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テート美術館展に行こう!@大阪中之島美術館

2024年1月24日まで大阪中之島美術館でテート美術館展が開催中。
“光”をテーマにした作品を近代から現代アートまで取り揃えた贅沢な展覧会。

西洋美術オタクのわたくし。
僭越ながら、「めっちゃよかったわぁ〜」という作品を3つ!


1.ダービー 『トスカーナの海岸の灯台と月光』

光の表現が一番美しいと思ったのは
ダービー『トスカーナの海岸の灯台と月光』

写真だと伝わりづらいなぁ。作品を直で見たほうが絶対いい!

“光”というと、どうしても太陽光を思い浮かべて、昼の表現を考えてしまう。この作品は唯一月光を描いていて、ハッとさせられた。

白波に反射する月光がすごくきれいで。
月と水の定番の表現方法は水面に映る月だと思うけど、ダービーは白波に月光を反射させることで「海」だと伝えてくる。
夜の海を照らす月光。美術館なのに静かな波の音が聞こえてくる。

2.ターナー 『光と色彩(ゲーテの理論)ー大洪水の翌朝ー 創世記を書くモーセ』

作品を観るときって、作品に近づいて少し首を伸ばしたり、ちょっと離れて観たり。距離を変えながら観ることも多い。
ターナー『光と色彩(ゲーテの理論)』。作品との距離が“1m”なのか“30cm”なのかで作品の印象が全然違う。

“1m”離れてみると「白光の表現がきれいだな」。

ただ“30cm”だと。
真ん中にうっすら人影。これは誰だ?
右下を見ると、人の顔? どういうこと?

左が作品全体。右は作品右下を拡大。

そしてタイトルを見る。
あぁ、真ん中の人はモーセなんか。タイトル知らんと絶対わからんよな。
あぁ、大洪水の翌朝を描いてるんか。
•••右下の人々は助かった人? いやいや、旧約聖書の大洪水の話では、ノアの家族と全ての動物雌雄一対しか方舟には乗らんかった気がするけど。

これは•••急にホラー。赤黒い色彩が不穏さを助長しているような•••。
鑑賞者と作品との距離でこんなに違う印象を受けるなんて。ターナー、天才だわ。

3.モネ 『エプト川のポプラ並木』

”光”をテーマにした作品でモネがないわけない、と思いつつ。あった、あった。
テート美術館はイギリスにあるから、フランス人のモネを激推しするわけにはいかないもんね。

『エプト川のポプラ並木』の右横には『ポール=ヴィレのセーヌ川』も展示されていて。『エプト川』は絵の具というか筆の動きがダイナミックだし、『セーヌ川』は淡い色彩からゆるやかな優しい印象を受ける。比較してみるとおもしろい。

左が『エプト川のポプラ並木』右が『ポール=ヴィレのセーヌ川』
やっぱり写真だとぜんぜん伝わらない。

“光”の展覧会で気づいたことがあって。
光の表現方法によって、絵画の中で季節・時刻・天候も表すことができる。
遠近法を使うと2次元の中で3次元を表現できる。そこに光を足すことで“時間”という4次元も表現できるのだと。

このモネの『エプト川のポプラ並木』
・抜けるような空の青さは夏かな。
・ダイナミックな筆の動き。なんか暑そう。
・雲のうねり、これは入道雲かもしれない。昼過ぎかしら。
・木が揺れていないから、風は吹いていなさそう。

分析していると、背中にツーッと夏の汗が。

どなたか学芸員の方。こんな展覧会どうですか?
『モネの絵を観て、季節と時刻を推理してみよう』

企画してくれませんかね?

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