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【エッセイ】アンネの日記について

私が初めてアンネと出会ったのはいつ頃だっただろう。恐らく、小学校2、3年生くらいだったと思う。どういった経緯でアンネの本を手に取ったのかは覚えていない。親に勧められたのかもしれないし、興味本位で読むことにしたのかもしれない。ただ、図書館で本を借りたということは確かだ。

アンネの日記は私にとって、「戦争と平和」を考えさせてくれた初めての本だ。子供向けの文章だったため、読むのは難しくなかった。だが、内容はとても悲惨で、戦争の残酷さをこれでもかという程突きつけられた。

アンネ・フランクは1929年に生まれ、ベルゲン・ベルセン収容所で15年という短い生涯を閉じた。彼女が残した日記は今日世界中の人々に読まれ、ベストセラーとなっている。隠れ家で過ごした2年の月日は、自由とはかけはなれたものだった。秘密警察に居場所を知られないよう、息をひそめて生活する毎日。外出ができず、どれだけ窮屈だっただろう。また、「もし見つかったら…」という出口の見えない不安や恐怖を抱えて生きるなんて。彼女の置かれた立場を想像するととても辛い。

そんな彼女の慰めとなったのが、日記を書くことだった。日々の生活、家族や同居人についてのあれやこれや、オリジナルの童話など、アンネは日記を書き続けた。彼女は日記を書くことを通して、空想の世界へ赴き幸せを見出そうとした。「私の想像の翼は、閉じ込められても閉じ込められても、はばたき続けるの」。強く胸を打たれた言葉だ。どれほど過酷な状況に置かれても、彼女は夢を描くことをやめなかった。もし、私が彼女と同じ立場になったら同じことは言えないだろう。

もう二度と戦争を繰り返さないように、という強い願いが込められて出版された彼女の日記。今、家族や友人とたわいない会話で笑い合えること、安心して睡眠がとれること、青空を仰ぎ見れること、それら一つ一つは当たり前なんかじゃない。奇跡と言っても良いほどの、素晴らしいことだ。日々感じられる「平和」に感謝できる人間になりたい。また、戦争・紛争で苦しんでいる人のために祈ることをやめないようにしたい。戦争撲滅のための大きなアクションはできないかもしれない。それでも、自分に何ができるのかを問い続ける。「平和」の尊さを全ての人がかみしめることができるようになってほしいから。



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