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『よい人生』の始め方。その1       多くの紆余曲折の人生を俯瞰してみつけたウエルビーイングになるための結論

2024-03-03

ウエルビーイングに関する史上最長の研究の結果が、話題になっています。
それは、米国のハーバード大学の成人発達研究が行った84年という史上最長の研究です。
研究の目的は、「幸福と健康の維持に本当に必要なものは何か」を明らかにすること。

昨年(2023年6月)、辰巳出版から刊行された書籍「グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない」この研究について詳しく書かれています。

先月、この本を読みまして、とても興奮しました。その中でも、非常に興味深いと思った内容をお伝えして行きますね。 

あなたの、『よい人生を始める切っ掛け』となれば嬉しいです!




1.ハーバード大学の成人発達研究が科学的に結論づけたウエルビーイング人生に必要なもの


ウエルビーイングに関する史上最長の研究の結果が、話題になっています。
それは、米国のハーバード大学の成人発達研究が行った84年という史上最長の研究です。研究の目的は「幸福と健康の維持に本当に必要なものは何か」を明らかにすること。

そして、その研究はある結論に達しました。

それは、「よい人間関係」です。

良好な人間関係は私たちを幸せにし、健康にし、長生きさせてくれる。
「人間関係こそが、人々が楽しく、長生きするために重要な役割をもつ。そして、人生を有意義にし、すばらしいものにしくれる」という1つの根本的な真実を図らずしも証明することのなったのです。

昨年(2023年6月)、辰巳出版から刊行された書籍「グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない」には、この研究について詳しく書かれています。

著者は、この研究を行ってきたハーバード成人発達研究の4代目の責任者で禅僧でもあるウォールディンガー氏と、副責任者のシュルツ氏です。
 

【著者プロフィール】
ロバート・ウォールディンガー Robert Waldinger
ハーバード大学医学大学院・精神医学教授。マサチューセッツ総合病院を拠点とするハーバード成人発達研究の現責任者であり、ライフスパン研究財団の共同創立者でもある。ハーバード大学で学士号取得後、ハーバード大学医学大学院で医学博士号を取得。臨床精神科医・精神分析医としても活動しつつ、ハーバード大学精神医学科心理療法プログラムの責任者を務める。禅師でもあり、米国ニューイングランド地方はじめ世界中で瞑想を教えている。


マーク・シュルツ Marc Schulz
ハーバード成人発達研究の副責任者であり、ブリンマー大学の心理学教授でもある。同大学のデータサイエンスプログラムの責任者であり、以前は心理学科の学科長を務め、臨床発達心理学博士課程の責任者でもあった。アマースト大学で学士号取得後、カリフォルニア大学バークレー校で臨床心理学の博士号を取得。ハーバード大学医学大学院で博士研究員として健康心理学および臨床心理学の研鑽を積んだ後、現在は臨床心理士としても活動している。

書籍「グット・ライフ」より

●出版元の辰巳出版の担当者が出会った切っ掛けのTED


そもそも、日本にこの研究内容を紹介した辰巳出版の担当者がこの研究が出会った切っ掛けは、著者のロバート・ウォールディンガーによる2015年のTEDトークでした。このTEDは、TED歴代ベスト10に入る人気で、日本でも多くの人がこの研究のシンプルな結果に驚き、ネット上でも話題になりました。 

▼こちらが、2015年のTEDです。

その当時、ハーバード大学が70年以上追跡調査を重ねた「幸せについて研究」が行き着いた先が、『よい人生は、よい人間関係がもとになっている』ということに。

このシンプルなメッセージが、ハーバード成人発達研究への興味のきっかけとなり、その後年月を経て、2020年秋にニューヨークの版権スカウトから、このTEDの内容を書籍化する企画の紹介をうけます。
一方、執筆作業は当初の想定以上に遅れ、翻訳可能な原稿が届くまで2年を要し、2022年の秋に原稿の第1校が届き、2023年6月の出版に至ったそうです。

2020年といえば、丁度、世界中でコロナがまん延し、パンデミックが起こっていた頃です。

パンデミックが始まったとき、主筆者であり、研究者でもある彼らは、この研究の記録をもう一度調べ直していました。それは、人生の大きな危機を乗り越えてきた被験者の体験談をもう一度読み込むためでした。

2. 最貧地区で育った人たち VS ハーバ―ド大学のエリート達 


始めに対象となった2つのグループの男性たちが育った環境は多様でした。

・約3分の2は、1939~2014年にボストンの最貧地区で育った水道もない安アパートに住む経済的に恵まれない環境で育った貧しい青年(移民の家庭の子がほとんど)456人
 
・約3分の1は、1939~1944年にハーバード大学を卒業したエリート青年268人

今では、被験者の息子や娘1300人を超える人たちが研究に参加しています。そして、研究は途中から配偶者も被験者に加わりました。

研究者たちは、開始時に聞き取り調査と健康診断を行い、その後、1年おきに家庭訪問による本人や家族への聞き取り調査、医療記録の確認、血液サンプルの分析、脳スキャンといった科学的な調査などよって、彼らの仕事や家庭生活、健康状態を記録し続け、調査結果を分析し、子ども時代の苦労や初恋から晩年の暮らしぶりまで、被験者の人生の変遷を記録してきました。


この研究の結果、幸福と健康の維持に本当に必要なものは、家柄、学歴、職業、家の環境、年収や老後資金の有無といったことではなく、よい人間関係だったという結論が、科学的に証明されたのです。
しかも、友人の人数は関係なく、たった一人でも心から信頼できる人がいるかどうかという、その『人間関係の質』が重要だということもわかりました。

