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ラブホの名前が変わっていたことで思ったこと。生活のことなんか考えず夫のことだけを考えて過ごす防音設備の整った時間が欲しい。

夫とよく泊まったラブホの名前が変わっていた。


サクッと行きます。いつもより短め。

よく利用していたホテルは何軒かあって、ひとつは実家の隣の駅にあるのだけれど、こないだの土曜日実家に帰る途中、前を通ったら名前が変わって看板もピカピカになっていた。私たちが頻繁に利用していた時は、良く言えば味があるというか…ぶっちゃけ外観は結構ボロいホテルだった。もちろん中は普通だったけど。

ホテルがある駅はその辺にしてはまぁまぁ大きいかなって感じで(あくまでもまぁまぁレベル)、でも決して繁華街って程ではなくて、飲み屋とかご飯食べるのには困らないっていうだけの所。マックや、はなまるうどんや、日高屋がある。でも決してそこが目的地になるような駅ではない。少なくとも、おしゃれな洋服は買えない。

都心とかのラブホだと変わるのも早そうだけど、そんなしょぼい駅周りで老舗のホテルがなくなるとは…と。高校時代にはすでにあったホテルだったから、変わると思ってなかった。多分居抜きだから、中に入ればそこまで変わらないのだろうとは思うんだけど。

そんなにがっかりした割には、私だって通りすがりにあるから利用してたってだけで当時だって別にそんなにお気に入りのホテルってわけではなかった。なのになんか一つの夫との思い出が消えた…!と思ってしまった。つくづく人間は自分勝手だよね。もうずっと利用すらしていないというのに。

よく、幼少期の自分の家が有った場所を訪れたら駐車場になってたとか、コンビニになってたとか聞くけど、そういう感じの切なさがモヤモヤと襲ってきた。ホテルが変わったことから派生して考えてたら、そうか、これから夫とデートした色々な所がどんどん変わっていくのだろうなと思ってしまったのもあるかも知れない。
同窓会で好きだった人が悪い方の変貌を遂げてた場合もこんな感じなのかしら。

今はまだ、夫とデートしてたのって3年前とか4年前とかでお店自体もそこまで変わってないけれど、これから歳を重ねるにつれて一緒に行ったごはん屋さんや飲み屋なんかはどんどんなくなったりお店自体が変わったりしていくのだろう。初デートした江ノ島水族館は死ぬまでずっと残っていて欲しいものである。

っていうか、お店だけではなくって、私だって変わっていくんだよね。

外観がボロいホテルだろうが、狭いホテルだろうが、アメニティがしょぼかろうが、私にとって夫と居られる鍵のかかった部屋はありとあらゆるものが足りた世界のすべてだった。「宿泊」の半日は、胸焼けしそうなほど甘ったるく、永遠で、一瞬だった。

近くのコンビニでお酒やおつまみを買って、駐車場から手を繋いで建物に入って、出てくるカップルと目が合わないようにして、エレベーターに乗ったらキスをした。部屋を選ぶパネルでは絶対に入室しない高級な部屋を見てみたりした。そして、部屋に入ったばかりの時間は何度だって恥ずかしかった。

今も二人で暮らしているのだから鍵のかかった建物にいるには違いないんだけど、やっぱり家って生活が入り込んでしまうんだよね。音的な問題を隣に配慮したり、ご飯の支度を気にしたり、洗濯物が干しっぱなしだなぁとかが気になったりする。とりあえずお決まりのコースで体を這うイチャイチャをして、性行為をして、すぐに生活にもどる。家は、色気という点ではまったくもってホテルに勝ち目がない。やはり、ホテルは入室した時間内はめいっぱい夫とのことだけを考えて過ごせるというのがとてもよかったなぁと思う。

普通かも知れないけど同棲してからラブホに泊まったことはないので、隣近所に気を遣わずに性行為に及んだことはここ2年半ないのかと逆算してびっくりした。

一応補足しておくと、二人に生活感がでることが必ずしも悪いことだとは思っていない。結婚した時点で私は彼の生活の一部になりたかったし、彼に生活の一部になってほしかった。私は彼と毎日一緒にごはんを食べたかったし、お風呂に入りたかったのだから、それは叶っているわけで。

ただ、少し。少しだけ、もうああいう、夫のことだけを考えて頭がいっぱいになって、脳みそが弾けそうなくらい熱に浮かされた時間(私はきっと目がドキンちゃんみたいにハートになっていたと思う)は、二度とないのかもしれないなーと思うと寂しいなと思うってだけ。

そもそもホテルに行く行かないなんて議論の前に、夫との性行為自体が減ってるんだからまず解決しないといけない問題は他にあるって感じなんだけどね~!!!!!


早く科学が進んで、なんかしらの機械とかでどうにかこうにかして、記憶の中に潜り込んで明晰夢のように自由に動けるようなシステムができあがればいい。そしたら私はもう、その時間に閉じ込められたって良いくらいだ。

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