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02. 弥生狂騒曲① (ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ)

昔から、何かを選ぶのが苦手だった。おやつに洋服、部活動から進路に至るまで、なにもかにもいちいち迷って、結局決めあぐねてえいやと目の前のものを取ってしまうのだった。


それが今度は、男の子。


自分の恋人となる人を選ばなければいけないのだから、それはもう大変だ。


選ぶなんて表現がおこがましいのは重々承知している。けど、たぶん今の私には選択権があって、実際それを行使しなければいけない。なんとかそれを避けられないか、仲良し三人組を継続出来ないか。そんなことを心の中で願い続けてきたけど、そろそろそれも限界だ。それが、今の、わたしの状況。


孝太郎君と秋彦君。


二人とも、大学入学直後に出会ったクラスメイト。なんとなく居心地が良くて、気づけば三人で行動するようになっていた。大学に入ってからのこの三か月間は、ほとんどこの三人で過ごしたと言っても過言ではない。

だから、孝太郎君はこうで、秋彦君はこうで、と二人の長所・短所を挙げ連ねることはいくらでも出来たし、その気になれば、どちらが恋人としてより適格か、結構正確な判断を下すことも出来ただろう。

ただ、それは家電製品を買うみたいでなんだか嫌だった。嫌だし、やってはいけないことだと思った。次から次に湧き出る嫌な自分を抑えるのに、このところのわたしは必死だった。


このままの関係を保ちたい。


それはきっと甘えなのだろう。世の中そううまくは出来ていない。諸行無常、万物流転。どれも、受験勉強で得た知識だ。

だから、ずっとこのままなんてことはあり得ず、近い将来、きっとわたしは選択を迫られる。


(to be continued)

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