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見てこのブルー!黒に青ってほんとに素敵!!

10代後半から20代前半、人生で一番映画を観られた時期があった。
5枚で千円のDVDを借りて毎日観たり、午後のロードショーと月曜深夜?にやっていた映画天国?をチェックしたり。午後のロードショーは昔の名作が多くて(クリントイーストウッド率高し)、深夜やってた方は何となく好みの映画が多かった思い出。天国の口終わりの楽園もこれで観た。

それだけ暇があって、集中力があった。
今では中々観る気力が湧かないハーモニー・コリンやギャスパー・ノエ、ひたすらダウナーで色が美しくて衝撃的で大好きだった。ロイ・アンダーソンやウェス・アンダーソン、ヤン・シュヴァンクマイエル、とても静かで平坦で今はものすごく気合いれないと観れない多分。彼らの世界がすごく好きだったのに。今でも新作が出たら観たいデビッド・リンチやラース・フォン・トリアー、ミヒャエル・ハネケもこの時期に好きになって、リンチとハネケさんはもうすっかりおじいちゃんなので定期的にグーグルで生死を確認してる。
もちろんトレスポやレクイエム・フォー・ドリーム等薬物青春映画も大好きだった。
好みの映画がちょっと偏っているのは、私がまだ中学生のころ、母親がレンタルしてくる映画に影響された事が原因だと思う。
夜テレビを観る習慣のなかった我が家は、その代わりに親戚がダビングしてくれたディズニーのビデオテープと、近所のレンタルショップのビデオ(DVD?)を姉妹、母親と観ていた。ディズニーのビデオはまさに擦り切れるほど観た。特にアラジンとライオンキングは挿入歌を覚えて、今でも頭に残っている。

ある日母親がレンタルしてきたのは今敏監督のパーフェクトブルー
ご存じの通りレイティング付きのアニメ映画である。母親と妹と観るには若干気まずいシーンが多々、が、子供心にすごいもん見た!が脳に刻まれ、あのしんどいストーリー、結局最後どうなっちゃったのかはっきり終わらせないラスト。不明瞭に、でもそうだろうなと判断できるラストにすごく、ハマったのである。
ディズニーやジブリにはない、がっつりバッドエンド。ハッピーエンドじゃなくてもいいんだ!それがいいんだ、と植え付けられた映画。

あと記憶に残るのは蠅の王

15少年漂流記の残酷バージョン。これもまた子供が観るには刺激的。
まったく優しくない世界、なんで借りてきた?
でも現実に漂流したらみんなで協力してがんばろう!となるタイプの中学生ではなかったのでこれは15少年漂流記よりリアルなんじゃないかな~なんて考えてた。でもそれも少年たちだけの世界で成り立つ事、大人が来たらそんなの成立しないぞとひっぱたかれるようなラスト。良い。

子供の頃そんな映画に興味を持つと、一人で映画を観るようになっても好みの映画が偏ってくる。

高校生の頃、友人宅で観たZOO
何か意味があるようでない、淡々と進んでいく時間。闇の中の美しいブルー。シマウマの死体。
二人で一つのスーツを羽織って、ベンチに座る二人の姿は今でも脳の表に残っていて、ストーリーは眠くなるけど絵がそれはもう、美しい。
ZOOもその後観ようと思う好み映画に大きく影響を残している。

たなびくテープ!!!ファーーー


ブラウン管のテレビ。もう連絡をとっていない友人お元気ですか。


あの時期は堂々と、趣味は映画です!と言えた。
けど今はもう映画を観る気力がなくなってしまった。
まったく観れないわけでもないけど、今はマザー!やミッドサマーとか、マッドゴッドもそうだけど、高刺激高衝撃じゃないとギョリっと来なくて。

だから沢山の映画を、浴びるように観られたあの頃は、私の中で若くて、集中力のあったころの、綺麗な色の思い出。所々カラーで、ひとりぼっちで、小さな部屋で過ごしていた美しい思い出。



トレスポ2で、レントンとシックボーイが昔はこうで~よかったよね、と話しているシーン。若い彼女はこのおじさんまた言ってる、みたいな顔。
映画自体もトレスポのオマージュシーンがあったり過去のシーンと比較があったり、ベグビーが前に進めていなかったり。切ない。ベグビーどころかレントンもシックボーイも何もできないまま。もう、まさに、これ。大人になったってこういう事?監督もそう考えてるの?昔を思い出したりする?一緒?思い出して浸ってみたりしてもいいの??わーーーーー!!でボロボロに泣きながらみてた。大ダメージ。

結局裏切られて、痛い目みるばっかりで、やっぱりダメで、それでも続いていく人生。それでも最後に下でなく上に飛んだレントン。
そうだから、思い出っていうのは、誰にでも振り返るときがあって、それでもいいよねレントン?


#映画にまつわる思い出

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