見出し画像

夫婦喧嘩の果てに


この度、盛大な夫婦喧嘩をした。

いつもは温厚で、とにかく陽気にとぼけたりして冗談を言ってくる夫も、今回は口数が少ないまま。

・・・私たちはどうなるのか。


結婚十数年目の夫婦って


普段は馬鹿みたいに、今でもじゃれあっている私たち。

お互いにもう、中年を超えて老年に入りつつある立派なお年頃にも関わわらず、実はいつもべったりしている。

私は常に夫の好きなものを探していて、夫はいつも私の好きなものを見つけてくれる。

ちょっと私が怒ったりした時は、夫は必ず私が「なんで怒っているのか?」「何があったのか?」と問いただし、私の説明を聞きながら、「問題ない」「何でもない」と言って、抱きしめる。

私としては、「問題ない」「何でもない」で済むことではないが、夫が寄り添ってくれていると感じて、その場合はまあ何とか気持ちを治めるのだ。

また、日本のように他人の目がそんなに気にならない環境のため、普段歩いている時も手をつなぎ、離れるときにはキスをするのが習慣化した。


元々、夫は超硬派で日常の鼻歌さえも秘密にしたがった。(苦笑)

「手つなぎなんて、恥ずかしい」「キスなんて、挨拶ではしても恋人・夫婦間ではそんなに必要ない」と言っていたらしい。

それがこんなに、私のために変わってくれたのだ。

私は、夫と結婚したことを、本当に日々感謝していた。

夫婦としてこれからも夫と、この地で生きていく、と決めたのだ。

・・・それが、である。


喧嘩の原因


この国の家族は、とにかく関係が近い。

義両親は毎日最低でも1回、子供である夫に電話をかけてくる。

夫が仕事で忙しい時には、私にもかけてくる。(苦笑)

そして毎日の電話の中で、何でも話す。

なぜそんなことまで知りたがるのか?それを知ってどうするのか?と思うようなことまで事細かく聞いてくる。

今日はどこに行ったのか?

どうして?何か買いに?なんで?

ミキサーを買った。

なんでだ?何に使うのか?いくらか?どこで買ったのか?どうしたのか?台所のどこに置くのか?(←そんなこと知ってどうするのか?)

Mは今どこにいるのか?元気なのか?

今台所で片づけをしている。

ちょっと移動の疲れが出ているみたいで、なんだか調子が悪いようだ。

どこの調子が悪いのか?何か他の原因もあるのではないか?病院には行ったのか?薬は飲んだのか?どんな薬を飲んでいるのか?先生はなんと言っているのか?

「さあ、Mを出してちょうだい。」

・・・そして、夫が説明した上記の尋問が私に対して再び同じことを繰り返し聞かれるのだ。。。(涙)


私は義両親のことは好ましく思っているし、いつもお世話にもなっているので、できるだけ好意的に対処してきたと思う。

が、私にも限界はある。

今回は、私の体調不良(胃痛)について、夫が事細かく説明しだしたので怒った。

すごく個人的な部分だし、別にそんなに事細かく話さなくてもいい。

離さなければ、事細かく何度も尋問されないし、義両親も心配しない。

以前も、生理の痛みでベッドにいるだの、最近体重が増えて~だの(さらには私の体重まで!)まで事細かく夫が説明していたことがあり、私は涙ながらに「私にはプライバシーが無いのか!」と怒ったことがある。

その時夫は、「Mにとって嫌なことだとは思わなかった。もうしない。」と言ってくれたので荒ぶる気持ちをなんとか収めた。

だが今回また、この二週間の私の胃痛(結構激しめ…)についても詳しく説明しだしたため、また夫を怒るしかなかった。

この胃痛は、なにより先日までの義実家での長期滞在(実は夫の休暇で丸1カ月半も…)でのストレスが原因だと分かっていた。

それを夫にも原因を言わずに耐えていたのに、夫がいつものように義両親に事細かく話してしまった。

私は、ものすごく悲しいのと同時に、怒りが爆発してしまった。

「これはストレスが原因だと自分では分かっていた。どうして事細かく言うのか?どうして毎回、私の体の個人的なことまで義両親に説明しなくてはいけないのか?」

夫はまた恐縮して「Mにとって嫌なことだとは思わなかった。もうしない。」と必死で謝ってくれたが、私はもう何度目かのことなので怒りと涙が治まらなかった。

いつものように抱きしめられても、涙も止まらず怒りも収まらなかった。


翌朝にも私の中ではまだ引きずっており、二人で出かける予定があったが、イレギュラーの事態やバタバタしている最中に夫が、気楽な感じで「準備はできたのか?」と言われた際に、再度私が爆発してしまった。

夫はそれが気に障ったのか、その日一日中、いつもは冗談を言ったりするのに一切言わず、言葉も少ない状態に。

私も、夫の少ない言葉に反応しつつも、あまり話さない感じに。

いつもはくっついている午後も、その日はお互い別々の部屋で過ごした。


私の妄想


私にとって、夫の愛情がなければこの国に来なかった。

だから、夫の愛情が無ければ、この国に未練はない。

こんなことが起こるたびに、私は離婚の妄想をする。

荷物をまとめて、日本に帰る。

既にかなりの私物の量があるので、海外引っ越し便だな。

あるだけのトランクに詰めて、箱もいくつかいる。

服類はほぼ捨ててもいい。

日本に帰ったら仕事を探そう。

もう50代だけど、選ばなければ何かあるだろう。

この数年やっているバイトも、まだまだ続けていけそう。

最初はダブルワークでもなんでもして、基盤を作る方向で。

働いて住むのは、まず最初は東京だな。〇〇区がいいな。

ああ、あのお気に入りのマンションを売ってしまうのではなかった。。。

でも友達にも会えるし、大好きな和食も食べれる。

あの蕎麦屋と寿司屋、あのカレー屋にも食べに行ける!

この数年寄れなかった、あの和菓子屋にお菓子を買いに行かなくては。

土日に時間ができたら、行きたかった美術館にも行こう。

あ、今は催事でコラボカフェもやってるらしいからそこは一番に行こう。

・・・さあ、さっそく帰国準備をしなくては!

という事で、妄想の離婚後の帰国準備の一環で、すっかり楽しくなってベッド下収納の半分を整理したり処分できてしまった。(笑)


夫の「・・・おやつ開けるけど、食べる?」という声が聞こえるまで、
私の心は羽田に向かって着々と準備が進んでいた。


今回は離婚なし。


夫は、昨日から義両親からの電話を一人で対処してくれている。

私のそれ以上の事情(胃痛や体調不良)も、なんとか尋問をごまかしているようだ。

でも、私の今朝の爆発にまだ納得がいっていないようだ。

(その証拠にまだ、必要最低限しか話してこない。)

私がもう離婚して、羽田に向かっている妄想をしてるとも知らずに。(笑)


私の中では、既に今の家から羽田までの旅費と道順、日本到着後の行動順序まで整っている。東京での、今月の予算も決まっている。

そして更にいいことが一つ。

今朝も爆発したおかげで、胸の「つかえ」が取れたのか、昨日までのたうち回るほどの胃痛と下痢が、ぱたりと止まった。

本当に、体と心は繋がっているんだと実感した。


私はいつでも離婚できる。

・・・むしろ、したいかも。(苦笑)

でも今回は、まだある夫の愛情(おやつ)で離婚しないけれど。。。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?