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水産業と郊外型住宅地の課題を一挙解決!?鎌倉に「さかなの協同販売所」をつくる!

こんにちは、「〇〇と鎌倉」の狩野です。
前回の記事では、2017年にスタートした「阿久根と鎌倉」プロジェクトを通じて偶然知ることとなった、水産業における様々な課題と、鎌倉の郊外型住宅地における様々な課題、そしてそれらを一度に解決できるかもしれないという事業の準備を進めているという話をしました。

現在、私たちは、鎌倉の中でも交通の便が悪い住宅地の中に、さかなと特産物を取り扱う「さかなの協同販売所」(仮)をつくる準備を進めています。鮮魚や水産加工品を中心に、阿久根(「〇〇と鎌倉」のパートナーエリア)の特産物なども販売するアンテナショップのようなイメージです。魚が売れ残らないよう複数の鎌倉の料理人と連携し、惣菜の販売もします。
住宅地の中にある、シャッター化が進む商店街の中に拠点を置きながら、他の住宅地も車で移動販売することで、事業として継続できる仕組みを考えています。

地域の高齢者や学生等にも積極的に店舗運営に関わってもらい、パートナーエリアからは定期的に水産業者や学生を研修として受け入れ、地域や世代を超えて協同運営できるような店を目指します。

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ポイントは、この事業主体者が、阿久根側の水産業者や観光連盟でも「〇〇と鎌倉」でもなく、鎌倉の地域住民たちという点です。この事業を実現することが、自分たちが暮らす郊外型住宅地の課題解決につながると気づき、阿久根側の事業者や「〇〇と鎌倉」だけにまかせるではなく、自分たちでも動こうと立ち上がりました。

あまりピンとこない方もいるかもしれないので、まずは、これまでの経緯を説明したいと思います。

阿久根の課題解決からスタートした「阿久根と鎌倉」プロジェクト

2017年に鹿児島県阿久根市と「〇〇と鎌倉」の協業でスタートした「阿久根と鎌倉」プロジェクト。当初の目的は、人材不足に悩む漁業・水産業における人材育成や、”魚”にまつわる生業づくりでした。

阿久根市の高校生や大学生、若手の水産業者らが鎌倉に短期滞在し、鮮魚販売や食堂運営を担うイベントを2017年、2018年と行いました。

2017年に鎌倉中心部で行った3日間の鮮魚販売・居酒屋営業は大盛況。一般的に知られていないような魚種も、丸魚の状態で売れていく様子は、連日手伝いで入ってくれた元漁師・元官僚の「お魚伝道師」上田勝彦さんも驚くほどでした。

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2017年上田勝彦さん(左)、阿久根のメンバーたちと

鮮魚の移動販売に高齢者が連日行列!?

そこで、翌年は場所を変えて住宅地で販売してみようと、鎌倉市内2ヶ所で鮮魚の移動販売を行いました。一つは鎌倉中心部の由比ガ浜、もう一つは交通の便が悪い住宅地・今泉台です。

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鎌倉駅と大仏や長谷寺といった観光地を結ぶ由比ガ浜通りにある米店の駐車場にて
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静かな住宅地にある今泉台町内会館前

結果は、驚くべきもので、交通の便が悪い今泉台で、連日高齢者が行列し、早々に鮮魚が完売したのです。そこで初めて知ったのは、海が近い鎌倉というエリア内でも、日常的においしい鮮魚を食べられない人たちがいること。商店街にあったまちの魚屋は閉業し、鮮魚を買うには車かバスで大船駅まで出なければならず、高齢化率45%を超える今泉台では日常の買い物が大きな地域課題となっていることがわかりました。

また、商店街は半数以上が営業していないため、地域の中におけるコミュニケーション機会も限られていることがわかりました。仲買人から阿久根独自の食べ方を教わったり、高校生と鹿児島の話をしたり、そういった地域や世代を超えた交流は、とても刺激的で楽しい経験だったようです。

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鮮魚販売を担った高校生や先生、仲買人、阿久根市の職員たち
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一生懸命働く高校生たちを応援したくなったという声も
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高校教師、海女さん、水産業者、市役所職員といった多様なメンバーが協力し合うことで、阿久根内の団結力が高まったそう

鮮魚販売以外にも、期間中は食堂運営やベントなどを市内各所で行ったため、2018年は阿久根から15名程が入れ替わりで鎌倉に滞在しました。
「人材育成」という点では、鎌倉滞在を経験した高校生4名のうち2名が、県外の大学・専門学校に進んだのち、阿久根のまちづくりに携わる仕事がしたいとUターンを決めたそうで、若者の人材流出に頭を悩ませる地域の参考事例にもなりそうです。家業の水産会社で働く若者は、住民たちから喜んでもらったことで改めて自分の仕事の意義を感じたようで、目をキラキラさせながら帰っていった姿が印象的でした。

一次産業の現場で働いている方は特に、なかなか地元を離れられないため、地域の外で学ぶ機会はとても貴重です。一方、主に消費地である鎌倉のような地域の住民にとっても、生産者と直接つながることで、新たな食べ方を知ったり、生産者の顔がわかる安心できる食べ物を手に入れることができたりと、貴重な機会でもあります。
「〇〇と鎌倉」が目指すのは、あくまでフラットに地域と地域をつなぐこと。今後も地域間交流を通じた学びや出会いの機会づくりを積極的に取り組んで行きたいと思っています。

阿久根の鮮魚の移動販売が、鎌倉の郊外型住宅地の課題解決にもつながる!?

このプロジェクトの大きな成果は、阿久根の水産業における課題からスタートしたプロジェクトが、鎌倉の郊外型住宅地における課題解決にもつながることへの気づきを得たことです。

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2018年に今泉台で鮮魚販売を行った後、私は当時の町内会長から「次はいつやれるのか」という催促を受けるようになりました。とはいえ、阿久根側もそう頻繁に学生や水産業者らを派遣することもできず、2020年初にようやく開催目途がたちました。今泉台に加えて同様の課題を抱える梶原山町内会での販売も決まったところで、新型コロナの感染拡大を懸念して泣く泣く中止に。代わりに、同年末には鎌倉の2つの町内会と阿久根をオンラインでつないだ魚さばき教室を開催し、阿久根市の協力で送料無料の鮮魚宅配サービスを実施しました。

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阿久根側の様子 以前今泉台に滞在したメンバーで 
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オーダー可能な魚の捌き方や料理のアイデアをオンラインで教えてもらいました
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2つの町内会でアナウンスしただけでしたが、2週間で100件程のオーダーが入り、地域間交流を通じた生産者の応援や食べ支えという可能性も、改めて感じました。

しかしながら、「宅配もいいけれど、移動販売の方がもっと良い」と町内会長(当時)からまたもや要望を受けた私。もはや、鎌倉側の住民の強い要望を、阿久根側に直接伝えた方がよいだろうと(板挟みに入るのも疲れたこともあり、、)、2021年始め頃からプロジェクトの発起人である・石川秀和さん(2017年当初は阿久根市の地域おこし協力隊、現在は阿久根市観光連盟を法人化した「まちの灯台あくね」代表)との打ち合わせに、町内会のメンバーを交えるようになりました。もちろん当時は、阿久根側に定期開催の要望を出すという流れでしたが、、、

そこからの紆余曲折については、また次回書こうと思います!










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