見出し画像

かがみの特殊少年更生施設と発達障害

「かがみの特殊少年更生施設」という架空の少年院のHPを検索することで深みを探るというもので、どういうものかは下記動画を見て欲しい。

また、該当のHPは→ https://kagamino-jrep.net/

この第四境界というクリエイターは「他人の財布」という商品を売っており、その商品に関しては発売当日からリリースされたPR記事で概要を知っており、面白い試みをするなぁと思っていたので、今回のHP作品が公開されたとあって、ワクワクしながらこのHPを探ったということである。

感想

「HPを探る」という特定…じゃなくて、探偵をする気分で気になったキーワードをどんどん検索していく。
まぁ序盤に詰まってしまうのだが…。
そこはネットの時代。
ネタバレが無い程度のキーワードを知ってから、割とサクサク調べられた。
一応ホラー的な感じと聞いていたが、これはホラーというより、意外と啓蒙的な側面が強いと思った。
という事でタイトルという事だ。


以下、時々ネタバレを含みます。


犯罪を犯した少年たちが変わった施設に入る。彼らはそれぞれかなり重い罪を犯したようだ。しかしながら内容としては情状酌量の余地がある。だが、それ以上の重い処置がなされるのだ。

社会的危険因子として見做された彼らは人格的問題が機能的な問題となっており、それは精神療法と薬物療法と外科的治療によって治癒されるという説を証明する為の良い対象となるのだった。

しかしそれは時に死を招くほどの副作用が存在するため、無暗に行うことが出来ないという。
だが、少年達の再犯率を下げる為にはそれは良い口実でもある。
実験に成功すれば被験者として良い症例であるし、
失敗すれば死、つまり、実質的な『再犯率』を下げる事が出来るのだ。
それはある学部が国家資格試験合格者率を上げる為に、卒業試験で少しでも不安要素がある学生は退学させるようなものだ。
母数を減らす事が出来る。つまり、『再犯率』は下がる。

とは云え、彼らは少年でなければ無期懲役あるいは死刑もあり得たかもしれない。
彼らが社会の野に放たれるのを良しとしない強い意志を感じるのだ。

また同時に、人格は『治療』出来ると考えているという事だ。

それは狂気と無垢な憐みを感じるのだ。

最近よく見ている令和の虎というYouTubeの動画で、医学部受験したいという受験生が、永遠の命を求めて脳神経を研究したいと名乗り出た事を思い出した。彼は永遠の命は脳内を機械にコピーする事で辿り着き、また場合によっては手を加えた脳内機械を人間に移すことで発達障害を治療できると言う。
大変興味深い狂気的な話だが、このHPの思想の原点がこの動画に無く、
クリエイターが思いついた話なら、案外そう考える人々は多いのかもしれない。
それは人間の精神的変化の可能性と、器としての人間の変化による不可逆的思想が同時に存在することであるから、身体に人格が全て植え付けられているに違いない。それを治療すれば良い。という考えに至るのかと思う。

実際には人格的な変化に必須なのは、環境の変化がほぼ全てと言ってもいいのではないだろうか。
又、時間の経過だ。
もし自分が一時的に生き残る為に人を殺してしまったとしよう。
それは原因を取り除いたお陰で生き残ることが出来た。
つまりそれは再犯する可能性は低いだろう。
只本人は強いトラウマを抱える事になるだろうことも容易に想像出来るが。

しかし、生きる事とは関係のない殺人をしたとしよう。
例えば私利私欲、快楽、好奇心、何でもあるが。
それは再犯する可能性は高いだろう。
何故なら殺人の理由が己を満たすためだから。

でもそれを理解して話を進めていけば、
今回の彼らのような再犯率自体は低いであろう少年達に対して、
強力な洗脳状態に短期間でするというのは、対処としてあまり効率的ではなかったり、
そもそもとしてあまり猟奇的ではないものを、如何に状態が不良で規則を破ったとしても、そこまでの理由にはならないと考える。
つまり今回は人選を誤っている。


だからこそ、何が起こったか探って欲しいと、情報提供を求める人がいるのだ。
つまりこの人選ミスとネットリテラシーの低さによって露呈した様々な資料が、この施設を追い詰める事となったのだ。


と言うのがこの少年院の感想だ。
以下からこのHPには啓蒙の部分がある。の啓蒙について触れていく。

発達障害者に対する啓蒙

何故このHPが発達障害者に対する啓蒙になるのかと言うと、
発達障害に関しても実は既に精神療法と薬物療法が一般的に行われているからだ。
流石に外科的治療は無いが。
しかし脳波を検査することで障害度を検査することは既に一般的だ。

