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元公務員が自治体複業に挑戦!経験とスキルを100%活かして職員を伴走支援

複業人材のなかで公務員として働いた経験がある人はほとんど居ません。しかし、元公務員の人が自治体複業に挑戦すれば職員との連携がよりスムーズになることは間違いないでしょう。

今回お話を聞いた高篠さんは埼玉県の基礎自治体で働いたことがあり、現在は大手コンサルティング会社で公共機関向けのサービスに従事してます。公務員だったときに感じていた組織全体へのもどかしさに、複業という形で取り組まれた経緯について伺いました。

*プロフィール 
高篠 拓也 氏/国内大手コンサルティング会社 勤務 
大阪府門真市:職員研修企画アドバイザー
 

埼玉県鶴ヶ島市出身。国際基督教大学教養学部卒業後、地方金融機関に勤務後、埼玉県下の基礎自治体に入庁し、国民健康保険関連事務に従事。 現在は、都内大手コンサルティング会社にて、民間企業及び公共機関向けサービスに従事。特に、基礎自治体職員の経験を活かし、自治体における人事制度運用や働き方改革といった領域での活動に注力している。

元地方公務員・現コンサルとして自治体複業に挑戦

カドマアートフェスの様子

ーー高篠さんのご経歴について教えてください

私は公務員と民間企業の両方の立場で地域のための仕事に携わってきました。新卒で入行した地方金融機関、地元埼玉県の基礎自治体、大手コンサルティング会社など様々な環境でその地域に住む方の力になりたいと思い、仕事をしてきました。

今考えれば、地方創生に特別強い情熱を持っていた訳ではありませんが、地元である埼玉が好きだなという気持ちは持っていたのだと思います。この地元への愛着が「他の地域のためにも何かしたい」という気持ちに変わり、自治体複業に挑戦してみようと思うようになりました。

ーー今回門真市に応募したキッカケはなんでしたか?

門真市が抱えている課題を、公務員時代の私も感じていたので、何か力になれないかと思ったからです。私が公務員として働いていたとき、組織として職員を上手く活用できていないなと感じることがありました。その理由は様々ですが、一例を挙げると、異動が多いために組織にノウハウが蓄積されづらく、職員の専門性が身につかないことが考えられます。当事者として、職員が100%の力を発揮しづらい環境に対し、漠然ともったいなさを感じていました。

当時の私はそんな思いを持ちつつも、改善するために何か行動を起こすということはしませんでした。しかし、門真市の職員の方は、効果的な研修体系や研修後に行うアンケートの有効的な活用方法を複業人材と考案するといったアイデアで、この問題を解決しようとしていました。組織的な問題を解決するために奮闘する職員の力になりたいと思い、今回のプロジェクトに応募しました。

公務員だったときに抱えていたもどかしさを複業人材として解消する

「かどま折り鶴12万羽プロジェクト」のときのお写真

ーー具体的にはどのような取り組みだったのですか?

私はこのプロジェクトで2つのことに取り組みました。職員がどのような研修を求めているかを調査することと、スキルマップの仮案を検討することです。

職員がどのような研修を求めているかの調査では、研修ニーズの把握のためにアンケートを実施しました。このアンケートでは自分に必要だと思うスキルだけではなく、部下や上司に求めるスキルも調査しました。色んな角度で職員が必要とするスキルを調べることで、どのような研修を実施するべきかを明らかにすることが目的でした。

スキルマップを検討するにあたり、門真市人材育成基本方針を実現するために、具体的にどのような能力を有し、どのような行動が求められるかについてまとめました。ビジョンが示されていてもそれに向かって何をどうするかが決まってなければ実現することは出来ません。職員の人が現在の自分を客観的に評価するための基準を作るという意味でスキルマップの検討は重要なことだったと思います。

ーープロジェクトを進める上で意識したことはありますか?

意識したことは色々ありますが、特に2つのことを意識しました。1つ目は、ゴールを設定することです。今回の門真市さんのオーダーは研修体系を見直すことと新しい研修について考えることでした。どちらも具体的に何をすればゴールなのかという部分があいまいな点があったように感じました。そこで、研修ニーズを調査するためにアンケートを実施し、職位や立場ごとにどのようなスキルが必要か明確にすることを目標にしました。

プロジェクト終了時に、結局何に取り組んだのか分からない状態にならないためにも、しっかりとゴールを設定して取り組むことを意識しました。

2つ目は、相手と一緒になって取り組むことです。自治体複業において意識すべきことは、主導権を握りすぎないことだと考えています。このプロジェクトが終わった後も、職員の方が自立して課題解決のための行動を継続していくためには、複業人材はあくまでも伴走支援をすることが必要です。自分が先頭に立って引っ張るというよりは、職員の方と一緒に作り上げていく意識を持つ方が良いと思います。

自治体複業に挑戦することで得られる経験値

門真市総務部人事課人事研修グループ 木下主任(左) 武智主査(右)※中央が高篠さん

ーー今回のプロジェクトに参加して初めて知った門真市の一面はありますか?

このプロジェクトに参画する前は、門真市に対して「モノづくりの町」という印象が強かったです。門真市にはパナソニックや象印、TIGER魔法瓶など全国的に知名度が高い企業の本社があります。そのことは知っていたのですが、逆にモノづくり以外のイメージはありませんでした。

しかし、職員の方に地域の名産品に「門真れんこん」というものがあると教えていただきました。最近では生産量が激減して地元の人でもなかなか手に入らないそうです。また、名産を活かし、町おこしの一環としてレンコン焼酎というものも作っているそうです。

私は門真市でれんこんが有名だと知らなかったのですが、今回プロジェクトに参加したご縁でふるさと納税を申し込み、返礼品としてレンコン焼酎を頂きました。度数は高いですが、すっきりとした味わいで美味しかったです。複業に挑戦したからこそ、門真市の新たな一面を知ることができました。

ーー門真市の職員の方と一緒に働いた感想について教えてください

熱意を持って仕事に取り組まれているなと思いました。日本には1,700を超える数の自治体があります。一方で、民間企業の力を借りて課題解決を目指す職員の方がいる自治体の数はまだ多くないと思います。特に広報などの外部的な活動ではなく、人事という内部的な活動を改善していこうとする人は少ないでしょう。その部分に熱意をもって課題解決を目指す門真市職員の方々には、尊敬の念を抱きます。 

ーーこれから新しく複業に挑戦したい人へのメッセージをお願いします!

まず一歩を踏み出すことが大事だと思います。プロジェクト内容かその自治体のどちらかに関心がある募集を見つけることが出来たら、それは応募するのに十分なきっかけだと思います。

今回のプロジェクトを通して、自治体における人事領域に対する自身の知見が深まりましたし、職員の方と継続的に良い関係を築くことができました。さらにはAnother worksさんを通じて、複業に取り組まれている方々とも交流を持つことが出来ました。

本当にプラスなことばかりで貴重な経験でしたので、今回のプロジェクトに参加して心から良かったなと思っています。ぜひ、みなさんも複業に挑戦して自分の経験値も得ながら社会や地域に貢献してもらいたいです。

▼地方創生や自治体での複業に興味のある方はこちら!

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取材、執筆:井原 沙樹


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