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サブスクビジネス向上に向けたグロースハック

1 | はじめに

サブスク市場は年々規模が増加し、2019年には1.1兆円市場となり、それ以降は毎年 1,000億円規模の増加が今後5年間予測されています。

業種も多様化しており、今までは 映像 | 音楽 | 書籍 等のデジタルコンテンツ関連がサブスクモデルの多くを占めていましたが、フィットネス | ファッション | グルメ 等の業種においても広がってきています。

サブスクモデルのビジネス向上で重要な指標として以下が挙げられます。

・無料から有料への転換率向上
・解約率の低減 (結果 LTV の向上)

多くのサブスクは以下のモデルを採用しています。

(1) まずは、無料でサービスの価値を体験して頂く
(2) その後、有料化をご検討して頂く

サブスクモデルでは、この (1) ➡︎ (2) の有料化への転換率向上がビジネス成長における非常に重要なテーマになります。

また、有料化したユーザーがより長くサービスを利用してくれるような継続したサービス向上も重要になります。この結果、LTV 向上につながり、継続したビジネス成長が期待できるようになります。

ここでは、「有料化転換率向上」「解約率の低減」この2つの重要指標の改善フレームワークについてご案内します。


2 | 「有料化転換率」の現状確認

まずは現状の有料化転換率の状況について確認してみます。ここでは Amplitude のデモデータ TeamChat で実演してます。

TeamChat では、ユーザーが無料から有料化へと転換した際、以下のイベントが発火するように設計されています。

Upgrade Subscription

どの程度の無料ユーザー数が過去12ヶ月で有料化したのか Amplitude のファネルチャートで確認してみます。(チャートリンク)

Amplitude の無料アカウントをお持ちの方は (チャートリンク) を押下する事により実際のチャートで確認できるようになっています。

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過去12ヶ月で無料ユーザーが 219,860人確認できる中、有料化への転換は 736 人確認できました。

次に月間の有料化転換率の月間の推移を確認してみます。(チャートリンク)

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月間の有料転換率は 0.545%~0.703% を推移し、通年で平均が 0.626% となっています。7月~8月で一旦落込みましたが年末にかけて回復傾向が見えてます。


3 | 「有料化転換率向上」に向けた示唆出し

ここでは「有料化転換率向上」に向けた示唆出しをしてみます。

コンパスチャートでは、統計的に相関関係のある先行指標、いわゆるマジックナンバーを求める事ができます。有料化転換率向上に向けて相関関係にあるユーザーアクションを確認してみます。(チャートリンク)

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統計的に相関関係にあるアクションが複数算出されました。この中で以下のアクションに注目してみます。

Search Message History

相関関係スコアは「やや高い」といった結果ですが、どうやら「過去メッセージ検索機能を体験したユーザー」の有料化転換率が高いとの傾向が統計的に求められました。

次にファクトを確認してみます。

「過去メッセージ検索を1回でも体験したユーザー」の有料化転換率の確認

全体ユーザーと「過去メッセージ検索機能を1回でも体験したユーザー」の有料化転換率を確認したのが以下となります。(チャートリンク)

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「全体の有料化転換率(青)」 と比較して、「過去メッセージ検索機能体験ユーザーの有料化転換率(赤)」が高く推移している事が判明しました。

「全体の有料化転換率 (青)」 ➡︎ 0.63%
「過去メッセージ検索機能体験ユーザーの有料化転換率 (赤)」 ➡︎ 2.84%

比率を求めると以下となります。

「過去メッセージ検索機能体験」で 4.5 倍の有料化転換率を確認

良い結果をファクトとして得られたので、無料ユーザーで「過去メッセージの検索機能」を体験していないユーザーに対してプッシュ通知で訴求する事にします。

プッシュ通知対象セグメントを「直近180日間の無料ユーザーで過去メッセージ検索機能を体験していないユーザー」とします。

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対象ユーザーとして 109,925 人確認できました。このコホートに対してプッシュ通知を行い訴求する事にしました。

Amplitude Engage 機能を利用するとチャートで作成したユーザーリストを直接プッシュ通知基盤へと展開する事ができます。(今回、その手順は省略します)

