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アニメとオタク文化

 昔僕が中学生くらいのときアニメを見ていると公言しようものならオタクと嘲られる文化があった。漫画のHUNTER✕HUNTERにどハマりし、旧版アニメをよく視聴していた。あらすじは原作を読んでいたので時折見逃す週もあったりしたものだが。ヨークシン編からオープニングが変わったのだが、それを受けて兄貴が少々小馬鹿にした口調で「今回のオープニングはどんな感じなの?」と話しかけられたことは今でもよく覚えている。「前より重厚感があっていいね」などと言ってさも評論顔で受け流したものである。今では兄貴も僕が実家を出る際に置いていった漫画を読んでハマっていると聞いた。兄貴よ、僕はもろもろ覚えておるぞ。

 こういった風潮は家庭の中に留まらず学校内でも似たようなものがあった気がする。スクールカースト的に「運動うまい」>「オタク」という図式はあったものだから、オタク趣味というものは隠れてやるものだという暗黙の認識があったように思う。

 今はどうだろうか。もしかしたら基本的には変わっていないのかもしれない。でもいささか許される風潮というか、マイルドになった感はある。一昔前には見てればオタクと分類されるであろうアニメも、一般の人が見るようなことが多くなってきたのではないだろうか。電車に乗っていれば社会人がスマホで漫画を読んでいるのはよく見るし、職場の昼休みにアニメを視聴している若い社員もいる。意にも介さず平然とスパイファミリーのアーニャのアクセサリーをバッグにつけている女性だっている。

 そうそうスパイファミリーである。僕は2、3話観て視聴が続かなかったのだが、かなり裾野が広く世間では大ブームとなっている。数年前、「君の名は」が流行る前もまさかここまで世間に受け入れられるとは思わなかったものだ。以前はこうした市民権を得たアニメといえばジブリくらいのものだったように記憶しているが、いつの間にか「普通」と判定されるアニメが「オタク」の領域を侵食しているかのようにも思える。ちなみにどちらかというのであれば「オタク」側に位置しているあろう僕としてはこうした風潮は世間が歩み寄ってくれているようでうれしく感じている。クールジャパン、大いに結構だ。

 なお、Youtubeの今期アニメ紹介という動画を見ることがあるが、ここまではいけないと肌感覚で思ってしまうディープなオタクアニメはちゃんとある。上には上がいる。それを目にする度にあまり軽はずみに「オタク」を名乗ってはいけないなと自ら思い直すのである。


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