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棒で殴ればいい。LA LA LAND

「LA LA LAND」は面白くないと書いた人の話で盛り上がっている。映画や小説や音楽は自分が好きならそれでいいんだから、完全に自由なんだけど、その評価にピリピリする人には「これを好きだと言ったらバカだと思われるんじゃないか」という気持ちがあることを推測する。

「私は音楽が大好きなので、よくベルリンフィルを聴きに行きますよ」と「俺はEXILEが好きなんで、カーステで爆音で聴いてるッスよ」の間には優劣の差はないわけだが、俺が言葉遣いをわざと変えているように、人種の偏見が見えてきちゃうことはある。ここは大きな問題だろう。

ベルリンフィルもEXILEも、それぞれが大好きならいいんだけど、そこに高城剛さんがSNSについてTwitterに書かれていた「知的であらねばならぬ」という強迫観念があることが、面倒くせえ軋轢を生むよね。

ポップな音楽をバカにする自称音楽通とか、ハリウッド娯楽映画なんてカスだというタルコフスキッシュでゴダーリーな人がいる。「俺だけはいいものがわかっている」と先週知ったことを言いたいだけの自己主張もある。さらにそこから逃げるために「本当はゴダールもわかるけど、マスのバカ映画やアイドルを褒めておくと懐が深いと思ってもらえる」なんていう極北までネジれた人もいる。だからそういう人々は限界までほっとけばいいし、もし限界を超えたら棒で殴ればいい。

面白いのはベルリンフィルのカラヤンじみた人が「EXILEいいですね。たまに妻とライブに行きますよ」なんてアクロバティックなことを言ってしまう場合。反目していた両陣営の間におかしなムードが漂う。でも残念なことにポップ好きな人は心のどこかに「クラシックなんかスカしてる」と思っているのと同時に潜在意識で認める「権威の存在」も併せ持っていて「あのベルリンフィルの人も認めてるから俺たちのEXILEはスゴいんだ」と言ってしまう。ここで負ける。

バカな映画を批判してもいいけど「バカ映画が好きな人はバカ」と言ってはいけないのだというタブー部分について友人の唐木元さんが書いていたけど、なるほど、バカ映画の存在とバカ映画が好きな人は分けて考える必要があるんだな。

しかしファンを含まない「バカ映画という作品のみ」を貶すことは現実的には不可能だ。それに関わった会社、スタッフ、役者や、監督の4親等あたりまでの全部をバカにしているわけだから。

「みんなが面白いと思っていることを面白いと思っている」と角田陽一郎さんが数日前に書いていた。そんな一見無関係に感じる一言一言がすべて根本の部分でリンクしていることが興味深い。

みんな判断を嫌い、批判を嫌い、自分のコンプレクスを知っていて、それを隠し、個人の好き嫌いとしての決定に絶対の自信が持てないのだと思いながら爽やかに、おはようございます。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。

ノリだけで書いてるけどな!
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ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。現在「ロバート・ツルッパゲとの対話」出版準備中。

^_^

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