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背中(両肩)をマットについてもいい場面とは? 抑え込みシリーズ⑥(全文無料)

 今日も今日とて柔術は楽しい。なんとか週1の練習を確保しつつ、教則動画と家トレで悪あがきをする毎日です。強くはなってないものの進歩はあると信じています。夏ごろに復帰で大会に出られたらいいなと思っています。

 今日は抑え込みシリーズの補足的な話。


 

前提.背中がマットに付けられたらダメ。

 基本的に背中がマットについているのはダメです。レスリングならフォール負けです。両肩、両骨盤がマットについていたら相手に制圧されます。ボトムでも半身になったり両肩を浮かしてる状態を作った方がいいです

 しかし、実際のスパーや試合では強い人たちはがっつり背中マットにつけているシーンをよく見ると思います

 柔術では背中をマットにつけていいシーンも存在します。それを解説していきます。

1.攻める時一瞬背中をマットにつけるのはOK

 ロールオーバースイープやブリッジスイープ、ジョンウェインスイープの様に一瞬背中がマットにつくことはあります。本当に一瞬。背中着いた状態でそこで止まったらだめです。

2.足のフレームが入っているなら背中をつけてもOK

 足のフレーム(足の裏が当たっている)が入っていれば背中がマットについても問題ないです。

・組み勝っていて腰を蹴っている片袖片襟
・足を跨がれておらず襟を取っているデラヒーバ
・巴投げ

 上記のようなガードやアタックはむしろ、両肩がマットについていた方が強く襟を引けるので、背中をマットにつけた方がいいです。肩が浮いているとその距離分襟の引きが弱くなります。

ハーフは絶対背中つけたらダメ

 ハーフは足を越えられているので、両肩をマットにつけたら絶対ダメです。一瞬崩すために両肩をマットにつけてぶら下がることもありますが、基本的にハーフは半身になるものだと覚えておきましょう。リバデラも遠い距離のハーフなので、基本的には半身で攻めます。

足のフレームでもニーシールドとバタフライはだめ

 ニーシールド、バタフライも背中をマットにつけたらダメです。足裏が当たっているフレームと違って、ニーシールドやバタフライガードはフレームが大腿骨(太もも)分しかないです。そのため相手に距離を詰められて、ボディロックやレッグウィーブを食らいます。

 あるあるなのがバタフライガードで両肩をマットにつけてしまうのがありますが、フックスイープは基本半身で打つものです。

その他のガード

・両袖スパイダーも基本的にはマットを背中に付けたらダメです。上に足を上げてスタッグされます。また、横を向いて角度をつけないと相手の腕を吊り上げるプレッシャーかからないです。襟持ちスパイダーで腰を強く蹴れている&襟を引けているなら背中をマットにつけても大丈夫です。

クローズドも両肩マットにつけたら基本的にはダメですが、相手もできることが少ないのでリカバリーしやすいです。自分の胴体がフレームになっているので胸張って距離を作れます。また、クローズドから強引に抑え込まれても袖車や十字絞めのカウンターもあります。

・相手の下に入るディープハーフやエックスガードも相手をコントロールしてるので、背中ついても大丈夫です。

 その他のガードでも、足のフレームが入っていて相手に抑え込まれてないなら背中をマットにつけても大丈夫です。

3.裏のディフェンスで背中をマットにつけるのはOK

 自分の裏(背中側)を取る動きに対しては背中をマットにつけてディフェンスします。具体的にはかつぎパス、ベリンボロ、クラブライド、ライイングレッグドラッグなどに対しては背中をマットにつけます。そうすると足が重たくなって相手はこちらの足を持ち上げて裏に入ることができません。

 このテクニックは、橋本知之先生の教則でも紹介されていました。加古先生のクラスでも「flat back」として説明されていました。

 この背中をつけるディフェンス(flat back)についてもう少し解説します。

3-1 「表のアタック」 パスは「肘(胸)と膝のコネクションを壊す」もの

 前提で言っているように下は背中をマットにつけたらダメです。

 なぜなら、抑え込み(パス)には、

「相手の胴体の部分に自分が入る」
(胸と胸(腹)を合わせる)

というコンセプトがあるからです。

 その胴体のスペースに入るために相手の「膝と肘(胸)」の距離を離します。これをされないようにガードは両肩と両骨盤をマットから浮かして丸くなって、肘と膝(胸)をくっつけて丸くなります。

中学生みたいなパワポだ。。。

 膝と肘(胸)のコネクションをこじ開けて、丸くなって隠れている相手の胴体を抑えに行くのが表のパスアタックです。トレアナで足をさばいたり、マクラと脇で相手の両肩をマットにつけさせたり、スマッシュパスで足を潰したりして膝と肘のコネクションを破壊して胴体のスペースに入ります。

3-2 「裏のアタック」 表のデイフェンスが固くなると裏が取れる

 表の防御を突き詰めるとボトムは体育座りの様に丸くなります。そうすると膝と肘(胸)のコネクションが固くなって胴体に入ることができません。しかし表を防御して丸くなっている相手は裏が空きます

 丸くなると相手の腿下、尻、背中側が露出するため、そこを攻めます。かつぎパスで潰したり、ライイングレッグドラッグで相手の腿裏~外腿を制したりしてパスを狙えます。もしくはクラブライドやベリンボロで直接バックを取ることも可能です。

3-3 上は表と裏両方で攻める。下は両方を守る

 表を守ると裏が空いて、裏を守ると表が空きます。トップは表裏両方のアタックを持っていると便利です。逆に下は両方をケアしないといけません。

 トップとしては、裏を取る方が距離があって時間がかかるので、普段は表を狙いつつ、相手が表を警戒して裏が露出したらそっちをアタックするというのが基本的な戦術になると思います。

 ボトムも同様で、普段は足を引き付けて表のパスをブロックして、裏に切り替えてきたらフラットバックでディフェンスする形になります。

まとめ

ボトムで背中を付けているように見えても、「抑え込まれないようにする」という組技の本質は変わらない

1.攻める時一瞬背中をマットにつけるのはOK
2.足のフレームが入っているなら背中をつけてもOK
3.ディフェンスで背中をマットにつける

 背中を付けてもいい場面というのは共通して「相手に抑え込まれていない場面」です。

 強い人がスパーで背中を付けているのは、

「強い人は背中をマットにつけられて抑え込まれても強い」

ではなく

「抑え込まれていない形だから背中がマットについてもやられていない」

です。

 「背中マットにつけたらダメって習ったのに、つけてる人いるじゃん。どういうこと???」となっている人がこの記事を読んで疑問が解消したらうれしいです。

2024/3/20 アンディ

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