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パーフェクトデイズ

随分といろんな物を見過ごしてしまっている毎日に、気付かされた映画だった。

何か特別なことが起こるわけでもなく、朝目が覚めたら、布団をたたみ、植物を愛し、仕事に行き、仕事終わりに一杯のお酒を飲んで、寝付くまで100円の文庫本を読み、また朝を迎える。

少し急足で、いつも少し心ここに在らずで生きてしまいそうな、移り変わりの早い時代に、「今」を生きる。

トイレに残されたメモに次回の楽しみを託し、小さなできことに少し笑って、時々泣いて。

今、この瞬間しか見られない息を呑むような景色を、忘れないようにとフィルムに残す。

当たり前すぎて、通り過ぎて、すぐに忘れてしまっている時間が私にもきっとあるなと、周りと比較し焦って、自分には何もないと一人勝手に落ち込んで、時間の流れの早さに置き去りにしてしまっている瞬間。

「足るを知る」そんな映画だった。

私にとってパーフェクトデイってなんだろう。

「今度は今度、今は今。」

しっかりと、今を生きていこう。

バックの中に詰め込んだ、いつも持ち歩く文庫本みたいに、そっと部屋の一部としておいておきたい映画。

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