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NASと青春映画/ドラマ ノルウェーからインドまで〜

インドからノルウェーまで 青春映画/ドラマとNAS 

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NASが制作に関わったインドの青春ラップ映画ガリーボーイが10/18に公開します。NASの楽曲は多くの青春映画で主人公心の拠り所として、人と人をつなげるシーンに登場してきました。彼自身が作詞も手がけたNETFLIX ドラマ”The Get Down”も存在します。
この記事は私がみたNasが登場する青春映画&ドラマの紹介記事です。彼の曲が登場する青春映画全てを網羅できていません。個人的に心に残った作品のみを紹介しています。

フィッシュタンク〜ミア、15歳の物語 (2009,イギリス )と Life’s a Bitch

Fish Tank アンドレア・アーノルド監督 

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仲が良くない母親と妹と団地に住み、友人関係も勉強もうまくいかないダンス好きの15歳のミア(ケイティ・ジャーヴィス)の日常が、母親の友人コナー(マイケル・ファスベンダー)の出現を機に変化していく。

アンドレア・アーノルドの作品はヤンキーやDQNなどラベルを貼られひとまとめにされがちな属性の個人の甘くない日常を突き放さずに美しい映像で撮っているところがすごい。荒涼とした土地や雑然とした部屋も印象的なカットにする絵作りの力が卓越している。

*ネタバレ

ラストシーンでミアが街を離れるため家を出るシーン。ミアの持つCDを聴きながら体を揺らしていた母親が振り向き、行くんでしょ? 行けばいいよ と声をかける。ミアと母と妹三人は無言向き合いでLife’s a bitchで踊る。

“Life's a bitch and then you die
That's why we get high
Cause you never know when you gonna go”

“人生はビッチ お前が死ぬまで

だから俺らはハイになるんだ自分がどうなるかなんてわかりっこないから”



ミアの人生は本当にビッチだし、こんな人生を送る女の子は日本でも特に珍しくないってこともビッチ。 Life’s A BitchはNAS の曲で一番好きで、誕生日に日付が変わる瞬間に聞いた。

 ショート・ターム (2013,アメリカ)

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Short term 12 ディスティン・ダニエル・クレットン監督
 短期間児童保護施設を舞台に若いケアマネージャーとティーンエイジャーの日常を描いた傑作ヒューマンドラマ。ブリー・ラーソン「キャプテン・マーベル」、ラミ・マレク「ボヘミアン・ラプソディ」,ラキース・スタンフィールド「アトランタ」などのちのスターが数多く出演。
この作品の白眉はもうすぐ18歳の誕生日を迎え施設を出るマーカス(ラキース・スタンフィールド)が自室で自分を虐待した母親についてラップするシーンだろう。ラキース・スタンフィールド自身が作詞した歌詞と、感情が込みあげつつも抑えようとする演技に圧倒される。

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このマーカスが大切に飼う金魚の名前がナズ。この作品で私はラップに初めて興味を持ち、NASを知った。


ドープ!! (2015,アメリカ)とThe World is Yours


DOPE リック・ファミュイーワ監督


イングルウッドを舞台にハーバード大を目指す優等生が麻薬取引に巻き込まれる青春クライムコメディ。2015年の作品なのに高校生がビットコインを使っているのもすごい。

主人公のマルコムは90年代ヒップホップのオタクで通学中もわざわざ旧式ウォークマンにカセットテープセットして曲を聴いている。そんなマルコムが経験した大変な1日の最後、母親が運転するバスの最後部席中央に座る彼の視点からのカメラワークでNASのThe World is Yoursが流れる。この曲をバックに親友たち、彼を追いかけるギャング、いじめっ子など彼を取り巻く人間が続々と乗車する夢か現か分からないシーン。

“I”'m out for dead presidents to represent me
Whose world is this?
The world is yours, the world is yours
It's mine, it's mine, it's mine; whose world is this?
The world is yours, the world is yours
It's mine, it's mine, it's mine; whose world is this?”

“死んだ大統領たちに俺を代表してもらうことにするよ

この世界は誰のもの? 世界はお前のものだこの世はお前のものなんだよ 俺のもの 俺のもの この世は誰のもの?”