この発達障害に対する『治療』とは何かと言うと、
実はこのかがみの更生施設と全く同じなのだ。

特に話すのはADHDだが、この障害には頭がすっきりする薬がいくつかある。
効果が強いもの(コンサータ)は効果が切れると、無理な過集中状態が長時間続いた為に、何十時間も眠ってしまうという人が多い。
効果が軽微なもの(ストラテラ)と言っても、三か月飲み続けなければ効果は分かりずらい割に、副作用で極度な食欲不振になる。脳に直接効く薬は大体そういう感じだ。
飲み続ければ、頭がクリアになって、集中スイッチの切り替えが出来るようになるし、気持ちの整理が出来る余力が生まれる→人間関係を構築しやすくなる。
また心理カウンセリングは続いており、今の所はうつ病は少し柔らかくなっているが、体力作りで始めた運動で風邪を引いたりして、何となく完全ではないがずっと続いている。

つまり何が言いたいかと言うと、
私が受けている治療の意味と、少年院で受けている治療の意味が同じ。
という事だ。

発達障碍者の私も、前科のある少年達も、
一般的な日本社会で日本人の社会人としての洗脳をされているのだ。
普通になれと『強要』されていて、しかもそれは、
『日本社会』の『社会人』になれと洗脳されているのだ。

私は福祉番組を見て社会問題を考えるのが好きなので、その話題に関連した動画をよく見ている。
その中で、両親が亡くなった重篤な精神と身体の障害を抱えた人が介護施設にて自立の訓練をさせられる。
それは社会に出るために、適応できるように訓練するのだという。
その為に彼らが嫌がる予定変更にもパニックにならない様に、対処できるようにわざと予定を変更する。
その時は一旦パニックに陥るが、少しして作業に戻る入所者。

それを見て思うのは、
社会で自立、適応出来ることが、彼らの欲求なのだろうかと。
皆が自立、適応が出来る事が全ての幸福の根源と思って止まない人が多いと思っている。

”自立も適応も出来ない人がいた。
その人はそのまま一生を終えた。”
それが何故ダメなのか。

それは診断されてない発達障害者が全てを体現しているようだ。
社会的に不適合で、それでも何とかしようと思っても出来ない。
しかし生きる上でギリギリの所で生きてこれた人。
家が裕福だったから特に問題なく、只の人格崩壊者として生きた人。
時代が悪く、お金も無くなり、若くして未来を憂い、終わらせた人。
障害B型作業所で単純作業とおこずかい程度の給料で幸せな人。
介護施設で暴れる発達障害の叔父。

彼らの人生は彼らのものだ。
だがしかし、『日本社会』という異質なものを排除する力の強い社会構造は、『発達障害』という名前を付けて、
異質な人間で排除すべき存在とした。
だからこそ『治療法』が存在する。

これは今作品と同じじゃないか。と。

犯罪と発達障害はかなり関係が深いので連想されるのも容易であった。
精神療法と薬物療法によって人間を『治療』しようとする。
まさに日本人らしいと言えよう。

この治療後、施設から出た彼らはかなり変わってしまった。
『日本社会における正しい』に『再度』、『洗脳』されたのだ。
彼らは戻ってこない。
何故なら機能が不可逆であるから。

それに気づいた関係者が少年Aを助けてくれと言う。
何があったのか解明したいという。
しかしそれは、本当に必要なのだろうか?

つまり、少年Aは、今、とても幸せな人生なのではないだろうか?


不出来な子供として評価されていたことが、
日本社会にキチンと洗脳された事で、
つまり、自立出来て、社会生活も送れるようになって、
他人から評価も貰えるようになって、
それ以上の事があるだろうか。


↑これを発達障害者と読み替える事も出来る事に気づいただろうか。

そうするとどうだろう。
何だか不思議と彼は『日本的幸せ』を享受出来たと見えるだろう。
また、彼も脳の機能的部分も多少不可逆に『治療』されているから、前の状態に戻ることもない。
大変優秀な人物として社会に貢献するだろう。


と言う感じで、
色んな事を考えました。
多分このHPはそこまでは考えてはいなかったんじゃないかな?多分。
しかし、発達障害者として彼らを見た時に、私は同じことをしている…。
と啓蒙されたのだった。

本当の幸せとは何か。
彼らは日本に生きる以上、治療後の方が幸福だと思ったので、そこの解釈がクリエイターさんとは違ったかなという印象でした。

細かいところまでよく作りこまれていて大変よーかったです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?