仮に、先ほど求めた「過去メッセージ確認ユーザーの有料転換率 2.84%」をこの対象ユーザーに当てはまったとしたら、以下の新規有料ユーザー数が期待できます。

新規有料ユーザー数 3,121 人

これは、サブスク費用を月1,000円とすると以下の経済効果になります。

月間 312万円の売上向上

早速 A/B テストを組込みながらメッセージ試作を実行し、次週のグロースミーティングで施策実行による効果検証をレポートする事にしました。


4 | 「解約状況」の現状確認

次に解約状況を確認します。TeamChat ではユーザーが解約すると以下のイベントが発火されるように設計されてます。

Cancel Subscription

過去24週での解約ユーザー数の推移を確認した所以下となりました。(チャートリンク)

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月間の解約人数が 25人~45人と幅広く推移するもののトレンドライン(青)を確認すると解約人数が若干増加している事が確認できました。

継続して有料化して頂くには具体的に何を改善したら良いのか次章にて確認してみる事とします。


5 | 「解約率低減」に向けた示唆出し

「解約率低減」に向けた示唆出しをしてみます。まずは、ファネルチャートを使って90日後に解約したユーザーと、それ以上継続したユーザーの比率を確認してみます。(チャートリンク)

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過去356人で有償化したユーザーが 1,495人いた中、 90 日以内にサブクスをキャンセルしたユーザーが 193 人いる事が確認できました。

次にファネルステップ推移の以下の詳細について確認してみます。

・「サブスクをキャンセル」したユーザーと相関関係のあるアクション
・「サブスクを継続」したユーザーと相関関係のあるアクション

相関関係のあるアクションは、Amplitude がファネルチャート内で自動的に導いてくれます。

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90日以上サブスクを継続したユーザーは以下のアクションと相関関係がある事が判明しました。

・Invite New Contact (お友達をチャットに招待した時に発火するイベント)
Join Channel (チャネルに参加した時に発火するイベント)

どうやら有償化したユーザーが「お友達をチャットに招待」したり、より多く「チャネルに参加する」事により、サービスに対してのエンゲージメントが高まり「解約率防止」につながる模様です。

そこで、ユーザーが有償化した際、以下のアクションを行ってもらう訴求をアプリ内メッセージでご案内し、それぞれのアクションを完了したら特別なスタンプを送付する事にしました。(数値は先ほどのファネルチャートで導きました相関関係の Frequency を参考に設定しています)

・4人以上のお友達をチャットに招待
・4つ以上のチャネルに参加

また、今後のプロダクトロードマップに、チャネル新設の案内をしたり、友達のチャット招待を容易に実現できるような工夫を入れ込み、エンゲージメントに繋がるプロダクトアクションを、より容易に体験できるような UIX 改善を行う事にしました。


6 | まとめ

サブスクビジネスを向上させる為、ここまで以下を実施してきました。

1. 有料化転換率の向上
2. 解約率の低減

皆さんの環境ではここで述べた一連の工程はどの程度の工数がかかりますでしょうか? Amplitude では、この工程を30分以内で実行できるような統合的なマーケティング環境をご提案しています。ご質問がございましたらお気軽にお問い合わせください。


7 | 他のグロースハック手法のご案内

以下のマガジンで具体的なグロースハック手法をまとめてますので、ご参考頂けますと幸いです。


8 | Amplitude 無料アカウントについてのご案内

Amplitude は月間 1,000 万イベントまで無料でお使い頂けます。ファネル分析 | LTV 分析 | リテンション分析 | アクティブユーザー分析等、グロースに必要な分析を行う事ができます。

Twitter, dropbox, Microsoft, Hubspot 等で利用されている分析ツールをご自身のプロダクトでもお試しください。


9 | 「リテンション向上の虎の巻」無料 DL ご案内

北米で最もダウンロードされているリテンション向上教本の抄訳 (全63頁) 登録不要ダウンロード頂けます。

登録不要ダウンロード

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10 | Amplitude について

Amplitude は、多くのアナリティクスが採用している「セッション軸」でなく、「ユーザー軸」でユーザー行動分析ができるアナリティクスです。ユーザー行動分析により、顧客理解を深める事ができ、データに裏付けされたサービス改善を図る事ができます。

Amplitude は全世界で30,000社以上の導入実績があり、NTTドコモ, Microsoft, Twitter, Dropbox, PayPal, Under Armour 等のグローバル企業で利用され、データに裏付けされた顧客理解やサービスグロースを支援しています。

日本市場においては、パートナーである代理店と共に、イベント設計、ETL、導入から分析を含む運用支援を一気通貫でご提案させて頂いています。

お問い合わせ : tokyo@amplitude.com