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門前仲町駅 春のうららの歩き方 | さかい

「春のうららの隅田川」って実在したんだ、という話。

大学に進学して住んだ場所、よくうろついていた場所、あるいは就職して最初の数年住んでいた場所は東京の西側、井の頭線や中央線の範囲がおおくて、山手線の東側はほとんど未知の場所だった。
前に住んでいた場所から引っ越すにあたって、どこでもよいから職場まで電車通勤しやすい場所、となってこの街を初めて訪れた時の印象は「なんだか私の知っている東京と全然違うな」、というもので、商店街のアーケード、立ち並ぶ個人商店、深川不動堂と富岡八幡宮がそれぞれ立ち並ぶ様、何もかもが新鮮にうつって、そうしてわたしはこの街に引っ越してきた。

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リモート勤務で引きこもって働きながら遠くに出かけられない日々が続いていくなかで、どこにも出歩かないでいるとどんどん鬱屈としてしまうから、適当な音楽やポッドキャストを聴きながら2, 3時間くらい歩くことを思い立ったときにやっていく。
歩いていて楽しい道はなんだろう、といえば、例えば、景色がよいとか、道沿いに素敵なお店があるとか、風が心地よいとか、この街はきっとそのどれもちょうどよく備えている。

駅から少し東側の私の家から散歩するとして、まずはその直ぐ側にあるBAKU Coffee Roasters。清澄白河が近いこともあってほかにもいくつか素敵な焙煎所・カフェがあるなかで、ここはラオス・ミャンマー・インドネシア・中国など、アジアの豆を多く取り揃えている。いつもは豆を買って帰るけれど、今日はドリップコーヒーを持ち帰りで淹れてもらうことにしよう。
待っている間に人間のお客と大きい犬のお客とがきて、あなたの足にいたずらっぽく尻尾をぺしりぺしり打ち付けてくることもあるかもしれず、そのようにして始まる散歩はきっととてもよい道のりになる。

大通りにそって少し東、富岡八幡宮を過ぎて深川不動堂へ。常香炉の煙を浴びたり、水琴窟の音を聴いたり(コロナのなかでいつの間にか止められてしまった)、法螺貝や太鼓の音鳴り響く護摩修行を観たりと、お参りの周辺のコンテンツがいくつもあって楽しい。

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駅を中心に飲み屋街も広がっていて、しかしあまりに明るい時間でまだどの店もひらいてないから、横目に見ながら歩みを進める(横丁の入り口にあるスパイスカレーのお店はいつか食べに行きたい)。クラフトビールを量り売りしている店とかもあって、路上飲酒散歩もいいけれど、それはまた別の機会の話。

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駅から離れて隅田川にさしかかる。永代橋のたもとに「昔、今、そして永遠の流れ」。

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滝廉太郎の歌曲集『四季』のなかの『花』の歌詞「春のうららの隅田川」は唱歌のなかの世界だと思っていて、しかしこんなにも花盛りの眺めをみて、「春のうららの隅田川、実在したんだ」と思う。あんまりに春うらら。歌が作られた時代とはずいぶん風景はかわって、対岸の豊洲にはタワーマンションがにょきにょきと生えている。

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橋の反対側にはスカイツリー。スカイツリーそのものを訪れたことはないけれど、でもみつけるたび少しうれしい。

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このまままっすぐ道をゆけば東京駅方面。日本橋にたどりついて、買い物をするのも楽しいけれど、水辺を歩きたい気分にしたがってスカイツリーのほうを目指す。
隅田川沿いは延々と続くテラスになっていて、川にそって進む。

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河口から埼玉のほうにまで延々と歩きやすいよう整備されていて、歩こうと思えばひたすら知らない場所へあることもできるらしい。

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https://www.tokyo-park.or.jp/mizube/sumidagawa/detail.html より

いままでは神田川との合流地点、両国あたりまでしか歩いたことはない。いつかずっと歩いていってみたい、と思っているうちにいかないままになりそう。

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きっとこれからもあまり出かけにいけない日々は続いて、でも、どこを目指すでもなくコーヒーやビール片手に歩けばまだなんとかやっていける気がする、そんな風景の明るさと広さ。

■さかい (@sakai_cyk)
限界OL/エンジニア。よく歩きたい。

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