見出し画像

あの鐘を鳴らしたい

「IPOした」とか「上場した」というニュースを見ると、証券取引所で鐘を鳴らして、みんなで集合写真を撮っているものが多い。

夫が起業して8年目。
起業した当時、役員と私しかいなかった会社は30人弱の会社になった。
ありがたいことに売り上げも倍々で増えている。

最初、夫が仕事をやめた頃、心配だった。
「起業したい」とは言っていたがプロポーズとほぼ同時に「仕事を辞めてきた」と言われたときはびっくりした。
夫と暮らしだして、私は仕事に行って夫は家にいる生活が続いた。
夫は単発で仕事をもらいながらアプリを作っていた。

幸い、アプリはいくつかの賞をいただいた。
アプリ紹介の動画を撮ったりもしたが、事業化するには難しかった。
その後、あるコンテストに引っかかった。

今でいう、VRみたいなものを作るということだったが出来上がったのは全然違うものだった。
会社員時代から「あったらいいのにな」と思っていたものを形にしたのだった。
それは審査員の方たちに評価され、事業化することとなった。

夫はそのころ「一人で起業してはいけない、複数人でやらなくては」と言っていた。
結局、元同僚とハッカソンで出会った人たちと一緒に会社を作ることとなった。
その中の一人は、「今までいろんな人が『一緒に会社を興そう』と言ってきたが、結局みんな諦めてやめてしまっていた。彼(夫)だけは最後までやると言ったのでジョインすることとした。実際いつも最後までやりきるので信頼している」と言ってくれて、今でも一緒に働いている。

そうして、会社ができあがり、クラウドファンディングして資金が集まると製品を販売することとなった。
最初は個人ユースを想定していたが、ふたを開けてみると企業のほうが購入してくれることが多かった。
私はインターネットを通じて買ってくれたお客さんに発送する準備をしたり、経理書類を集めたり、SNSで広報したりしていた。

それからお客さんのニーズに合わせて、もっと大きな製品を作ることになった。
従業員を増やし、製品を作ることになった。
このころから学生のインターンも来てもらうようになった。
私は人事の仕事もするようになった。
今ではいろんな国から来た従業員と一緒に仕事をしている。

製品は無事できあがり、今ではいろんなところで使ってもらっている。

夫が仕事を辞めて起業してから、子どもも生まれ、子どもを育てながら夫の会社を手伝うというのは本当に大変だった。
下の子の時は、出産した病院でも仕事していた。
ネットでよくみる「社長の奥さんは専業主婦」みたいなのを見るに、いつも羨ましかった。
ともかく、働かないといけなかったので子どもを保育所に預けて働いた。
その子ももう小学生になる。

夫はもっといろんなものを作りたいと考えている。
いろんなものを作るにはお金が必要である。
起業後、お世話になった会社の倒産などで資金繰りが苦しかった時もあったので、しばらくは投資を入れないと考えていた。
今も投資は入っていない。
(たまに驚かれるけど)

だが、会社が大きくなると、上場も選択肢の一つになる。
経営的にどうするかは夫たちにしか分からないが、もし、上場するなら、あの鐘を鳴らす場に行ってみたいなと思う。
いろんな起業家の本に鐘を鳴らすシーンは出てくるし、人生の中でも大きなイベントとなっているのだろう。
あの鐘は「スタートラインに立った」事を知らせるに過ぎないが、いろんな人から投資してもらってお金が集まれば、もっと沢山の製品を作って利用してもらえる。
沢山の人に働いてもらえる。

いつか、本当に、あの場所に行けることになったら、鐘を鳴らしてみたいなと思う。

#かなえたい夢

この記事が参加している募集

仕事について話そう

フォローやスキを頂くと励みになります。サポート頂けたらいつものコーヒーにお菓子がプラスされます。