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懐かしのParis:写真の部屋(無料記事)

2年半ぶりにパリに行った。今の状況になるまでは年に平均4回くらいは行っていたので、これほど長く行かなかったのは初めてだ。

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人の少ない朝の羽田空港。6月に久しぶりにヨーロッパに行ったときまで知らなかったのだが、国際線ターミナルという名前ではなくなっていた。仕事場に迎えに来てくれたタクシーのドライバーが、「外国に行かれるんですか。いいですね、やっとですね」と言う。「はい」と答えたときのちょっとしたチカラの入り方が自分でもわかった。

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6月はクライアント指定でANAに乗ったので今回が数年ぶりのJAL。ラウンジのカレーはビュッフェではなく注文して受け取るシステムに変わっていた。味はいつも通りだったので、大げさだけど懐かしくて涙が出そうになる。

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隣の席と斜めに接していて、足が上下で交差している新しいシートレイアウトがあるのを知っていたが、それは嫌だったので以前のままのカタチのシートの機材を選んだ。別に直接触れるわけではないのだが、知らないおっさんのスケスケ黒ビジネスソックスと交差したまま15時間というのは避けたい。もちろん向こうからすれば俺も立派なおっさんなのだが。

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JALは機内食をかなり頑張っていて、今回もとても美味しかった。「レフェルヴェソンス」監修と書かれていたので当然だが、制限の多い機内食でこれくらいの質を維持するのは大変だろうと思う。素晴らしい。

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以前、女優の木内みどりさんに、飛行機に乗ったら窓側と通路側のどちらが好きですかと聞くと、「窓側に決まってるじゃない。わたし子供みたいにずっと窓の外を見てるわ」と言った。俺は2019年、毎月のように外国に行っていたが、窓からずっと写真を撮っていると隣の外国人に、「お前も飛行機初めてなのか」と屈託のない笑顔で言われたことがある。

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どこかに行く直前は仕事を圧縮して片付けることが多く、今回もほとんど寝ずに仕事をしてから乗ったので機内食を食べるとすぐに寝てしまった。ロシア上空は避けて飛ぶので数時間長くかかるはずだったが、実際には予定より1時間早く着いた。気がつくと眼下に広がる見慣れた風景。

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朝食は和食。

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CDGを出ると、このコンコルドを必ず撮る。「パリよ、また来たぞ」という挨拶だ。同じように続けて給水塔も撮る。俺のHDDの中には何枚これらの写真があるんだろう。何も変わらないのに毎回撮る。儀式のようなものだ。

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1998年のワールドカップの仕事の時、できたばかりのこのスタジアムに来た。これもなぜか必ず撮る。このあたりを過ぎるとクリニャンクール近くを通って、賑やかな街の中に入って行く。

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PFW(パリ・ファッションウィーク)と日程が被っていたのでホテルがどこも高かった。円安、現地の物価上昇、PFWのトリプルパンチで、いつも泊まっているサントノレのホテルは3倍くらいの値段になっていたのでオペラ座の奥、サン・ラザールとの間くらいのところにある渋めのホテルをとった。ここはまあまあの値段で部屋もレセプションの人たちも感じがよくて快適だった。

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ホテルのすぐ近くに3軒のカフェが並んでいた。まずは一番近いところで最初のコーヒーを飲む。やっとパリに来たと感じる瞬間。本当ならトリニテの教会が綺麗に見える場所なのだが、改修工事をしているようでエマ・ワトソンがドヤ顔をしていた。

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初日は近所をぶらぶらと散歩し、街と自分のチューニングを合わせる。格好良く言えばそういうことだが、数年ぶりに来たパリにほんの少しだけ興奮していたのかもしれない。

あるパリの女性に、「あなたは何回パリに来たことがあるの」と聞かれたことがある。「たぶん30回以上は来ていると思う」と答えると彼女は、「私は一度だけ」と言った。そのやりとりをTwitterに書いたことがあるのだが、「フランス人ってそういう嫌味を言うから嫌いなんですよね」というリプライが来た。パリで生まれたことを「一度しか来たことがない」と表現するセンスが洒落ていると感じたのだが、伝わらない人にはいくら説明しても仕方がない。フランス人は陰険で高飛車である、というような数十年前の典型的な先入観はもう通用しないと思う。それは自分が行ってみればわかる。

あと13日くらいあるけど初日だけで面倒になったので、続かない。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。