この、ドラマや映画のような、誰もが「そうだろう~。そうでなきゃ」と感じさせる、理想的でシンプルな結論を、研究者であるウォールディンガー教授は、『昔から言われてきたことなのに、皆がその価値を無視している』とTEDで伝えます。

「親密で良い関係は、包括的に私たちに益となっているという教えは今に分かった事ではありませんね。何故そんな関係は築き難く、無視され易いのでしょう。誰もそうですが、私たちは手っ取り早く手に入れられる、生活を快適に維持してくれるものが大好きです。人間関係は複雑に込み入っています。家族や友達との関係をうまく維持して行くのは大変な仕事です。その地道な努力は地味で、その上その仕事は一生続くものです。終わりはありません。75年間に渡る研究で、定年退職後一番幸福な人は仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人達です。」

TEDより


3.よい人間関係とは、どんな関係か


ウォールディンガー教授が伝えるように、人間関係は複雑に込み入っています。家族や友達との関係をうまく維持して行くのは大変であり、面倒な仕事です。 仕事問題と家庭問題を天秤にかけた時、仕事の問題の方が楽だなぁと感じ、仕事の方に逃げたくなる人は少なくないことでしょう。

しかし、職場には、役割や上下関係があり、更に、へんな噂話などで自分の評価が決まるような歪んだことが少なくないのも事実です。更に、仕事の能力と人間性を同じであると誤解をしている人たちも少なくありません。そのような事からも、仕事の仲間同士では、心から親しくなれる人たちは多くないのが現実的だと考えます。だからこそ、今、世界中の職場で「心理的安全性」が声高に求められ、日本にもその波が高くやってきているのだと思います。

『定年退職後一番幸福な人たちは、“仕事仲間に代わる新しい仲間”を“自ら進んで作った人たち”』という科学的な結論が出た理由は、職場に不平等や不自然な歪みがあるから、かも知れません。

●あなたにとって『よい人』とは、どんな人?


あなたにとって『よい人』とは、あなたに攻撃などせず騙すことなどもない人たちでしょう。
そして、『よい人』は、いつでもあなたを笑顔で迎え入れあなたの挑戦を応援し人としての成長を支えてくれる、一緒にいるとリラックスして心が落ち着き絆と、信頼を感じられる。そんな人たちではないでしょうか。

そのような人たちとの中にいることであなたは「安心」を感じることができます。そのことで、あなたは呼吸をするように心を開き、素直な自分のままで過ごす事が出来るでしょう。また、人でなくとも、無償の愛で応える相棒であるペットたちと一緒にいる時もおなじ状態になることでしょう。

人は、「今は安全だ」というメッセージが全身に伝わると、幸福感が高まるのです。


●あなたにとって『よい関係性』とは、どんな関係性?


関係性は、相互に応じる所に生まれます。
例えば、あなたが笑顔を向けた人が、笑顔で返してくれれば、『よい人間関係』が生まれることでしょう。
逆に、あなたが笑顔を向けられた人に、笑顔で返すことをしなければ、『よい人間関係』は生まれません。

1972年から2004年までこの研究を指揮したハーバード大学の精神医学者、ジョージ・バイラント教授は、これには基礎となる強調する要素が2つあると言います。

1つは愛です。そしてもう1つは、愛を遠ざけずに人生に対処する方法を見つけることです

例えば、周囲の人と良い人間関係を築きたいのに、相手を信頼して心を開くことができず、攻撃してしまうことはないでしょうか。 また、あなたと良い人間関係を築こうと誰かが近づいてきたとしても、どうやって親密な関係を築いて良いのか分からずに、それを遠ざけてしまうことも。さらに、親密な関係を失うことを恐れて、自分から離れてしまうこともありませんか。

そんな時に、『よい人間関係』にするには、どうすればよいでしょうか?
それは、自分から行動することです。
『よい人間関係』とは、相手に求めることだけではなく、自分のしなやかな行動からその種を生み落とすことが出来るのです。つまり、相手から何を受け取り、相手に何を与えているか、このバランスが、健全な人間関係づくりに直結しているのです。


次は、より人間関係の健全度が高める簡単なワークをやってみましょう!


その2へ つづく


≪参考≫
・書籍『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』  著者 ロバート・ウォールディンガー (著), マーク・シュルツ (著), 児島 修 (翻訳)

上記、辰巳出版の書籍紹介の動画

・ よい人生を送る鍵、それはよい人間関係ーーハーバード大学の84年にわたる史上最長の幸せ研究が解明、健康で幸せな人生を送るための生き方を説く『グッド・ライフ』先行販売を開始。編集者が振り返る出版までの経緯_20230606 :https://prtimes.jp/story/detail/rmq8dVI8K1r

・700人を75年間追跡した研究からわかった「幸せな人生を送る秘訣」_20170309: https://www.lifehacker.jp/article/170309_science_of_good_life/

・75年間のハーバードの研究成果からみる「満たされた人生」の秘密:
https://helix-centre.com/blog/fulfillinglife.html

・人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から_201511:https://www.ted.com/talks/robert_waldinger_what_makes_a_good_life_lessons_from_the_longest_study_on_happiness?language=ja

・定年年齢は万国共通?日本と海外の定年制の違い_20170921
https://www.vision-net.co.jp/morebiz/retirement

・【日本経済新聞】米国の退職予定年齢、1.4歳上昇 老後の見通し厳しく_20221029:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28DXK0Y2A021C2000000/

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