【図解】TOB応募手続きフロー を改善する
はじめに
わかりにくいフロー図に直面したので、
改善案を勝手に考えてみました。
解説
保有する株式に対する TOB があり、
証券会社から応募手続きの説明書類が届きました。
その説明の中に、こんな図がありました。
(固有名詞は一般化しています)
わかりにくい!
この図を前に、数秒固まりました。
なぜこの図がわかりにくいと
感じたのか、考えてみました。
問題点
最初の分岐が 3択に見えるのに、
回答が 2種類しかないことが問題点でしょう。
最初の質問に対する回答が
はい・はい・いいえ の 3択になっており、
はい の回答がなぜか 2つあります。
どちらの はい を選べばいいのか
わかりませんよね。
その先の、中段の四角を見てみると、
株式の預託先によって
分岐していることがわかります。
◯◯証券に株式を預託している場合は「左の はい」、
そうでない場合は「中央の はい」
を選ぶことになります。
この図のわかりにくさの本質は、
「上段と中段で四角の意味が異なっている」
ことだと考えました。
回答の選択肢が はい・はい・いいえ
になっていることのインパクトが強いですが、
これは本質が生み出した表層に過ぎないのかなと。
上段の四角は はい・いいえ で
回答できる「質問」です。
はい・いいえ の矢印が、
読み手が選ぶべき「回答」を表しています。
一方で、中段の四角は、
「質問」であり「回答」でもあると言えます。
四角の中の「質問」を読んで、
該当する場合の「回答」はそのまま下に進み、
しない場合は他の「質問」に進む形です。
下段の四角は「質問」でも「回答」でもなく、
「結果」といったところです。
この下段の四角にだけは色がついており、
他の白い四角とは意味が異なることが想像できます。
しかし、上段と中段の四角は
完全に同じフォーマットで描かれており、
意味が異なると考える人は稀でしょう。
こういった「図形の意味の不統一」が
この図の本質的な問題点であると考えました。
改善案 1
「質問」は四角、「回答」は矢印
で統一しました。
はい・はい・いいえ の3択がなくなり、
ひとまず迷いなく進めるように
なったかと思います。
改善案 2
あちこち細かいところを
さらに手直ししたものがこちら。
まず、ケースA, B, C の
アクション内容を明示しました。
書類を読み進めるとわかりますが、
各ケースでアクションが
全く異なるわけではありません。
やるべきアクションは全部で 3つあり、
ケースA なら 1つ、Bなら 2つ、
Cなら 3つ全部が必要になります。
3つのアクションを明示し、
はい・いいえ とは異なる矢印で連結することで、
やるべきアクションと流れの大枠が
この図だけで理解できるようになりました。
また、アクションを示す四角の角を丸めることで、
「質問」の四角と差別化しました。
色だけでなく、形でも
差をつけておくべきだと考えました。
白黒印刷の濃淡だと、2段階ならともかく、
3段階のグラデーションは
認識しづらい可能性があることも
留意しておきたい点かなと思います。
ついでに、2つ目の質問の書き出しを
1つ目のものと揃えました。
主語を「読み手」に固定することで、
読みやすくなったのではと思います。
元の図のように△△株式を主語にするなら、
「△△株式は◯◯証券に預託されている」と
書かないと不自然です。
おわりに
わかりにくい!という印象から始まり、
読み手のわかりやすさを
最優先した図解を考える機会になりました。
最近はお遊び寄りのライトな図解
ばかり投稿していたので、
ロジック重視の図解は久々だったり。
今回のように、改善点を文章で解説するのも、
自分への刺激になりました。
すべてのスライド・図形に対して、
なぜそのデザインにしたかを説明できることが理想、
という「パワポの美学」を思い出しました。
ちなみに、私は株式移管手続きはせずに、
さっさと市場で売っちゃいます。
TOB のたびにいちいち証券口座を作るなんて、
管理のコストが面倒すぎ…
いつも図書館で本を借りているので、たまには本屋で新刊を買ってインプット・アウトプットします。