*死んだ大統領たちとはお札のこと


マルコムは安全に暮らしたいという自分の意志と真逆に麻薬取引に巻き込まれ全く状況がコントロールできない。そんな彼と世界はお前のものだよと歌うサビの対比が皮肉だった。


SKAM season3-4(ノルウェー,2016-2017) "N.Y. State Of Mind

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SKAMはノルウェー語で“恥” を意味する。国営放送NPRによる1999年生まれの高校生たちの青春ドラマ。主人公たちに比較的モラルがあるSKINSといった趣。こじれた友人関係、フェミニストとファックボーイの恋愛、初めての男同士の恋愛、ノルウェーでムスリマとしての生活を各4シーズン主人公を変え放送した。スタイリッシュな映像と音楽に加え、キャラクターのInstagramアカウントを現実に製作し、作中と同じ時間に公式サイトでクリップを配信し週末まとめたエピソードを放送するという革新的な配信方法でも注目を集めた。世界的大ヒットを記録し、欧米7カ国でリメイクされた。

NASの曲が登場するのはseason3のepisode 2. 仲間とつるむこととヒップホップが好きな平凡な高校生Isak(イサク)が主人公のシーズン。

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彼は年上の同級生Even(エヴァン)に惹かれていく。エヴァンがイサクに残すメッセージがNY State of mindの引用

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“I never sleep, cause sleep is the cousin of death” 

“俺は眠らないんだ 眠りは死のいとこだから”




この歌詞が二人をつなげる。音楽の趣味が合う人と恋愛するって良いよなーとシンプルに思った。

*ネタバレ


Episode9 エヴァンが自分の躁鬱病の症状をメールでイサクに伝える時にCherry Wineの歌詞を引用する。

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“The noise in my head, the curse of the talented
Strong communicator, vagabond, I’d gallivant around the equator if that would get me off the radar
It’s so intense, I’m on my Lilo and Stitch
Pour my Pinot Grigio and Cris with some lime, what is this?
An immaculate version of “Me and My Bitch” by Biggie
With all respect cause you the only one that gets me”

“頭の中の騒音と強く利発なコミュニケーターの呪い 放浪者

赤道の周りでいちゃつくよ レーダーから俺を外してくれるのなら

これって超異常だよな 俺はリロ&スティッチ状態

ピノ・グリを注ぐ クリスとライムもいくつか これはなんだ?

ビギーのMe and My Bitchの潔白バージョンさ 最上の敬意とともにね 君は俺を手に入れた唯一の人だから”


 言語化しづらい感情を持ったとき自分の状況に完全に当てはまるわけでなくても歌詞が代弁してくれる様な気がすることってあるし、それだけNASの歌詞が国を超えて人の心を動かすんだと思った。

ガリーボーイ(インド,2019)

Gully Boy ゾーヤー・アクタール監督

監督のアプローチを受けたNASが制作にも関わりインドのラッパーとのコラボ曲も発表した。

スラム街に住む大学生がラップの大会に参加し優勝を狙う青春映画。

インド映画でムスリムの主人公を初めて見た。

主人公ムラド(ランヴィール・シン)の家の中にスラムツーリズムに来た白人の観光客が着ているのがNASの顔のプリントTシャツ 「ありがとう、こらはアメリカのラッパーでNASといって…」ムラドは遮り

“funky rhythm I be kickin'
Musician, inflictin' composition, of pain
I'm like Scarface sniffin' cocaine”

“ファンキーなリズムで俺はキメる

音楽家は与える痛みの作曲

まるでコカインを嗅ぐスカーフェイス”

NASの曲を引用する NY state of MInd??

(ファンキーなリズムと聞こえたからこの曲かもと思ったけど自信ないです。違ったらごめんなさい)


番外編  憎しみ (フランス,1995) とLife’s a Bitchのマッシュアップ


YOTUBEに憎しみとLife’s a Bitchのマッシュアップ動画がある。 憎しみはパリ郊外のバンリューが舞台。警察官に殺された友人を巡り動き回る、移民家庭出身の3人組の1日を描いた名作。作中にNASの曲は使用されていないが、Illumaticの翌年に公開され、文化に多大な影響を残した。 この作品のキーワードに世界は誰のもの?がある。アル・パチーノ演じるキューバ出身の若者がアメリカに渡り麻薬取引でのし上がるギャング映画「スカーフェイス」で気球に浮かぶ文字「The World Is Yours」。この文はNASを始めラッパーに度々使われてきた。この「Thre World Is Yours」に対する一つの回答が「憎しみ」にある。

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00年代から10年代まではNASの曲が映画の中で特に印象に残った。今後公開される映画で彼の様にフューチャーされるアーティストは誰になるだろう。


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