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[No.13]20年、フリーライターやっています~ついに雑誌に連載を持つ

小さな夢ですが、ライターになりたい、本を出したい、という夢をかなえて、次にかなえたのが「連載を持つ」という夢でした。

これもはじまりは、突然の電話だったと記憶しています。担当は、結婚したばかり、30になったかならないかの女性編集者Mさんでした。連載の内容は、共働きカップルを取材して家事分担や仕事と育児の両立のコツを聞くというもの。それは、これから出産というライフイベントを迎えるかもしれないMさん自身の関心事でもあったのだと思います。

「なんで私に?」と聞くと、企画を立てたもののどうやって実現しようと悩んでいたら、上司が「この本の著者に連絡してみたら」と渡してくれたのが、私がつくった本だったというのです。どこに仕事のチャンスが転がっているかわからないものです。

週刊誌だったので、万一に備えもう一人のライターとの2人体制で連載はスタートしました。ご自宅での取材OK、職場での撮影OK、ご夫婦&子どもの顔出しOK、すべての条件がそろう取材対象者を毎週毎週探すのが大変で、友人、知人、ママ友など、持てるネットワークを駆使してのアポ取り合戦。

相手は働くカップルなので、取材はたいてい土日。保育園児たちを夫に預けての取材でした。いろんな意味で大変な連載だったのだけど、編集者の仕事ぶりを間近に見ることができたり、いろいろなカメラマンと組んだことは、とても勉強になりました。引っ込み思案で取材には全然むいてないキャラだった私(今では考えられない!)を鍛える日々でもありました。

でも、なによりの収穫は、この連載を通して50組近くのカップルの育児&仕事ぶりを垣間見られたことでしょう。

そもそも前の本を作った動機が、「よその共働きカップルは、どうやってこの苦難を乗り越えているのかしらん?」でした。50組も見れば、共働き成功の秘訣が見えてきます。

取材に快く応じてくれたカップルたちはその時点で成功している人たちです。かれらには共通点がありました。
それは、

①両親が近くに住んでいて家事育児を助けてくれる
②夫が協力的である
③会社に理解があって勤務形態が柔軟

この3つのうちの少なくとも1つは満たしているということ。

3つとも満たしているという人はさすがにゼロでしたが、1つもあてはまらない、というカップルもまた、皆無でした。つまり、妻ひとりが孤軍奮闘しても、共働きは成功しない。絶対にだれかの助けがなければママが働くのは難しいのです。(どれもあてはまらないけど、やるしかないのよ、という人もいるかと思います。でも実際、とても大変なんじゃないかと思います。)

私の場合、①ナシ、②ナシ、でも、フリーランスだから働き方は柔軟です。なるほど、一つは満たしているんだから満足しなければ……と妙に納得しました。

もう一つ、50組のカップルを見て気づいたことがありました。
どのお宅にも
①食器洗い乾燥機がある
②洗濯乾燥機がある(今なら珍しくもないですが、、)
③生協の個人宅配の白い箱がドーンと玄関脇に積んである!
(買い物に行くヒマないから!)

家事は極力手を抜く、しかも悪びれずに。これも成功の秘訣なのです。

この取材で出会ったカップルから、数々の名ゼリフも聞きました。思い出すときりがないほどあるのだけど、珠玉のひと言は
「部屋が汚くても死なない」
でしょうか。

もう一つ、「ほほ~」と感心したのは、
「子どもができたことで、この仕事でいこうと腹が据わった」
というセリフでした。

30代、働きざかり、子どもがいないときは、今の仕事じゃなくてもっと大きなことにチャレンジできるかも、と迷っていた。でも子どもができて、「これが天職なんだ、欲を出さず今の仕事をしっかりやろう」と割り切れたと。子どもとは、いろいろなことを教えてくれるものです。
 
1年続いたこの連載で、悲しいかな、ラクな両立法などない、ということもわかりました。みーんな大変なのです。それでもがんばる。そんな同志たちにたくさん出会えたことは、幸せと言わなければならないでしょう。

この連載は、単行本にもなり、連載の原稿料と単行本の原稿料といただくという、1粒で2度おいしい仕事にもなりました。印税はつかなかったけど(笑)。

(2015年03月03日「いしぷろ日記」より転載)

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