見出し画像

FF12クリアしたよ

 原作厨なので(?)当然無印版である。

 Final Fantasy Ⅻ (Play Station 2)2006

 とりあえず、エンディングまではクリアした。
 以下、感想とか。

名作だった

 発売当時、評判があまりよくなかったようだけど、その理由はわりとわかる。そういう観点から名作を紐解いていく。

シナリオ

 この作品は、イヴァリースという世界の一地域での話なので、それまでのFFと比べてスケールが小さい。ラスボスが世界を破壊しようとしていて世界の命運を賭けて戦っているという従来の作品とは、そういう意味では違う。主人公たちは帝国から自分たちの王国を取り戻そうと戦う話で、敵は歴史を人間の手に取り戻そうとしていた。それぞれの陣営に思惑があって、善と悪の戦いというより戦争が描かれていた。それが良かった点であり、(一部の人間には)悪かった点だろう。
 個人的にはそういうシナリオは大歓迎である。ていうか松野泰己氏のゲームなのだからそういうシナリオなのはプレイする前からわかっていることで、そこに期待もしている。松野ファンはすんなり受け入れるだろうし興奮もする。誰が正しいとか悪いとかではなくて、それぞれに思惑があって、陰謀が渦巻いて、巻き込まれながらも自分の進むべき道を主人公は見つけていくのが松野ゲのいいところなのだ。そこが好きなのだ。今作は大きな裏切りとか、妹や姉が死んだりとか、昔の仲間と敵対したりとかの血なまぐさい展開はなかった。嘘。あったけど控えめだった。というかその展開があってからストーリーが始まるので、何時間もプレイして知った顔のキャラクタが死んでショックとかはない。バルフレアが実は帝国のスパイでヴァンと決闘して殺し合うとかいう展開もない。薄味の松野シナリオだった。松野さんは途中で降板しているから本来想定していたシナリオとは違うのかもしれないが……。
 それでもストーリーはめちゃくちゃ面白かった。ムービーシーンも綺麗すぎで、これが劇場版ファイナルファンタジーでいいじゃんと思った。

主人公

 ヴァンが空気とか言われるけど、意外と主人公していたと思う。一番主人公力が高いのはアーシェだと思った。アーシェが記憶喪失で、自分が王女だと気づいていない、みたいなストーリーでもよかったのかもしれない。あるいは彼の言葉通りバルフレアが主人公でも良かったのかもしれない。というか3人共が主人公なのだと思った。
 3人共、物語の中で成長していくのがよかった。だから、3人を主人公にして、場面によって操作キャラを変えたらいいと思った。FF6みたいに。イベントごとに連れていけるキャラクタをある程度固定するとか。地上ルートはアーシェ、上空ルートはバルフレアを固定キャラにして残りはプレイヤーがパーティを振り分ける。そうだったら楽しいと思った。でもその手法には問題点があって、それはムービーシーンである。プリレンダを使わないという手もあるが、看板タイトルでそれはできない。しかもフルボイスなのでなおのこと難しい。何種類かムービーを作ってセリフも何種類も録るという大変な作業をすればできるだろうが、PS2でそんなことをしたら容量がきっと足りない。
 そんなことを思うほどにそれぞれ主人公感があってよかった。ヴァンが突出して主人公をやっていたわけじゃないから、色々言われてしまうのはしかたないのかもしれない。でも、巻き込まれ型の主人公は嫌いじゃないし、その外側に様々な思惑があって真実を見極めていく立場という意味では松野ゲの主人公だったんじゃないかな。

システム

 バトルシステムに関しては最高と言わざるをえない。
 実質前作に当たる10のCTBとかいうのが性に合わなくて、10-2のATBの完成形みたいなシステムが最高傑作だった。そして今回はフィールドにいる敵とリアルタイムで戦闘になり、位置関係とかも影響してくるようになった。今までのFFの戦闘とは次元が違うと思った。名前もアクティブディメンジョンバトル(ADB)だし。
 10-2のバトルが最高だったけど、本作も最高だった。次元が違うから比較ができない。どちらも最高だということ。
 ガンビットシステムも、最初は戸惑ったけど、慣れたら楽しくてしかたがない。何より楽である。自動で状態異常回復してくれたり、ヘイストが切れた瞬間に再びかけてくれたり。予め組んだガンビットがうまくいったときの気持ちよさよ。やり込んでいけば、もっといくらでも洗練できるシステムだと思った。ガンビットのコマンドで、こんなのいつ使うんだというものもあるが、ひとつひとつ理解していけば全部完璧に使いこなすことができて更に面白くなるだろうと思った。
 正直、このガンビットシステムが合わない人はきっといる。というかややこしくて理解できないと投げ出してしまう人もいる。そういうちょっと人を選ぶシステム、僕は好きです。FF8が好きなように。
 あと、システム面でよく言われるのがライセンスボードが全員共通だから個性がないとかいうの。わかるけど、個性なんて勝手につくと思ってしまう。魔法使わせたいキャラには優先して魔法覚えさせたりする。魔力が上がる装備をさせれば魔法使いキャラになる。もちろんそういうキャラに剣を装備させることもできる自由も楽しい要素でもある(杖を装備して魔力やMPを上げたほうが実用的ではあるが)。
 各種、武器も面白くてこれもFF12の魅力だと思った。武器ごとに特徴があって、単に力だけじゃなくて魔力やスピードが影響するものもあれば、防御無視の銃とか相手の魔法防御が影響する棒とかもあって面白い。棒振り回して戦う主人公とか、ごつい槍背負っている王女とかがいて、パーティにプレイヤーの個性が出ると思った。

