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山にかかる靄を見て。


地元にも「文化」があることを知ったのは、旅に出てからのことだった。

まるで絵本の世界に迷い込んだような古い街並みに、かつてあった人々の生活を垣間見ることができる歴史的遺産。きれいなものもあれば、目を背けたくなるものもある。

いろんな過去を受け入れたうえで、その土地の「今」というものがあるのだとしたら、その歴史への向き合い方も含めて、人々が育んできた「文化」なんだと、わたしは思う。


それまでのわたしは、なんとなく好きな地元で、なんとなく暮らしていた。でも、旅先で見つけたレンズをかざしてみると、地元の風景は大きく変わって見えた。

毎年この時期になると、あぜ道にかならず咲いてくれる彼岸花も、江戸時代から続く景色だと知ることで、ずいぶん見方が変わったような気がする。独自の技法を編み出した円山応挙の生誕の地だと思えば、冬の霧も愛おしく思える。

そんな「文化」を発見していく旅を、わたしはこれからも続けたい。

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