研修医がロンドンに大学院留学して解脱するまで Ep.9 OPS

当初入居する予定だった新築の寮の名前はOne Pool Streetというものだった。UCLは増え続ける学生の数に対応するためにUCL Eastという事業のもと、東ロンドンのStratfordエリアを開発している。

https://www.ucl.ac.uk/ucl-east/ucl-east-0

One Pool Street はその一角になるキャンパス・寮の複合体である。再生可能エネルギーを使い、色々とエコに配慮した作りになった、「次世代の」建物であるという宣伝がされていた。

画面左の大きい建物がOne Pool Street
入居予定1週間前に下見に行ったら
中でまだ何か作業が行われていて不安になった

入寮の申し込みをする際に一応自分の希望を5施設ほど出すことが出来るのだが、私はここを希望していない。後々分かったことだが、One Pool Street に入居することになった人のほとんどが希望せずに配属されているようだった。あまり人気がなかったのか。当初、建設作業が1週間程度遅れているとのことだったが、結局入居できたのは予定から6週間遅れの11月初頭だった。私は2週間古い寮+4週間ホテルでの仮住まい後にやっと新居に入れた。

一連のゴタゴタは学内でも問題になっており、Cheese Grater Magazine という風刺学生新聞が記事にしていた。以下に記事がある。

https://cheesegratermagazine.org/2022/11/17/one-pending-street-communication-failures-worsen-accommodation-delays-at-ucl-east/


コースで知り合ったイギリス人の友達(眼が特徴的なのでメメちゃんと呼ぶ)に引っ越しを手伝ってもらった。彼女は非常に暖かなボランティア精神で、休日を返上して荷物を一緒に運んでくれた。大変感謝している。One Pool Streetは、個人の部屋はとても小さいものの、共用部分がとても広く近代的だった。私は最上階(23階)に部屋を与えられたので、眺めも最高だった。

共有部分
https://www.ucl.ac.uk/residences/residences/one-pool-street

ルームメイトはアメリカ人女性2人、イギリス人女性1人、中国人男性2人だった。本来であれば8部屋全部が埋まる設計だが、私たちの階のみ人が少なかったのは幸運だったかもしれない。

事故物件

このOne Pool Street 、学生が入居して1週間程度経つと、相当の事故物件であることが分かった。学生から以下のようなクレームが頻発し、大学側は常に対応に追われていた。
・暖房が急につかなくなる
・お湯が出なくなる
・建物中のトイレが使えなくなる
・自動で点灯・消灯するタイプの電気がまったく消えなくなる
・壁のコンセントから継続的に金属音がする
・共用部分の電気がつかなくなる
・洗濯機の搬入が遅れており、200人以上で4台の洗濯機を共有することになる
など、枚挙にいとまがない。入居して2週間たつ頃には、退去する人も出てきていた。部屋や階によって影響の大小があり、私の階は当初はあまり影響を受けていなかった。このクオリティで家賃は245£/週なのでかなり高い。

例:お湯と暖房の不調を謝罪

Ecoとか次世代は結構、でも最低ラインを守ってほしかった

この一言に尽きる。UCLはリベラルで先進的な大学であり、この寮に関しても色々と理想的なビジョンを基にエコでサステナブルな設計をされたのだろう。そういった外聞の良さの代償として、建設が遅れたり、必要最低限の設備がきちんと稼働しなかったりと、学生が不利益を被るのは、本当に本末転倒だと思った。

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