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月刊アルバムレビュー 2022年3月号

①Luna Li / Duality

1曲目”Cherry Pit”がまず最高すぎる。プログレでも始まったのかと思う激しいイントロ、からのローファイ・ポップ、全体を通してノスタルジックなメロディとアレンジ構成され後半に行くにつれてどんどんドリーミーに、トレモロのギターが入る頃にはシューゲイザーの様相を呈してくる流れに毎回感嘆してしまう。全体としてはインディポップ、R&B 、フォークなどジャンルに囚われない柔軟さや古めのロックからの影響も垣間見える歪んだギターによるリフなども高ポイント。Jay Somやbeabadoobeeとのコラボ曲もいい。

②Ex-Vöid / Bigger Than Before

音の感じやバンドの雰囲気はポップパンクやパワーポップ方面の要素が強いのだけれど、男女混声ボーカルとメロディの良さからexloversを思い出していた。どっちも”ex”で始まるバンド。

③Rex Orange County / WHO CARES?

ベニー・シングスと制作したということで納得のシティメロディ感溢れるアルバム。ストリングスを真ん中に据えたアレンジが華やかで、80’sの軽快なポップスを彷彿とさせる。

④Yumi Zouma / PRESENT TENSE

シティポップ繋がりでこちらもその手の音楽好きの耳を虜にしてやまないニュージーランドのバンド、ユミゾウマの4枚目。先行シングルは”Mona Lisa”だけ聴いて「これはヤバイ」と思い他のを我慢して本リリース後一気に聴いて身悶えた。特に”Of Me And You”は「あなたたちこういうの得意だよね!」の極み。ポップでクール。畳み掛ける良メロ。たまらん。

⑤MICHELLE / AFTER DINNER WE TALK DREAMS

誰かに教えてもらったのか、いつの間にかライブラリに入ってて何気なく聴いてみたらド好みだったやつ。ボーカリスト4人のそれぞれの個性が立つコーラスワークは聴きごたえがある。

⑥FIEH / In The Sun In The Rain

ノルウェーのネオソウル・シンガー、フィアの2nd。謎なM-1からのジャズソウルなM-2”Fast Food”への流れはよくあるやつではあるのだけれどやっぱりヤられてしまう。

⑦Nilüfer Yanya / PAINLESS

トルコ系イギリス人の女性SSWによる3年ぶり2枚目のアルバム。速め強めのリズムが耳を引くノリやすい印象の上2曲の他、R&B寄りのハスキーボイスとオルタナ色の強い楽曲は幅広い層のリスナーに響きそう。

⑧Camp Cope / Running with the Hurricane

芯の強い女性ボーカルとメロディアスなベースラインが印象に残った。大自然と対峙しているようなスケールの大きいアレンジとメロディ。

⑨Aldous Harding / Warm Chris

大人な落ち着いた声から少女のような声まで楽曲に応じて使い分けているのがすごい。オーガニックなピアノ主体のフォーク・ポップサウンドも好き。

⑩Tinyumbrellas / Kaleidoscope Towns

MV含め全体的な手触りはKate Bollingerに匹敵するメロウさ。ジブリに影響を受けたらしい可愛らしいメロディと、ウクレレを用いるところがより柔らかさと親しみやすさを醸し出している。

⑪優河 / 言葉のない夜に

インディフォークが国外で盛り上がっている中にこのアルバムが投入されるとどうしても今の風潮とリンクして考えてしまうのだが、この人の音楽はもっと土着のものというか、しっかりとした「邦楽」感があるように思われる。細野晴臣系統の邦メロディ、普遍性のある歌詞とそれに説得力をもたらす声が素晴らしい。

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