親をメロメロにする子どもの魔法と有効期限

わたしは夫から親バカだと思われている。
かわいいかわいい、大好き大好きと、子どもにしょっちゅう言っているからだ。子どもには親をメロメロにさせる能力があるようだ。ほとんどの母親は、自分の子が世界一かわいいと思っているんじゃないかな。

長男が2歳を過ぎた頃、職場関係の自分の親世代の女性と子育てについて話をしていて、魔の2歳児のイヤイヤ期について聞かれたことがある。
彼女には娘さんがひとりいて、その娘さんには小学生になる息子がいる。娘さんはわたしと同年代だ。娘さんは子どものイヤイヤ期の対応が大変だったとき子どもをかわいいと思えなくなったそうだ。その時期は、子どもとってのおばあちゃんにサポートしてもらってなんとか乗り切ったそうだ。
イヤイヤ期のツライ経験があったから、子どもはひとりっこで良いと決めたそうだ。

そんな話をされた後、わたしに「子どもがかわいいと思えなくなることはある?」と尋ねてきた。

その時の答えはNOだった。どういうわけか息子のかわいい指数は最高値を更新しつづけている、という内容を答えた。本格的なイヤイヤが出てきてなかった頃とは言え、なんと幸せな日々だったんだろうか。

我が家では、毎日成長してかわいさが進化する息子を記録し、プリントアウトした写真を時系列でアルバムに整理してまとめている。実際にはあまり過去の分をゆっくり見返すことは少ない。

ところが次男が生まれてから、長男は自分が赤ちゃんだったころの写真を見たがるようになった。
いまは次男がみんなの注目を集めているけれど、自分にも赤ちゃんの時があってみんなに大事にされていた、ということを確認したいようなのだ。

長男の赤ちゃんのころの写真をみると、ショッキングなことに、当時はあんなにかわいいと思っていた造形なのに、今のわたしの目には極普通の赤ちゃんにしか見えなくなっていることに気付いた。なんというか、肩透かしをくらったような気分だ。
あの頃は、赤ちゃんから魅力のビームが四方八方に飛び出していたはずなのにな。本当はもっとかわいかったはずでは、、、と思ってしまう。もちろん、これは長男には秘密の気持ちである。

親をメロメロにする赤ちゃんの魔法は、いま目の前にいる赤ちゃんにだけ作用するようになってるのだろう。だから、他人の赤ちゃんや過去の赤ちゃんには親は目もくれず、目の前の赤ちゃんにだけ情熱を注ぐことができるのだろうな。

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