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【代表員インタビュー】9月9日「救急の日」 日本の医療の課題 【前編】

皆さん、こんにちは。アナムネ広報担当の吉田です。
おうち病院を運営する株式会社アナムネは、9月9日が創業記念日です(※1)。そして9月9日は語呂合わせで「救急の日」でもあり、医療と縁の深い日と言えます。そんな記念日に合わせせて、日本の救急医療を含む医療課題とその解決への展望について、当社代表菅原にインタビューをしました。今回を含め全3回で掲載していきたいと思います。

(※1)おうち病院 創業9周年記念に関する公式プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000027080.html


当社代表プロフィール
菅原 康之(すがわら やすし)
・1979年 北海道生まれ 44歳
・岩手大学 農学部卒
・慶応義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA)卒
・大手ネットマーケティング企業にて新規事業開発およびコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業に従事
・ベンチャーキャピタル子会社の設立より参画、パートナーに就任
・2014年 株式会社アナムネ(おうち病院)を創業


9月9日はおうち病院の創業記念日とのことですね

ーまずはおうち病院について教えてください

おうち病院はビデオ通話で自宅・職場等から空き時間を利用して簡単にオンライン診療などが受けられるサービスです。朝8時~夜22時まで365日受診可能なので、病院・クリニックが営業していない時間でも受診が可能です。お薬の受取りも日本全国にある大手調剤薬局・ドラッグストア2500店と連携しているので、自宅・職場・最寄り駅近くの薬局を指定して薬を受け取ることができます。日々の仕事が忙しく受診したいタイミングで病院・クリニックにかかれない方々でも、生活の隙間時間に受診することが可能です。2014年の開業からこれまで7000人以上の利用がある安心なサービスです。

ー9月9日は創業記念日とのことで、9周年記念ページを公開したことの背景にはどんなことがあるのでしょうか

そうなんです。今回の9周年に合わせて、我々がサービス運営を続けてこれたのは実際におうち病院をご利用していいただいているお客様がいるからであり、日頃より多くの感謝の言葉をメールはチャットなどでいただいているので、それらをまとめて、改めて感謝をかみしめて、より良いサービスに進化させていく決意としようと考えて制作しました。
 我々は、現在の医療サービスが必ずしもユーザー視点で作られていないと考えており、一人ひとりの患者様にとって、「選びやすく・安心してサービスを受けられ・また利用したいと思ってもらえる」サービスにしたいとの考えから、特化型外来という取り組みをいくつも展開しているのですが、改めてその取り組みについても知っていただける機会にしたいと思っています。

ーおうち病院の創業のきっかけは何ですか?

医師の妻と結婚し、子供ができたタイミングで女性医師の抱える問題を知りました。広く知られていないことですが、医師は個人事業主のような雇用形態で、産休や育休などで残業や夜勤、休日担当医などの残業代がなくなるとと社会人新入社員並みの給与水準に下がってしまいます。また休職制度が充実しているわけではないので、働けなくなった時点で事実上のクビになります。そのため、出産や育児をきっかけに医療の現場から離れてしまう女性医師が多くいます。実際に厚生労働省の調査では、全体の医師に対して女性医師の割合は年代が高くなるほど少なくなっていて、他の業種に比べていびつな就業構造の職業であることが分かります。
妻のキャリアを守るため、自宅で育児の合間に患者さんのサポートができるよう夫婦2人で始めたのがオンライン医療サービス「おうち病院」でした。最初は今のようなオンライン診療についての規制が整備されていなかったので、医療相談がメインのサービスでした。妻が友人から病気の相談を電話で受けていたのをヒントに、身近な人の役に立ちたいという気持ちから生まれました。おかげさまで多くの方に利用してもらい、2023年9月現在で120人ほどの医師が登録しています。

「救急の日」にちなんで日本における医療の課題についてどのように考えているか聞きてみます

ー多くのお医者さんがおうち病院に関わっていますが、救急医療などの対応をしている大きい病院ほど医師不足が叫ばれていますがその原因など、どのように考えていますか?

