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音の住み分け

ライブやレコーディングをしていく中でエンジニアさんやらハコのスタッフさん、対バンしたバンドの感想等でよく耳にする「音の住み分け考えてみたら?」というこの会話。
要するにバンドで出した音が被ってるだの、抜けが悪くてよく聴こえないだの、音の分離が悪いということなんですが、じゃあその音の住み分けってどうすればいいの?ということに対する自分なりの解釈の記事になります。

ギター、キーボード、同期等、主にアンサンブルの上物(うわもの)に対して言われてる事が多いですが、よく話題に上がるのはボーカルギターとリードギター2本の場合でお互いが出している音域が被ってるという例です。
確かに「機材のセッティングを変えたら出音が劇的に良くなった!」というパターンも実際何度も経験してきましたので、もちろんそういう事例もありますが、大半は音作りの問題というよりアンサンブルそのものに原因がある場合が多いと思います。

他の記事でも結構触れてきてますが、ギター2本あって、似たような音色で似たようなコードを似たようなストローク弾いていたら、そりゃぁ被りますよ(メタルやパンク、ハードコア等でよくある狙ってユニゾンしているパート等、意図的なものはこの類ではありません)。

そして、その解決策として片方を丸めな音色に、片方を硬めな音色にするという考え方をする人が多かったのですが、そんな事をしたら丸めに作った方が埋もれていくに決まっています。さらにそれを解消させるべく丸めな方の音色の音量を上げてしまうと、ボーカルや他の楽器とのバランスが崩れてどんどん泥沼化していく…というパターンを何度も目の当たりにしてきました。

そもそもエレキギターを歪ませて弦6本を全部掻き鳴らして単純にストロークしていたら、ギター1本でも弾いてる内容が結構グシャグシャして聴こえるものです。歪みが強かったり、ストロークが早かったり、勢いが良くなればなるほどそうなります(それが悪いという話ではありません)。
そしてボーカルギターだから、バッキングギターだからコードストロークをしなくてはならないということもありません。

ギター2本の場合でなく、キーボードやシンセサイザー、またはそれらを同期音源で使う場合も同様です。音色が違っても実は似たようなフレーズを重ねてしまっていたパターンですね。また、デモ音源やプリプロではいい感じに聞こえていても実際プレイしてみると思ってた感じと違うというパターンも少なくありません。

ですので、音色の見直しで解決されない場合は1曲1曲バンドアンサンブルの中で何をどう聴かせたいのかを今一度考えて、必要とあらばアンサンブルを、個人のプレイ1つ1つを練り直す事をまずおススメします。
それはバンド毎に、そして曲ごとに千差万別ですし、それがバンドの個性の一つになるのだと思います。
音色や音量で解決するのはシンプルに小さくて聞こえないとか、耳が痛くなるような音になってしまっていたからその音を下げてしまっていたとか、ハウリングしやすいからその音を下げてしまっていたとか、そういうパターンで、アンサンブル自体はよく出来ている場合が多いです。

…という話をすると、もう音源化しちゃったので…とかMV出しちゃったので…という話になったりもするんですが、別にいいじゃないですか(笑)!音源とライブのアレンジが違うバンド沢山いますし、変えてカッコ良くなるなら何でもいいと思います。とはいえ、一度完成したモノを変えるという作業は新しく作るより大変かも知れません。「だったら新曲作ってそっちを良くする!」でも、もちろんいいと思います。

あとレコーディング音源で色々重ねて録音したからそれをライブでも再現したいという事で同期を使ってる場合もあると思いますが、ライブだと音数が増えれば増えるほど個々の楽器の解像度が下がるというか、個々の音をしっかり作り込まないと分離がされにくくなります。

そしてこれらの事って例えばライブのリハーサルとかで実際外音聴いて発覚したとしてもその場ですぐに解決は難しいですよね。
そのためにも普段のスタジオワークから全部の楽器の音が聴こえるように爆音では行わないこと。そして自分以外の音を、全体のアンサンブルをちゃんと意識してプレイすること。この2つをお勧めしておきます。普段からアンサンブルを意識していると楽曲も音も良くなっていくと思います。

書こう、書こうと思って下書きに取りかかってから2年くらい経っておりましたが、結構以前の記事と重複してるかなと思いつつ、この辺で一旦締めくくらせていただきます。ではまた。

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