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76期二回試験最速振り返り

 たった今76期二回試験が終わりました。この記事は二回試験が終わって数時間後、忘れないうちに書き留めておく備忘録です。77期以降の方にとっても何かの参考になれば幸いです。

民事弁護

出題:被告最終準備書面
枚数:27枚(19+8)
小問:執行保全、和解、倫理
直前に見たもの:はじめての和解条項

 原告が契約不適合責任に基づく解除による原状回復請求をし、被告は
①契約の内容になっていない
②不適合はない
③不履行が軽微
④566条の担保責任期間(1年)を過ぎている
 と反論している事案。

 集合で「最終準備書面は書面に表れた主張は全部触れろ」と言われたのでとりあえず全部触れました。「最終準備書面は尋問を引用できる唯一の準備書面」とも口酸っぱく言われたので、とにかく引用することを心がけました。

 小問は①執行保全(穴埋め)、②和解条項、③弁護士倫理でした。69期の民弁で41人落ちた救済として穴埋め式の小問が出るようになったらしいです。和解条項は集合起案では語句の穴埋め式だったのですが、二回試験は全部書かせる形式になっていました。

 思ったより時間がかかり、17時45分の制限時間いっぱいまで残っていたのですが、最後まで残ると全員の答案を監督員が確認するまで部屋から出られず、帰れたのは18時15分頃になってしまいました。この30分間はあまりにも無駄だったので、翌日からは絶対に途中退出するようにしました。

刑事弁護

出題:窃盗の犯人性の否認
枚数:18枚(14+4)
小問:忘れました
直前に見たもの:集合のパワポ

 テレビとプレステが盗まれ、後日近所の中古品店で発見され、それを売りに来ていたのがマンションの隣の住人だったという事案。

 証明予定事実記載書に載っている犯人性の間接事実を順番に叩き、それぞれ事実を争うか推認力を争うかを考えればいいので、大きく外すことはなかったです。テレビは同一でプレステは同種でそれを同時に売っているというところにややひねりがありました。

 書いた枚数は一番少ないです。刑弁は基本的に時間が余るので、15時に途中退出したときには半分以上帰っていました。

刑事裁判

出題:覚醒剤だという認識の有無
枚数:19枚(17+2)
小問:AQ先行
直前に見たもの:なし

 海外から輸入された靴に覚醒剤が仕込まれていたことが税関で判明し、受け取りに来た男が逮捕された事案。

 「Aが当時覚醒剤密売グループの現役メンバーだった」という間接事実について、まず認定するまでが一苦労で、さらにそれを認定したところでどう推認するのかという、地獄のような問題でした(公判前にヒントはありました)。

 証拠構造も複雑で難しかったです。ある間接事実を認定するためにその中で別の直接証拠の信用性を検討する必要がある、みたいな入れ子構造だったような気がしますが幻かもしれません。

 小問は「乙号証の採否を留保してAQ先行するのはなぜか」という問題でしたが、集合の刑弁起案で同じような小問が出ていて救われました。

検察

出題:詐欺(共犯)
枚数:35枚(33+2)
小問:接見禁止の申立ての理由
直前に見たもの:型の見出しだけ抜き出したもの

 「本件うそ」でおなじみの判例(最判平成30年3月22日)がベース。電話役が高齢者に現金を引き出すよう指示し、受け子役が取りに行く詐欺の共犯事案。

 集合の2回目の起案が詐欺の共犯で、また出るのではと言われていましたが、本当に同じような問題が出ました。集合の復習をしていれば、とりあえず書くべきことは外さなかったのではないかと思います。

 検察はとにかく量が多く、50枚以上書いた人もたくさんいたようです(そんなに書けない……)。最初に配られる答案用紙の枚数が35枚で、追加を取りに行くのが面倒になったので35枚ぴったりで終わらせました。犯人性より犯罪の成否のほうが明らかに大変な問題でした。

 上記判例の「財物の交付を求める文言を述べていなくても実行の着手にあたる」という判示のせいで実行行為がめちゃくちゃ長くなり、何度も同じようなことを書くのがしんどかったです。

民事裁判

出題:訴訟物は所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権(ではなかったらしいです)、事実認定は通謀虚偽表示の有無(3型)
枚数:22枚
小問:なし
直前に見たもの:事実摘示記載例集

 めちゃくちゃ難しかったです。記録が100ページ、準備書面だけで40ページあり、主張整理にかなり時間を取られて書き始めるのが遅くなりました。よく読むと関連事実が長すぎて要件事実は意外とシンプルだった気がしなくもありません。対象が「建物」だけだった理由は結局よく分かりませんでした。

 事実認定の対象が指定されており、訴訟物や要件事実が正しく書けなくても事実認定に進めるようになっていました。75期で落ちたのは全員民裁だったので、これに対する救済なのではないかと思います。要件事実を間違えると事実認定をまるまる落とすリスクがあるのでこれはありがたかったです。

 私の感覚だと「これは結論分かれず○○を勝ちにした人多そうだな」と思ったのですが、実際はどうだったんでしょう。


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