日本人の肌色に一番似合う色は藍色だ。だから黒い服を着ていたとしても、いつも暗部の色調はややインディゴにシフトさせている。髪の色もそうだ。

20年近く前、Parisのサン･ジェルマンで美容室に行ったことがある。俺の頭部には今よりは毛が生えていたのだ。Parisの人々はジャポネ的な物事にインテリジェンスを感じるようで、お洒落な店には日本の小物がさりげなく置かれていたりする。

その美容室は髪を切るときのてるてる坊主みたいなヤツあるだろ、なんつーか知らないけどアレ。アレが藍色の浴衣だった。日本人には思いつきもしないけど、隣のフランス人のおばさんとかはそれをフワッとかけられて「まあ、素敵」と言っていた。

俺にそれが巻かれたとき、鏡には菅原文太的というのか、着流しの渡世人みたいな存在があらわれた。店の人もそのあまりのフィット具合に「おお」と声を出した。

当たり前だ。これは日本人の体格と髪の色と肌の色に似合うよう何千年もかけて進化してきた服なんだからな。

The color of the Japanese skin looks great in indigo.

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