好きなことをするって凄く幸せなことだし、そもそも「好きなこと」がある自体が恵まれているのかもしれない。

でもぶっちゃけた話、好きなことがあっても楽しいことばかりじゃない。自分の中でやりたいことや好きなことが見つかったばかりの最初の頃は、とにかく楽しくて仕方なかった。

けれど想像で始まった「好き」が実体を持つようになってからは、どんどん欲深くなったように思う。もっとやりたいことへの時間を増やしたいとか、やりたくないことをやりたくないとか、自分の作るもので誰かの役に立ちたいとか。

小さな部屋の中で趣味の一つとして自己満でやっていたものが、誰かに必要としてもらえるものになった途端、自分の中での価値も今までよりもぐんと上がって、好きなことで飯を食べていきたいとまで思ってしまう。

けれど現実はとてもシビア。避けて通りたいけど必ずついて回るのが、お金の問題。

もうすでに有り余るほどの金銭的余裕と社会的信用を持っているわけでも無く、ビジネスの知識が豊富なわけでもなく、誰かが拾ってくれるほどの才能を持ち合わせているわけでもない。

自分の現状をノートに箇条書きで書き出してみたら、他人が知ったら到底不安になりそうなものばかりだった。「どうやって生きてるの？大丈夫？」そんな声が聞こえてきそうなくらいには。

ないないばかり言っていても仕方ないから、自分で学んで動く。金銭的余裕はマイナス100からのスタートだから頭と手と足を使う。社会的信用は地道に積み上げていくしかない。ビジネスの知識は先駆者に学んだり失敗と成功を繰り返す。唸るほどの才能はないから自分から旗をふって、どんどん売り込む。

これしか方法はないだろう。

あとはもうただ行動するしかないのに、それが上手く出来ない自分に腹が立つ。金銭的に余裕がないとこんなにも苦しいのか。それと同時にこんなにも必死に脳を回転させることができるのか。

周囲に「ひとやすみしよう」と言いながら今にも崖から落ちそうで、それでも落ちない様にバランスを取っている。きっと大丈夫だと自分に言い聞かせながら。「好きなことするって楽しいばかりじゃないなあ。」とたまに車で泣きながら。それでも描いた道筋をたどりながら私は生きようと思う。