書くのにだれかに向けて書いていないんだけど、だれかに読んでもらうって思いながら書くのもいいんだろうな。
そんな相手がいることがきっと大事で。
ほんとうは、言葉ってそんなふうに使うべきなんだと思う。自分をきずつけるんじゃなく、誰かと癒やしあうような。
だからわたしにはできないんだけど。
(これは絶望というよりもそれでいいと今は思っている、という意味で)
今はない星座を思う
手を引いた あれも
恋だと覚えていてよ
/白藤あめ
みじかい感想
オリオン座はもうすぐ崩れるらしい。
目がわるくなったわたしにもまだよく見える、黄色い星が燃え尽きるときいている。
燃え尽きるっていうのは要するに星が死ぬっていうことなんだけど、死ぬっていうはいのちを使い尽くすということなんだろう。
そんなことを思い出すことができた。
これは自分のことを言われていると知っているのだけど、人の交換日記に自分が登場しているのは変な気持ちになるし、あまり自分のこととは思って読めなかった。
この日記ににはいろんなくるしさが書いてあったのに、好きな人がいるだけでつよくなれているような感じがあって、それはすごいと思う。
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