実際に救命救急専門の医師に聞いた話によると、119番の半分は緊急に必要ではない酔っ払いや軽症の人がかけているようです。中には「近所の人に気づかれたくないのでサイレンを消して来てください」という身勝手な要望をする人もいます。こうした状況は、本当に治療を必要としている人に手が届かず、医師の労働時間が長くなってしまうことにつながっています。医師の働き方が問題視されて長いですが、我々一般の生活者が適切な医療の使い方をできていないことも原因の一つであると考えています。

ー日本で救急医療が適切に利用されない原因は何でしょう

日本の医療は国民皆保険制度によって日本国民であればどこに住んでいても自己負担少なく高品質の医療を受けることができます。この恵まれた制度の弊害で、日本では医療リテラシーが発達しておらず、どんな時に救急車を呼べばいいのか、どこの医師を頼ればいいのか分からない人が多いと感じます。例えば欧米諸国では「家庭医」と呼ばれる、その地域のそれぞれの家族の子供からおじいちゃんまで長期間にわたり医療サポートをする医師の在り方があります。日本にも「かかりつけ医」という表現があり家庭に近い意味に感じますが、欧米諸国の家庭ほど手厚く患者を診られていません。生活者が気軽に相談できる医療機関が必要だと思います。

ー適切な利用もありますが、医療現場の働き方改革には医師の増加も必要だと思いますね

先ほども話しましたが、日本には技術がありながら現場を離れてしまった多くの女性医師がいます。出産や育児といったライフステージに応じてやむを得ず離職した場合がほとんどで、働ける環境さえ整えられれば復職できます。おうち病院では、そうした女性医師と一緒にサービスを提供してきました。出産や育児期間をおうち病院で働くことで、現場感覚が鈍ることを避け、育休後に復職しやすくなりますので、女性医師の働き方改革に貢献できているのではないかと考えています。

―病院常勤勤務医の約4割が年960時間超、約1割が年1,860時間超の時間外・休日労働をしているというデータもあります

医師が適切な職場環境で働ける環境づくりは急務です。患者が目の前にいる状況で、休みたいから休むという選択肢は使命感のある医師ほど実際には取ることができません。限界の状態でさらに無理を強いているのが日本の医療現場です。まずはこの現状を正しく認識し、インターネットなどの使える技術を用いて対処していく必要があると考えています。

医療の地域格差も大きな問題。オンライン診療は地域医療格差の解消にも貢献できるか

―病院の専門科は首都圏に集中し、地方との医療格差も問題になっています

患者が適切な病院にかかれないのは、住んでいる地域に専門医がいないことも原因の一つだと思います。そもそも私が大学生の時に住んでいた岩手県は現在、公共交通手段がなく医療機関にかかれない無医地区と呼ばれるところに住んでいる人が13,410人と全国最多と厳しい状況に置かれています。おうち病院では、北は北海道、南は沖縄の石垣島まで、たとえ離島であっても薬局さえあれば専門医の診察と処方が受けられます。多くの人にオンライン診療というサービスのもたらす価値を知ってもらいたいです。

―おうち病院で一番解決したい医療課題は何でしょう

医療現場は問題だらけだと思います。課題を一つに絞ることはできません。ただ、医療におけるいくつもの課題はオンライン診療を適切に取り入れていくことで解決できると考えております。現在の医療の多くは時間や地理的条件が固定されたサービスになっていますが、この「時間と地理的条件」を限りなく均質化しくれるのが、オンライン診療のようなインターネットが得意とすることなのです。
 医療は人々にとって重要なインフラであり、人手不足や地方格差を言い訳に放置して良いものではありません。おうち病院は、仕事の忙しさであったり、住んでいる地域の問題で専門の病院やクリニックが近くになかったりする方々の「真のかかりつけ医」になるのが目標です。

以上、【代表員インタビュー】9月9日「救急の日」日本の医療の課題 【前編】のインタビューでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回、中編も楽しみにしていてください。

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(取材・文/吉田 拓望)