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構想40年!大阪中之島美術館があまりにも良すぎました

2022年2月に開館したばかりの中之島美術館。いつか行きたい…!と思っていたところに関西出張が入ったため、前日入りして行ってきました。

結論から言うと、行って大正解!!近頃行った美術館の中では、展示内容も含めてダントツでおすすめできます。今回は、そんな行って良かった点を4つにまとめてお話しします。

12月某日。お昼頃に到着した私は、着いたそのままの足で美術館に向かいました。
大阪のシテ島とも呼ばれる、中之島。駅から川伝いに歩いていると、ランチタイムで外に出てきているらしい、スーツをパリッと着こなしたビジネスマンたちがどこからともなく集まってきました。そんな集団に囲まれながら信号待ちする自分。平日だから当たり前の光景なのだけれど、なんだか別世界に放り込まれたかのような、ちょっとした迷子のような感覚が久しぶりで嬉しくて、ぽんっと心が弾みました。

そんな気持ちを胸にさらに歩くと、視界の奥に巨大な黒いキューブが見えてきました。中之島美術館に到着です。

中に入ると、暖かさにほっと一息。まずはチケット売り場に向かいました。

そこで驚いたのは、売り場にあった発券機。映画館のごとく、もはや人を介さないでチケットが買えることに「おお」と少し興奮。東京ではまだ窓口受付のところばかり。近いうちにあちらも発券機になるのかしら、そんなことをぼんやりと考えながらボタンを押しました。

お目当ての「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」展が開催されているのは4階。2階分の長いエスカレーターに乗って向かいました。

2階から4階にすっと伸びているエスカレーター
圧巻の美しさ
天井にある展示作品を見ながら上りました
ここの作品も毎回変わるのかな?


①音声ガイド

エスカレーターで上りきると、右奥に赤い看板が。入り口でチケットを提示します。と、ここで、今回良かった点の1つ目

なんと、音声ガイドを無料で聴けます!入り口に設置してあるQRコードを読み取り、自身のイヤフォンもしくは美術館のヘッドフォンを借りて聴くことができるのです。

通常、美術館の音声ガイドともなると500〜600円を支払って聴くため(この前行ったところは800円だった。。)、「う〜ん…今回の展示はいいかなぁ」と借りることを渋ってしまうこともある私。ですが、展示の横に添えられている解説パネルを逐一読みながら回ることは、結構疲れる作業。美術館に慣れている、もしくは読むのが好きな人にはいいけれど、これから美術館を好きになりたい人にとっては、最初からそれをするのはきつい。

だからこそ、今回の音声ガイド無料はとってもいいなと思いました。初めて踏み入れる世界は、最初がいいとその後も楽しみになる。企画展によってなのか、開かれた美術館を目指すという中之島美術館だからなのかはわかりませんが、アートがもっと身近になってほしいと思っている私からしたら、とても嬉しい点でした。もちろん、既に美術館が大好きな私も恩恵を受けてきました!

ただ一つ!こちらの注意点としては、音声ガイドを使うと端末のバッテリーがかなり減るということ。全部の展示を観終わる頃には、私のiPhoneは20%を切っていました。充電器持っていけばよかった…。展示途中から、いつ切れるのかとひやひやしながら観ることになってしまいました。電波があまりなかったことも関係していたのかな…?

ちなみにナビゲーターは溝端淳平さん。俳優さんの普段とは違った声を聞けるのも、音声ガイドの醍醐味。途中、学芸員の方にバトンタッチしてより詳細な説明が聴ける部分もあり、とてもバランスがよく心地よいガイドでした。

②撮影可能が嬉しい理由

展示の最初はロートレック。あれ?これ見たことあるような?って思うものがいくつかありました。実は、数年前にパリのモンマルトル博物館にてロートレックの作品を見る機会があり、その頃から興味を持っていたのです。
けれど、当時は解説もなく見ていたため、音声ガイドを聴きながらの今回は、また違った角度から鑑賞することができました。その絵がなぜ描かれたのかストーリーを知ると、違って見えてくるから面白いですよね。母国語で解説パネルを読めることの有り難さに気づいた瞬間でもありました。

そんな中で私が心惹かれたのは、なんとパリで見たときと全く同じ作品。ジュール・シェレがロイ・フラーという女性ダンサーを描いたポスター「ロイ・フラー」。大きな布を纏って大胆に踊る姿は美しく、惹きつけられるものがあります。ロートレックじゃないんかい、という感じですが、私もパリで作者名を見たときに同じことを思いました笑。好みのものは中々どうして変わらないみたいです。

2022.中之島美術館展示
2019.モンマルトル博物館展示

ここで、良かった点2つ目!
展示作品のほとんどが、撮影可能であること!(一部NGあります)

日本の美術館では作品保護のためか、撮影を禁止されていることが大半です。仕方がないと思いつつ、自分がそのとき何をいいと思ったか、どの部分に惹かれたなどを記憶しておくには、撮影可能だととっても嬉しい。あとで図録買って思い出せばいいじゃん、という意見もあるかもしれませんが、私は自分の記憶力を疑っているので笑。だから、やたらめったら写真を撮ることはせずに、”あ、またあとでこの瞬間感じたことを思い出したいな”と思うものだけを撮るようにして、何かを感じた証拠として残しています。

③ミュシャが参考になる

ロートレックは割とサクサクと見ることができ、さて次はミュシャ…といったところで、出だしから完全にやられました。1894年に描かれた縦長の作品《ジスモンダ》の連作3点が現れました。

「ジスモンダ」という演劇の宣伝ポスターで、女優サラ・ベルナール演じるアテネの公妃ジスモンダが描かれたそれは、とてもロマンティックで美しく、しばし周りの人の存在も忘れてぼうっと立ち尽くしてしまったほど。ちょっと涙まで出そうになりました。

