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「いま私にできること」

 私はいわゆるしがないお堅い職場の人であるが、それでもこの大混乱の中、変わり続ける情勢に常にアンテナを張っていないと、取り残されそうな毎日である。(すでに、ちょっと疲れてきて新規感染者数の推移をみるのには飽きてきている。)

 そんな中、友人の「知人が店を休業していて、収入がなくて困っている」というつぶやきに思わず反応して、給付金の制度紹介や税・保険料の減免・優遇措置等について説明し、少し相談に乗るなどした。お堅い職場の人は、ああいうお堅い政策や制度を読み解くのが得意だ。

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(写真はいつかのビアバー)


 この間の関心の中心といえば、全員一律の10万円の給付(特別定額給付金)が、いっとき、すべての話題をかっさらっていった。すでに給付された自治体や、申請が始まっている自治体等、現状の進捗はさまざまではあるが、お堅い職場の人からすると、給付制限なく、住民票ベースで、申請は郵送かオンラインの2択、そのうち指定された口座に振込。という至ってシンプルで分かりやすく、事務手間も最低限に押さえた分かりやすい政策(良いか悪いかは知らんが)と思う。
 それでも、ネットでも現実世界でも、発表されて1、2週間ほど、みんなが10万円の話をしていたように思う。それも、今欲しいものに思いを馳せるような幸せな話ではなく、この政策の是非、受け取るべきかどうか、どう使うのが良いのだ、悪いのだ等々。
 え、この給付って毎月やったっけ?それとも100万円やったっけ?と錯覚するくらいには、その話で持ち切りで、その他の話が霞む勢いだったように思うし、10万円という金額がもたらしている安心感にびっくりした。(今はだいぶ落ち着いたが。)
 もちろん、この10万円が死線になる人がたくさんいるという実態も受け止めつつであるが、10万円では、店を休業してる場合じゃないし、うかうかと失業もしてられない。
 だから、10万円に振り回されずに、もっと支援が欲しい!と言ってもいいと思っている。

 人口1億2千万人のこの日本で、1人1人に10万円配るだけでも、12兆円のお金が必要だ。(さらに、事務費として1,200億円の予算がついている)。この予算額がいかに異常な額かというと、消費税の増税(8%→10%)による、増収額は、たったの5.7兆円で、その2倍を超える金額をポンと放出することになったということだ。
 でも、結局それでも1人10万円、一回限りの給付しかできないのだ。
 そのため、働いて生計を立てている人には、失業、休業の補償策が次々と展開されている。給付もありがたいが、企業や会社に点打ちして、そこで働く人たちが救われれば、ばらまきよりもよっぽど効率的である。
 全国一律の制度としては、「持続化給付金」「雇用調整助成金」「休業手当」「傷病手当」等がこれに当たる。制度が分かりにくいだの、事務が煩雑だの、散々叩かれているが、正直なところ、「うるせぇ!ちょっとでも説明読んだんか!QAまで読んでから電話しろ!」との思いが強い。(なお、このへんの制度について電話を受けている仕事ではない。)


 お堅い仕事(特に福祉関係)の人たちは正直、広報ヘタクソ芸人であることは認めるが、この間、中央省庁もだいぶんと努力しているように見える。わかりやすい制度パンフや、雇用調整助成金の説明ムービー等も公開されている。


 大幅な申請項目減やオンライン申請対応等、民間に比べたらまだまだとは思うが、制度作って、予算とって、受付体制組んで、広報して、正直、すごいスピード感だと思う。褒めてくれというわけではない、まだまだ足りない施策があるならアイディアを申すのも良い、でも、制度を知らず、調べもせず、ただただ文句を言いたいだけの人がどれだけいるのだろうか…と思ってしまうことすらある。
 特に雇用調整助成金について、ある日特集されていたTV番組では、「申請に必要な書類がそろっていない会社が多い、出勤簿や勤務時間の記録が付けられていない等。それによって助成金が使えず、絵にかいた餅になっている」等と批判されていたが、それって、そもそもその会社に問題があるのでは???と思ってしまったのは私だけだろうか。個人事業主でやっているから、領収書や請求書なんか存在しない、そんな文化なんかないんだと堂々と言い張る人までいる。もちろん、一生懸命やっている人が多いと信じているが、営業実態や減収状況が不明瞭なのに、口頭で言えばまかり通ると思っているのだろうか…?と思わざるを得ない。
 休業中は手当が減ってしまうのも、休業しているからでは?としか言いようがない。(10割と言いつつ上限を設けることで混乱を招いていることは確か。引き上げも検討されている。)多くの人になじみ深い育休手当も10割もらえないが、今までそんなに問題になったことあったか?とも思うのだが…もちろん、たくさんもらえるに越したことはないが。

 とにかく、こういう時こそ、制度政治のことをどんどん調べて、どんどん使って(普段税金払ってるんだから、もらえるお金はもらうべし)そのうえで、こういうのは使い勝手悪い、こういう対策をやったらいいのではないか、みたいな意見がたくさん出ると良いなと思う。なので、各自治体首長や官邸への、まるで人格否定か?と思わざるを得ない、中傷誹謗とも取れるリプライの嵐を見ることは、ここ数週間、やめるように心がけている。
 もちろん選挙や議会にも関心を持ってほしい。各自治体の露出が多くなって、賛否両論あれど、人々の関心が高まっていることにもやや感動しているところだ。未来は、私たちの手にあると思いたい。
 

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