見出し画像

求めていた人物像にドンピシャな人を採用!高度な知見よりも鎌倉市が求めていたこととは?

全国的に行政機関ではDXの実装で民間企業に遅れをとっているのが現状です。鎌倉市では、楽しみながらITリテラシーについて学べる研修をともに作ってくださる複業人材を募集しました。

「高度な知識を持っていることよりも、持っている知識をかみ砕いてくださり、分かりやすく説明してくださる方を求めていました。」と選考を振り返った鎌倉市の職員の皆さん。今回は、応募者の経歴や持っている知識よりも高く評価したという”アウトプット力”や面談選考で他の応募者に一歩差をつける方法についてお話を聞きました。

*インタビューさせていただいた職員の方

笛田 貴良氏/デジタル戦略課 課長補佐
那須 文嘉氏/デジタル戦略課 課長

*今回選出されたアドバイザーのプロフィールはこちらから

楽しみながら学べるITリテラシー研修を

夕日に染まる富士山をバックにした江ノ電の写真

ーー今回は人事の分野で複業人材を募集されましたが、どのような課題を抱えていて複業人材の募集に至ったのですか?

笛田氏:

全職員を対象とするITリテラシーを向上させるための研修を実施するノウハウが無いことが課題でした。

インターネットが普及した現代社会では、どの企業でもITリテラシーが必須のスキルとなっています。それは行政も例外ではありません。しかし、行政職員の業務の幅は広いため、エクセルやパワーポイントをある程度使う部署もあればほとんど使わない部署もあります。そのため、職員同士でも持っているスキルに大きく差がついているのが現状です。

これからは既に一定のスキルを持っている人だけではなく、今まであまりITに触れてこなかった初心者の職員にもITリテラシーを身に付けてもらいたいです。そのため、どのレベルの職員でもITリテラシーを身に付けられるような研修を実施するためのアドバイスをいただける複業人材を募集しました。

ーー今までは職員のITリテラシー向上のためにどのような取り組みをしてきましたか?

那須課長:

昨年度の例を挙げると、新しいICT技術を庁内に取り入れるためにITリテラシーが高い職員を対象に研修を実施しました。しかし、ターゲットを絞った研修だったため全庁的に普及させることには繋がりませんでした。

そこで今回は、それぞれのリテラシーレベルに応じて効果的な研修をするためのアドバイスをしてくださる方を募集しました。

ーー全庁的にITリテラシーのレベルを上げたいという思いがあったのですね。募集のときに求めていたアドバイザーの人物像はどのようなものでしたか?

笛田氏:

学ぶことが苦にならないように、職員が楽しみながら学べるような研修を実施してくれる人と一緒に働きたいと思っていました。

研修というとアカデミックで堅い雰囲気をイメージすることが多いです。しかし、私たちはITリテラシーを身に付けるためには職員が楽しみながら学ぶことが重要であると考えています。特にITという分野は難しいイメージが先行し、とっつきにくいと考える人が多いからです。なので、私たちのこの思いに共感してくれる人と一緒に働きたいと思っていました。

求めていた人物像にドンピシャな複業人材を採用

アドバイザーが決まり就任式を開催している様子

ーー求人には50名からエントリーがあり、多くの方から興味をもっていただけたと聞きました。書類選考ではどのようなことを重要視して面談選考に進む人を絞ったのでしょうか?

那須課長:

重要視したポイントは、IT分野の研修実績があるかどうかという点です。

応募して下さった人の中には、IT分野の専門性が高い知識と高度なスキルを持っている方もいました。しかし、今回は知識や資格を持っていることに加えて講師経験がある方にお願いしたいと考えていました。知っていることと、教えることは似て非なるものだと考えているからです。

また、これからアドバイザーの方と一緒に作っていきたい研修は、専門的で難しい研修ではなく楽しみながら学べる研修です。そのため、高度な知識を持っていることよりも、持っている知識をかみ砕いてくださり、分かりやすく説明してくださる方を求めていました。

ーー実際に研修を実施したことがあるかどうかで絞り込んだのですね。面談選考ではどのような人が好印象だったのですか?

