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原初舞踏の稽古、オーム〜床〜スロー〜仮面

昨日、原初舞踏の定例稽古がありました。いつにも増して濃い時間を過ごしたと感じています。

まるでこの世ならざる空間にワープしてしまったかのような感じでした。

なんというか、異世界とでもいうような感覚が、いまでも残っていて、深いところで、根源的な変化が起こってしまったかのような感覚なんですよね。

なんか頭の中でずっとプリミティブという言葉が響いてるような感じです。


最初の黙想の時間では、ひさしぶりに「オーム」を斉唱しました。10分間、たくさんの周波数に包まれたということと、自ら声を発したことで、細胞が落ち着くところに落ち着いたという感覚にもなりました。

そして床稽古ではひさびさに喜びが爆発的に上がってきて、そしてひさしぶりに涙もこぼれました。

かかとを床にすとんと落とした時のちょっとした刺激が身体に響いて、何かすごくエネルギーが動きました。そのあとは、床と接地している足の感触がとてもとても愛おしくて、堪らなくなってしまったという感じです。

そして、スローの稽古は、いつものようにゆっくりとお茶碗に触れ、水を飲むというものでしたが、初めから意識をお茶碗に移して始めたということもあったのか、空間の広がりがとてつもなく広く感じられました。

広大な空間の中にお茶碗だけがあり、自分は高い高い滝から流れ落ちてくる水を体内に受けとめたというようなイメージがありました。最後には、お茶碗だけでなく、その空間全体がすべて愛おしく、とても幸せな気持ちでずっと座っていたいという感じになりました。

ここまででも、じゅうぶんに濃くて深い体験だったのですが、昨日の稽古の中で最も余韻として残っているのは、最後のお面の稽古でした。

お面といっても、ちゃんとしたお面ではなく、半紙を顔に貼り付け、目の部分に小さな穴を開けた状態で動くというものです。

こんな感じ(笑)

今から思えば「カオナシ」の世界でもありましたね。顔がないから外がなくて、内がそのまま剥き出しになるのかなとか、、、

他の人の動きを見ていて、それはなんというか「別のもの」的な感じがすごくしました。もしくは普段なら絶対出てこない、人の持ってる属性みたいなもの、人間以前の存在としての質みたいなものが、滲み出てきていたのかなとか、、、

あとは、もののけ姫に出てきた「木霊」(こだま)のようでもあったなとか。。。

いずれにしても、なんだか、とてもプリミティブな世界を彷徨ったという感覚が今も残っていて、それが一夜明けて、今日、今という瞬間と地続きになってしまったという感じがします。

そういう意味では、岩戸を開くみたいな、儀礼的な意味合いもあったのかなという感じもしますね。ほんとすごくおもしろい経験でした。

最上さんから、昨日の稽古の時の写真をいただいたので、ここに載せておきます。

野生味があるというか、混沌とした空間というか、もしかしたら原生生物の空間というような感じもしてくるから不思議です。

お面といってもキャラクターもないお面です。とうぜん、顔がないから、社会的個としての顔がないということと、視界が制限されて、環世界が限定されているということも、踊り手の意識に変化を起こさせるのかもしれません。

内が大きくクローズアップされたからこそ、より原初的な「なにか」が出現してきたのかもしれませんね。

視野が限定されることで、動くのは外であって、内は動かないというところから、不動の存在としての「器官なき身体」の発見にもつながるようなこともあるのかもしれないなと、少し時間を経たいまになって、思うようなところもあります。

僕自身は、バリ島の仮面舞踏に関してはそれなりに経験があるのですが、それらは、たとえば「老人」であったり、「王」であったり、「魔物」であったりと、キャラクターが決まっているが故に、お面をつけることでそのキャラクターに「なる」という経験をするわけです。

それはそれでなかなかに面白い経験をしてきたわけですが、今日の半紙に穴を開けただけの面というのは、いまだかつて味わったことのない新鮮な経験でした。

まさに、原初の仮面という感じでしょうか? 原初の仮面だからこそ、最もプリミティブな属性が現れるということなのかもしれません。

この奥に何かが潜んでいるような気もしてきます。広大な無意識空間に溶け込んでいくための予行演習のような、はたと気づいたら空間は変わってしまっていたというようなこともあり得るのかな、、、そんな感じがします。

今もまだ、昨日の稽古の時の空気感に包まれていて、最初の方で書いたように、まるであの世とこの世が地続きになってしまったかのような不思議な感覚が続いています。

きっとまだまだ続いていくんでしょうね。そこから何が見えてくるのか、何が生まれてくるのか、とてもワクワクします。

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