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材質の差はない。違うのは中身の液体から伝わる〝情熱〟のみ

グラフィックデザイナー麹谷宏(こうじたに・ひろし)氏が手掛けるシャンパーニュクーラーは特別だ。元々超がつくシャンパーニュラヴァーだった作者は見た目美しいシャンパーニュのボトルを綺麗に見せるクーラーがないと世界を探した。最後の着地は「自分で造る」。

昨年10月に湯島の木村硝子店で開催された「麹谷宏グラスワークス就活展」にて。

「SALON」を溶かして作ったシャンパーニュクーラー
「シャンパーニュのサロンの空ビンだけで造った作品。泣くオトナも黙るSALON!その証拠にSALONのボトルの肩エンブレムが各作品の表に張り付いている。ボトル再生作品制作のためにはSALONの空ビンが約120本必要といったら、即150本持ってきた人が居た!」
作者コメント
美しい造形。デザインの力は凄い。ただのガラス(失礼)が形を変え意味を持たせると60万円でも需要は生まれる。そもそも日常的にSALONを飲む人はこれぐらいの金額恐くないだろう

SALON創設者の崇高なビジョンはシャンパーニュの価値をそれ以上に押し上げブラン・ド・ブランの頂点として君臨する。

SALONの価値とは、単一区画、単一品種、単一年、かつ良い年しか造らない
118年の歴史の中で43回VTのみリリースされている。

1905,1909,1911,1914,1921,1925,1928,1934,1937,1942,1943,1946,1947,
1948,1949,1951,1953,1955,1956,1959,1961,1964,1966,1969,1971,1973,
1976,1979,1982,1983,1985,1988,1990,1995,1996,1997,1999,2002,2004,
2006,2007,2008,2012

過去リリースされたヴィンテージ
SALON創始者
現社長に哲学は引き継がれている

今やSALONの最新ヴィンテージは12万円、年々高騰を続けるも全て割当となっている。

でも、このSALONを溶かしたクーラーは他のワインボトルを溶かしたクーラーと比べて品質に大きな差はあるのか?

ここに材質の大きな差はない。
違うのは中身の液体から伝わる〝情熱〟のみ。
ここに付加価値がある。

一本の胡瓜をただ折って渡したものは素材。
「胡瓜はパキッと割って手で持って食べるのが一番美味しいと思ったからそうしました、あなたに」は料理。

ここにはっきりと境界線が存在している。
その違いは〝精神〟ただそれのみ。

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