今、見返したい演劇作品

#私のイチオシ

このタグでなにを紹介すればいいかな?と思いつつ、現状見ることが可能かどうか?もありますが、今迄観てきた演劇の中で、これは!っていう作品をいくつかご紹介。その中で、円盤化されている物があれば、あわせてご紹介と思っているのですが、あるかな?

1.「出口なし」1994年作品

これはジャン・ポール・サルトルの戯曲にもありますが、そちらではなく、三谷幸喜さんがパルコ劇場での上演に描き下ろした作品の方です。自分が演劇を見始めて、まだそこまでは歴史が深くないときだったので、この作品の面白さが未だに強く焼き付いています。観た当日にそのままチケットぴあに駆け込んで、余りチケットをその場で買い求めたのを思い出します。

ストーリーは、ある俳優志望の青年が、病院の精神科で行う余興のためのオーディションに呼ばれるところからスタートします。そこでのオーディションに無事に合格したあとに、精神科の先生からいろいろな動きをされて、徐々に青年に変化が生じていく。そして、その精神科医の本当の目的は、、、、という作品です。キャストは、唐沢寿明、宮本信子、森口瑤子、益岡徹の四名。笑いと緊張感、一気にクライマックスに進むストーリー展開などなど、三谷さんのパワーが存分に注ぎ込まれた作品になっています。昔、NHK−BSで放送されたことがあるくらいで、そのあとは映像は流れていない気がします。自分は運良く映像化された素材をビデオテープに保存し、そのあと、DVDに焼いたので一応素材は残していますが、流石に画質が粗い。仕方がないですけど。

この作品のすごいところは、多重人格をテーマにした作品なんですが(24人のビリー・ミリガンみたいです)、そのキャラクターの使い方が非常にバランス良く、また多重人格の原因である事件の悲しさだったり、森口瑤子さんの清楚さがすごく良かった印象が残ります。森口さんはいまでもあの雰囲気が残ったままなので、素敵な女性ですね。

この作品は違うキャスティングで再演してほしいのですが、宮本信子さんだけは、継続して演じてほしいと思っています。それくらい彼女の役柄には迫力があったので。

2.「透明人間の蒸気」1991年

これは野田秀樹さんが当時の劇団「夢の遊眠社」で書いた作品。基本的には劇団メンバーでの上演ですが、段田安則、円城寺あやを主役として、二十世紀にあるものを未来へ残すために、いろいろなものを収集する集団がやがて、二十世紀の肉体を探し求めて、アキラという結婚詐欺師の体を保存しようとしたら、アキラが透明人間になってしまう。そしてそのアキラの姿を見ることができるのが、ヘレン・ケラだけだった、、、、

という導入から入る作品です。野田さんらしいスピード感と言葉の力がバシバシ飛んできます。後に岡村俊一演出で再演し、さらに野田さんがプロデュース公演として新国立劇場で上演したのも2004年の話です。

この作品は天皇制というものに触れつつ、「国」というものの枠組みをどう捉えるか?という野田さんなりの考えが強く出ていた作品で、その新鮮さと同時に、ラストがとにかくぐわっと心掴まれるところ。初演とそのあとの再演では、変えている感じがするのですが、、、、?

初演が好きなのは、もちろん新鮮さと同時に、劇団員によるバランスの良さがすごく出ていて、このときはもう解散少し前の時期なのですが、それでも劇団ならではの空気感がすごくあった作品です。決して馴れ合いという感じではなくて、その劇団員同士でこっちに客をひきつけていく!みたいな感じがあったなあと。

今のNODAMAPにおけるいろいろなキャストでのバランスの良さも良いのですが、こういうカンパニーとしての一体感は、劇団ではまた違うなという思いがあります。この作品は野田さんの戯曲が販売されているので、ぜひ読んでほしいと思います。
透明人間の蒸気[ゆげ] https://www.amazon.co.jp/dp/B01GJGMQ1O/ref=cm_sw_r_tw_apa_i_-NmVEbY91AM4M

3.「朝日のような夕日をつれて’91」1991年

今度は第三舞台の作品です。この作品も数回再演されてきて、劇団が解散したとに、紀伊國屋ホールで2014年にも上演しています。その中で個人的にはこの91年版が一番好きで、それは当時の第三舞台の主要男性メンバー5人による上演だったことが非常に大きいです。大高洋夫、小須田康人、筧利夫、勝村政信、京晋佑という人気5人がこの作品内で縦横無尽に動き回り、セリフを発する。基本この作品は、その次代におけるゲームだったり、デジタルなツールに焦点をあててストーリーを構築していくと同時に、ベースに「ゴドーを待ちながら」をイメージした構造になっています。この91年版ではバーチャルリアリティが扱われ、その仮想現実と実態のなかをさまようという話で描かれています。

この作品における面白さは、もちろん主演5人のパワフルさだったり、演出も含めたライブ感の強さもそうだが、不条理劇として有名な「ゴドーを待ちながら」をどう今の社会における人間関係に盛り込むか?という意味で、考えるところが多い作品です。

これはDVDがあります。

ぜひとも御覧ください。もちろん、違う年代でもOKです。

とりあえず90年代で3つ、おすすめを出してみました。年代が変わればまた違うものが出てくると思います。本当はここに「熱海作人事件」を入れておきたいところです。自分がおすすめしたいのは、池田成志さんのバージョンと阿部寛さんのモンテカルロイルージョンという2つです。

こういう状況なので、なかなかに演劇の上演は難しい状況ではありますが、また再開したときの楽しみを増やしておきたいとおもっています。

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