まだ足元に文字も入っていない、言ってしまえば未完成の
こちらの1枚に目を奪われました

描かれたサラ自身も、この作品を見た瞬間、素敵すぎて涙が出たそうです。わかる、、こんなに自分が素敵に描かれたら泣いちゃうよね…と解説にも納得の作品でした。

当たり前かもしれないけれど、実物「ジスモンダ」から受けた輝きは、ミュージアムショップに売られているポストカードからもポスターからも図録からもやっぱり得られなくて…改めて、本物から放たれるエネルギーの凄まじさを感じずにはいられませんでした。

そのあとも、ミュシャの絵には心惹かれるものばかり。

私がいいなと思った作品は、どれも女性が題材のもの。みんな表情がとっても豊か。というのも、ただ可愛らしく笑っているだけではなくって、こちらを挑発するかのような目つきで見ていたり、凛と前を見据えていたり、人の目を気にせずタバコをふかしていたり…それぞれが自分の意思を持って過ごしているように見えました。私自身がそういった自信のある女性に憧れたり好きだったりするから、絵もそういう視点で好き嫌いがあるのかもしれません。

あとは、流れるドレープだったり、髪の毛の優雅な動き、細く柔らかなタッチにも強く惹かれました。色味はくすんだものが多くて、例えば赤を使っていても、ビビッドなものというよりは赤茶だったり朱色だったり…穏やかに感じるものが多かった印象です。

ここで、良かった点3つ目!
「参考になる」!!これはモデルという職業からの視点なのですが、描かれている女性たちの細かい指先のポーズだったり、こちらへの視線の向け方だったり表情が、私にはとても参考になりました。また、ミュシャの描く作品のファンが多いということは、世の中にはこういう表情や雰囲気を好きだと思う人がたくさんいるということ。みんなが憧れを抱くような女性像を表現できたなら、またモデルとしても向上するんじゃないかと密かに高揚したのでした。

④お礼を述べたい、グッズ監修

そんな興奮して観終わった展示の後には、もちろんミュージアムショップ。ここで、しまった…!と思ったことが。2階のロッカーにお財布を預けてきてしまったため、手元にはバッテリーがギリギリのiPhoneしかない。。再入場不可と書かれていて、下の階に戻って入れなかったらと思うと勇気も出ず(冷静に考えたらショップには入れたと思うけど)。結局、iPhoneに登録していた交通系カードでお支払いしました。…お財布は展示に持っていくことをお勧めします!

と書いたということは…良かった点4つ目!
グッズがめちゃくちゃ良かったということ!

今まで美術館に行ってもほとんど買うのはポストカードのみだった私が…今回はトートバッグ、リングノート、図録、ポストカードセット、ミニファイル…とたくさん購入してしまいました。

モノトーンでレタリングもシンプルだから、トートバッグは使いやすそう…と速攻で買い物かごにイン。図録は中をぺらぺらとめくって、縦長の作品「ジスモンダ」が2ページ使いで大きく贅沢に刷られていることに感動し、こちらもかごの中へ。リングノートはお気に入りの作品が刷られていたので即決…というふうに私のかごはどんどん埋まっていきました。

ちなみに唯一迷って購入に至らなかったのは、ポーチ。ミュシャとロートレックの絵柄何種類かのうち、どれが入っているかは開けてみてからのお楽しみ!と中身が分からないようシルバーのパッケージに入っていました。数分迷った挙句、好きな絵柄以外が出たら使わないかも…と思い、購入に至らなかった。おみくじ気分で買えば良かったかな?

また驚いたのは、ショップに本物が売られていたこと…!!
ミュシャが120年前に描いたポストカードだったり、お菓子のパッケージだったりが、数万円〜数十万円の単位で販売されており、きちんと説明してくださる係の方もいらっしゃいました。ミュージアムショップで本物を購入できるなんて知らなかったからびっくり。比較的年代が近い分、作品も大量に残されているということなんですかね…?ロートレック&ミュシャ好きには堪らない機会なのではないでしょうか。

そんな感じで思う存分堪能して2階に戻ると、ここにもミュージアムショップがある…!
前回の企画展や中之島美術館所蔵作品に関するグッズが並ぶ中、今回の展示に関連した、でも4階では見かけなかったお菓子なんかもあったので、こちらも毎回チェックする必要がありそうです。

中之島美術館は、天井が高く落ち着いた色味なのでモダンな雰囲気はありますが、決してツンとした冷たい感じではなく、スタッフの方々も含めて”あたたかいな”という印象でした(美術館にしては気温的にも温かかった)。やはり「開かれた美術館」を理念としているからでしょうか。バリアフリー対応、親子休憩室や授乳室を設けているところも素敵でした。

そして何より!上記の通り、センスのいいグッズがたくさんありました!グッズ監修されている方ってどなたなんだろう…?素晴らしいお仕事に、勝手ながらこちらで感謝を述べさせていただきます。

いつもは”もっとこうしてくれたら買うのに…”と思いながら(完全に素人の勝手な意見です!)グッズを見ることが多かったのですが、今回に関しては”えぇ!?どれも可愛くて困る…!”という嬉しい悲鳴を上げながらショップ内をぐるぐるぐるぐる回っていました。

トートバッグ
早速バレエのレッスンで使っています

構想から40年かかったという中之島美術館。こだわりの詰まった、けれど堅苦しさのない雰囲気に、これからの展示もとても楽しみになりました。

「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」は2023年1月9日まで。機会がある方はぜひ行ってみてほしいです。展示は、観終わったらちょっと疲れるくらいの規模感。でも、グッズの可愛さにまたショップで復活する感じです!笑
充電器を持って、いざ、乗り込んでみてください!

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