笛田氏:

資料を作成し、それを用いてプレゼンしてくれた方はかなり好印象でした。有難いことに、面談選考に進んだ5人の候補者の内、3人が資料を作ってくれていました。面接はオンラインで実施する上に時間も限られています。時間内に経歴やプロジェクトへの思いを口頭だけで全て理解することは難しいです。その点、資料を投影しながら話してくださった方は視覚的にも情報を補強してくださるので、スムーズに面談が進んだように思います。

ーー資料を作ってプレゼンしてくれた人が好印象だったのですね。それでは最終的に就任して頂いたアドバイザーを選出した理由は何ですか?

那須課長:

大きく分けて2つの理由があります。

1つ目は、資料を作ってくださった人の中でも群を抜いて分かりやすい説明をしてくれたことです。例えば専門的なITに関することを誰でも分かる言葉に置き換えて話してくれました。今後のIT研修でも、知識があまりない方にも分かるような説明をしてくれるのではないかという期待に変わりました。

2つ目は楽しみながら学べる研修を実施したいという私たちの思いに強く共感してくれていたことです。エントリーシートや面談選考で、普段からユーモアを意識して研修を実施しているとアピールしてくれていました。特に面談選考では、「私の研修では必ず一笑い起こります」とおっしゃっていたのは印象的です。

この2つの理由からこの方なら分かりやすく楽しみながら学べる研修をしてくださるだろうと思い、アドバイザーに就任していただきました。

行政で必要不可欠な”アウトプット力”

鎌倉市の人気観光スポット・小町通り

ーー今回ご縁があったアドバイザーの方は鎌倉市さんが求めていた人物像にピッタリ当てはまる人だったのですね。行政職員の立場から見て、自治体複業に必要とされるスキルにはどのようなものがあると思いますか?

笛田氏:

正しい情報を分かりやすく発信するアウトプット力は必要不可欠だと思います。

行政では、住民のみなさまに様々な場面で情報を提供します。そのため、誤字や脱字は絶対にあってはいけません。なので、エントリーシートに誤字脱字があるとそれだけで評価が下がると思います。

ーーここまで非常にハイレベルな選考の裏側についてお聞きしてきました。そんな選考を経てアドバイザーに就任していただいた方の現在の印象はいかがですか?

那須課長:

いつも元気いっぱいで私たちにも元気をお裾分けしてくれる明るい人という印象です。

プロジェクトが始まってから、週に1回ミーティングしているのですが、午前中のまだ眠気が残る時間帯にミーティングすることが多いです。朝一からテンション高く取り組んでくださるので、毎回楽しく打ち合わせすることが出来ています。

また、ミーティングのスケジュール感や段取りについても教えていただいています。限られた時間で効率的なタイムスケジュールを組んでくれるので、非常にスムーズにプロジェクトが進んでいると思います。ITリテラシー向上の研修についてだけではなく、仕事の進め方も勉強させてもらっています。

ーー最後にプロジェクトに対する抱負を教えてください!

那須課長:

職員のITリテラシー向上のための研修を作るという目標を、アドバイザーの方と一緒に達成していきたいです。私たちが理想としているITリテラシーを楽しく学べる研修を形にするのは、職員の力だけでは難しいと思います。なので、今回の機会にしっかりと礎を作り、来年度以降の人材育成にも活かせるような取り組みにしていきたいです。

笛田氏:

楽しく学べる研修を形にするのはもちろんですが、就任していただいたアドバイザーが持っている知見をこれからも吸収していきたいです。既に、ミーティングの効率的な取り組み方などを教えていただいています。学んだことをまずは自分たちがしっかり身に付け、全庁的に展開できれば嬉しいです。アドバイザーの方にも鎌倉市で自治体複業に挑戦して良かったと思えるような取り組みにしていきたいです。

▼Another worksが提供する複業クラウド for Publicについてはこちら

取材、執筆:井原 沙樹


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?