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ストローの袋をいじりたおす時間さえ愛おしい関係

バーカウンターみたいな高いテーブルに座り心地のよくない丸いイスが並ぶカフェ。
逆にインテリアショップかと見間違うような、おしゃれなローテーブルにソファーが並ぶカフェ。

…どちらも苦手だ。

やっぱりカフェはコメダ珈琲に限る。
いやカフェというより喫茶店か。
よい意味でおしゃれすぎず、肩肘張らずに入れる雰囲気。
お手頃価格で量たっぷりのコーヒー。
スーパーやコンビニで売っていてもたぶん買わないけど、コーヒーに添えられているからついいただいてしまう絶妙な豆菓子。

テーブルが広めなのも嬉しい。
1人で入店しても、空いている時間帯なら広めのテーブルにわりと通してもらえる。

わたしがもし早起きが苦じゃない朝型タイプで、自転車で行ける範囲にコメダ珈琲があったら、毎朝でもモーニングしにいくだろう。
コメダ珈琲みたいなコワーキングスペースがあったらいいのに。

∽∽∽

自宅から1歩外に出れば、コメダ珈琲の居心地は最高クラスだ。
しかしわたしの場合は「自宅にひとり」がデフォルトの環境であり、仕事に向いているかどうかは別として、居心地としてはもう実家ぐらいしか右に出るものはない。

テレビ番組で「お茶の間のみなさん」とよく表現される。
自宅のなかで家族が憩う場所ということであれば、今風にいうとリビングやダイニングが該当するのだろう。

でもリビングやダイニングにわたし「ひとり」の状況は「お茶の間」といえるのだろうか。

世間一般的なお茶の間の雰囲気って、どんなものなのだろう。
人様の家の「お茶の間の雰囲気」をわたしは知らない。
自分の実家と、夫と過ごす自宅の雰囲気しか、わからない。

人様のおうちで夕飯をいただいた機会はあるけれども、それはわたしというお客を招いている雰囲気であって、いつものお茶の間の雰囲気とは違うはずだから。

∽∽∽

残念なことに3月で放送終了してしまったのだが『おかえり、こっち側の集い』という番組があった。

オードリーの若林さんと水卜アナの2人がMCを務め、セットはまさにお茶の間を模したものだった。

ゲストを招いてトークを展開する様をみていると、なんだかわたしもお茶の間にいる気分になれた。

「家庭の」というよりは「親しい友達の家」と表現したほうが近い雰囲気だが、わたしもいわゆる「こっち側」なのも手伝って、見終わったあとには「宅飲みでみんなが帰ったあとのちょっとした寂しさ」にも似た感覚をおぼえる。

最終回のひとつ前の放送は二宮和也さんがゲストだった。
ニノは40歳すぎだが、13歳から芸能界で活動しているため、いわゆる社会人歴は27, 8年になる。

昨年独立したことで、毎日がはじめてのことだらけだと話していた。

たとえばビジネスメールの書き方。
「○○様(改行)いつもお世話になっております。(改行)」
こんなふうに書くのも、はじめて知ったと。

日本のトップアイドルともいえるポジションに登りつめ、俳優としても活躍するニノが、40過ぎにしてビジネスメールの基礎基本から体得しているのだと思うと、なんだかすごく励まされた。

芸能人・二宮和也の話を聞いているというよりは、まるで久しぶりに会った学生時代の友人の話を聞いているような。


学生時代から長く続く仲もあれば、1, 2回しか話したことがないのにばっちり意気投合できる仲もある。

おしゃれして、街に出かけて、ちょっといい雰囲気のお店で食事を楽しむのもいい。

でもわたしはお茶の間やコメダ珈琲でちょっと話せるような気楽な関係のほうが好きだ。
「最近ビジネスメールの打ち方はじめて知ったよ」
「まじで?でも送ったことも受け取ったこともなかったら、書き方なんかわからんよね。学校で習うわけでもないし」
「だよね」
「………」
「………」

互いに無言でストローの袋を結んだりちぎったり折ってみたりできる時間さえ愛おしいと思えるような間柄は、おしゃれなカフェやバーではたぶん育まれない。
お茶の間やコメダ珈琲で語れる関係を、大切にしたい。


今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたにとって気楽で愛おしい時間を過ごせる場所は、どこですか?

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