槍を背負う王女

 魔法も各種、面白くてよいですね。
 特にお世話になったのはオイルだった。ヴァンが盗んでいる間にパンネロがオイルをかけて、バーニングボウと炎の矢を装備したバッシュが攻撃する。敵に囲まれているときはファイラで一掃する。雑魚はこれだけで終盤までいけてしまう。あまりにも凶悪魔法だった。
 序盤はMP管理が厳しいので魔法が使いにくいと感じるが、中盤以降は魔法をきちんと使わないとやっていけなくなる。アスピルを覚えたらMP10%以下になったらアスピルを使うようにするなど。アスピルが効かない敵の場合は味方に使う。アスピルも優秀魔法だった。

音楽

 音楽が最高なのは、崎元仁のファンとしては当然である。
 FFTA2の『幻想の中で』という曲が好きだった。それがFF12の『サリカ樹林』のアレンジだと知った日からこのゲームに興味を持った。
 FFなのに植松伸夫の世界じゃないと嘆く人がいるのもわかる。それで当時手を出さなかった人もいるだろう。でもFF10-2も11も植松伸夫がメインじゃないけど名曲いっぱいあったよ。聴いてないと人生損しているよ、と思う。同様に12も名曲揃いだった。そういう問題じゃないのかもしれないが……。FFのファンファーレとかプレリュードのアレンジもあるし、そういう場面は従来のファンもやっぱり嬉しい瞬間なんじゃないかな。そしてイヴァリースのシリーズは(というか松野ゲでは)いつも崎元仁の音楽が主に世界を彩るのだ。岩田匡治もいるときもあるけど。彼の音楽に耳がなじんでいる僕には自然と受け入れることが出来た。
 エンディングで主題歌が流れて、クレジット見ると作曲が植松伸夫で、感動した。メロディメーカーなんだよなぁ。対して崎本さんは作品の雰囲気を際立たせる音楽を作るのが上手いイメージ。どっちも好きだ。

問題点

 名作だったけど、いくつか問題点もある。

 俗に言うガフガリオン口調がもっとほしいと思った。いっぱいはいなくていいけど、主要キャラに一人いたほうが物語が引き締まる(?)。

マップ

 広すぎる。移動に時間がかかりすぎる。戦闘の仕様上、しかたないのかもしれないが、もう少し狭くても良かったのではないか。TZA(リマスター版)では倍速機能があるとかないとか。

PS2

 PS2の調子が悪いので、なかなか起動しない日がたまにある。マップを切り替えた際にロードが終わらなくてフリーズしたこともある。セーブ中にメモリーカードを認識できなくなって、データが破損したこともある。原作の実機プレイの恐ろしいところよ。でもリマスターじゃなくて当時の空気を味わいたいのだ。これも人間のサガか。

その他の感想

クリスタル

 原点回帰的な、FF的な意味でもクリスタルの存在は良かった。セーブや移動に使うだけじゃなくて、クリスタル・グランデというダンジョンも存在が良かった。
 何より良かった点は、クリスタルで回復ができる点だった。便利なのもあるけど、そうじゃなくて、宿屋で泊まって回復じゃない点が良い。あと数日でラスボスが攻撃を仕掛けて世界を破壊しようとしているのに、宿屋に何泊もできてしまう従来のRPGの(つっこんではいけないんだけど)気になる点を解消している。
 でも逆に泊まっているシーンがないから全部同じ日、あるいは数日の間に起こった出来事のようにも感じられる。物語のリアリティや緊迫感といったものは感じられるが、数日で主人公たち成長しすぎじゃない? と思ってもしまう。つっこんではいけないんだけど。

 声優陣が豪華で感動する。平田さんのバルフレアがかっこいい。サンジの声でサンジみたいな行動を取るんだ。小山さんのバッシュもかっこよすぎて困る。
 ラスボスが飛田さんで、悪役も似合うんだけど、カミーユがちらついて物語に集中できないのが僕の中の問題点だった。
 オイヨイヨがどうとか言われているけど、そんなに気にすることではないと思った。

グラフィック

 PS2後期の作品だから当然なんだけど、グラフィックが綺麗すぎてあせる。
 プリレンダはともかく、フィールドの水辺に反射しているのが綺麗でさすがスクエニだと思った。PS2なんだぜ、これ。

水面に映る空の表現がすごい。

次の冒険

 いつまでも古のゲームばかりしていては新しいゲームをできないから、新しいゲームと古いゲームを交互にすればいいんじゃないかなと思う。
 FF12(2006)をクリアしたから、次は……ルドラの秘宝(1996)とかがいいんじゃないかな。2006年が新しい方に入るのかはともかく。
 FFとしては、12の次は当然13だと思うだろうが、僕はFF12RWをします。そんなゲームの存在を誰が知っているんだよという感じだ。気が向いたら13をします。
 その前に、ゼルダとドラクエとサガとマリオとメトロイドとニーアをします。あとデュープリズムとか。
 ていうか12はエンドコンテンツがオフラインのゲームなのに充実しすぎていてまだあと100時間ぐらいはプレイできそうである。こわ。
 リマスター版も面白そうで興味は尽きない。

 無印版のパッケージ好き。


踊る8匹のモーグリ

 上2つの画像を見てほしい。踊る8匹のモーグリと書かれているが、どうみても彼らは踊らされているのだ。
 テキストが豊富で、細かく世界を描いているのが松野ゲの真骨頂なので、こういうどうでもいいシーンにも抜かりがない。


 終


もっと本が読みたい。