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改めてフィルムカメラの撮影について考える

 家の近所に昔から営んでいる小さな写真屋がある。DPEの現像機(ラボ機)が健在で36mmフィルムなら即日現像可能であり、フィルムだけでなくデジカメ写真現像、店内にはアルバム、フォトフレーム、使い捨てカメラが幾つも陳列され、証明写真や入学式・成人式など六つ切りの記念写真の撮影も別室で行える設備もある。20年前なら街に必ず一軒はあったであろう典型的な写真屋が。
 今の写真撮影はデジカメ・スマホが主流でプリントすること自体が稀なケースとなり、プリントも家のプリンターやコンビニ・スーパーに簡単に現像できる時代。記念写真も大手チェーン専門スタジオで撮影するのが主流になっている。その結果、街の小さな写真屋は淘汰され閉店に追い込まれている。私はフィルムを即日現像・プリントでき、写真を収納するアルバムの種類も豊富な店なのでこの写真屋は大変重宝させて頂いている。


 先日やっと35mmフィルム36枚撮りをやっと撮り切り近所の写真屋に持ち込むと店主からこんな一言が。
「ごめん、もう薬品の管理ができなくてDPEの機械でフィルム現像するのやめたんだ…外注で現像するからその日のうちにプリントできなくなったよ…それでもいいかなあ…」

 某写真屋のSNSで聞いたことがある。フィルム写真を現像するDPE(Development  Printing Enlargement (現像、焼き付け、引き延ばし)の略)のラボ機は、使用頻度が少ないと現像に使用する薬品も使用量少なく余った試薬が劣化したら廃棄し新たな薬品を使わねばならず、適正な薬品の循環ができなくなる。その結果、薬品代がかさみDPEのラボ機で現像・プリントをしても儲からないどころか赤字となりラボ機から撤退せざるを得ない…
 店主からDPEのラボ機の使用を止めた話を聞き、現像・プリントを即日対応が無くなったショックよりも「ああ…遂にこうなったか…仕方ないな…」と諦めの心境が強かった。この店でもフィルムを現像する客はとても少なく何とか薬品に無駄を出さずラボ機を維持していると聞いていたので、ついにそれが出来ない領域まで達してしまったのかと‥

 近年フィルムカメラでの撮影が見直され始めている。SNSでフィルムカメラでの撮影の魅力、現像・プリントした際、デジカメプリントには無い特徴(あたたか味があると言うが)もあり、フィルムカメラで撮影する方も増えつつあるが、それはあくまでも「一部のマニア」に過ぎない。
 先月大手フィルムメーカー二社がフィルムの大幅な値上げに踏み切ったが、それは儲けるためではなく「フィルム写真の文化を維持・継続するためには仕方がない行為」だと考察している。

 私はフィルムカメラを始めた理由は幾つかあるがまとめると以下の通り。
①フィルムカメラでの撮影行為の楽しさ
②現像・プリントすればいつでも見られ長期保管が可能
③何よりフィルムで現像して初めて撮影の出来栄えが分かり、自分だけでなく撮影した人(私にとっては家族)とそのことで一喜一憂できる
 正直なところカメラやフィルムのスペックや撮影のテクニック的な部分に重きを置いていない。上記3つが楽しくて撮影してる。

 フィルムカメラの撮影が好きな私が思うこととして、近年見直されてはいるがアナログ的手法のフィルムカメラはマニアの娯楽だけでは無い。写真撮影の一つの手段で、デジタルなカメラと違った楽しみをもっと知って欲しい。そしてフィルムカメラの撮影が少しでもメジャーな写真撮影の手段の一つになり、将来アナログ・デジタルの写真撮影が共栄共存して欲しい。そうすれば街のDPEを持つ写真屋が更に閉店・廃業せず、フィルムの値上がりも抑制でき、結果としてフィルムカメラという文化も継続できるなと。

 フィルムカメラ好きの私として一つの願いでもある。

野球関連の事柄を書きます NPB:千葉ロッテ、BCL:埼玉武蔵ヒートベアーズファンです