見出し画像

ダイエットで自分は変わる(40)柔軟性をもつ

10万年前には自動車も鉄道も飛行機もない。人類の祖先は徒歩で世界中に散っていった。木から降りて途方もない距離を何処までも進んでいったのである。一方、航海ルートの場合は海流に逆らって拡がっていったことが判っている。フロンティアとはいつも逆境で切り拓くものだ。とロマンティックに考えることもできるが、要するに漕ぐのを止めればいつでも戻ってこられる安全なやり方なのだった。いずれにしろ、人間が好奇心を持たなかったらこれほどまでに地球上を席巻することはなかったはずだ。

現代の多くの人たちは定住している。祖先たちのように人生が旅そのものであったのとは異なり、近所をただぐるぐる巡って生きている。旅というのは出先で商取引をしたり、何かを見たり、買ったりすることであって人生ではない。そのため、半ば本能に近い「歩いて移動する」という行為の代償が必要になる。スポーツの起源には諸説あるが、僕はこの欲求を解決するためのひとつの手段ではないかと想像する。

僕は武道の真似事を嗜んでおり、週に4日ばかり稽古に出向いている。若い頃のような激しい運動を何時間もやることはないが、やはりそれなりに体力は必要だ。アニマリスト的な食生活をするにあたっての懸念材料は、糖質を減らすことによる体力の消耗であった。現在は直前に玄米やパスタ、蕎麦などを軽く摂ることで疲労感は出ていないし、糖質欲が抑えられなくなることもない。体重はその程度ではまったく影響を受けない。稽古のない3日は仕事や散歩で8,000歩程度の歩行があるほかは、特にスポーツなどはやらないので原則的に炭水化物は摂取せず問題ない。

糖質制限は農耕以前の人類が何万年も続けてきたスタイルであるので、新人類でない多くの現代人に無理のない食生活である。ただし、祖先たちがいくら大陸を闊歩していたからといってスポーツ競技のような進み方はしていなかったはずである。現代人は何かをやるとなるとエクストリームな方向へ傾いてしまいがちであるが、アニマリズムは何時間も汗をかいてワークアウトするような状況を想定していない。必要に応じて水分と穀類、果物などは摂ったほうが良い。疲労感が抜けないようだと糖質が欠乏している。じゅうぶんに注意されたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?