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映画紹介vol.4「ルビー・スパークス」理想通りに行かない現実

今回ご紹介するのは、

「ルビー・スパークス」2012年 

監督は「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス

出演:ポール・ダノ、ゾーイ・カザン、アネット・ベニング、アントニオ・バンデラス


自分が書いた小説の中の理想の女性が現実に現れる、という不思議な恋愛映画です。

理想の女性が現れてから、毎日楽しく過ごしていくのだけど、男と女というか生身の人間同士の関係は理想通りに行かないのが現実。

一見可愛くておしゃれで女の子が好きそうな映画だけど、人間の狂気のようなものも描かれていて、ただの可愛いだけではない所が私は大好きです。

<あらすじ>

カルヴィンは19歳の時に小説家としてデビューし天才と称されたが、それからスランプに陥り、何も話が浮かばない毎日。

カルビン

そんな中、通っている精神カウンセラーからの勧めで、夢に出てきた理想の女性をヒロインにした小説をタイプライターで書き始める。

シーン1

そうするとどんどん創作意欲が沸き立ち、自分はスランプを脱したのだと確信し、徹夜で書き上げたその小説を編集に見せにいこうと部屋を出ようとする。

その時、自分と愛犬スコッティしかいないはずの家なのに女性が話しかけてきた、、

なんとそこには今書き上げた小説の中の女性「ルビー」がキッチンに立っていたのだ。。

ルビー

ルビー「昨日は机で寝てたのね。いいのが書けた??」

カルヴィンはスランプを脱したのではなく、頭がおかしくなったのだと思い、何も知らずに話かけてくるルビーを振り払おうとし、現実に戻る為に街へ出かける。

街へ出ても妄想であるはずのルビーが消えずに話しかけてくるので、以前番号を渡してきた全く興味のない女性を呼び、カフェでお茶をすることに。

それを見つけて怒ったルビーは、カルヴィンを問い詰める。

すると女性がルビーを見て「彼女知り合い?」と言い放った。

カルヴィン「君にも彼女が見えるの?!」

カルヴィンの妄想ではなく現実にルビーが存在しているのだとわかったカルヴィンは、怒って行ってしまったルビーを追いかける。

そして謝罪し、ルビーの存在をかみしめる。

それからカルヴィンの生活は一変する。

ルビーとはいつも一緒。ゲームセンターに行ったり、クラブで踊り狂ったり、野外映画で一緒にゾンビ映画を見たり

シーン2

一緒に海に行ったり。

シーン3

毎日が楽しくてルビーが愛おしくて、充実した毎日のカルヴィン。

そんな中、ちょっと疎遠な母親から自宅へ来ないかと誘われる。

いつもカルヴィンを気にかけてくれる兄(クリス・メッシーナ)家族、ちょっと変わってるけど息子達を愛している母親(アネット・ベニング)、風変わりな母親の恋人モート(アントニオ・バンデラス)が集まり、ルビーを紹介し一緒に週末を過ごすことに。

母親&その恋人が苦手なカルヴィンだったが、アーティスト肌なルビーは打ち解けて仲良くなる。

そして母親の家から帰宅後、カルヴィンとルビーの間には少しずつ溝ができ始める。

ルビーは週1で自分のアパートで過ごすと言い出し、絵画教室に通い始め、外で友達と楽しむことを覚える。

どんどんルビーが自立していき、自分から離れていくのを感じたカルヴィンは、タイプライターでルビーの性質を上書きすることに。

「カルヴィンがいないとルビーは生きていけない」

するとルビーはその通りになり、カルヴィンが仕事に行こうとすると寂しがり、片時も離れられない情緒不安定なメンヘラ女子になってしまう。

ルビーから捨てられるのが怖くて、自分の思い通りにしようとすればする程理想とはかけ離れた女性になっていく。カルヴィンはルビーらしいルビーを愛している事を再確認し、タイプライターでまた元通りのルビーに上書きした。

そんなある日、小説家仲間のパーティに出席した二人。

カルヴィンが知り合いから声をかけれられる中、独りぼっちにされたルビーを小説家仲間のラングドン(プレイボーイ)が目をつける。

プールで一緒に遊ぼうと下心みえみえのラングドンから誘われ、退屈していたルビーはその誘いにのり、ドレスを脱いで下着姿でプールに入ろうとしたところ、カルヴィンに気づいて止められる。

※この時のルビーの下着がボーダーで可愛い。セクシーだけど辺にエロくないとこがルビーぽくていいのだ。

怒ってルビーを連れて帰るカルヴィン。

以下はネタバレになります。本編を楽しみたい方はここまで。

〈ルビー・スパークス予告編〉


<以下結末&ネタバレ>






ふしだらな女だとルビーを叱るカルヴィンに対し、

「自分をルールで縛り、一つでも破ったら私を束縛して苦しめている。理想の女じゃなくて悪かったわね。でもあなたの自由にはさせない」と言い出し家を出ようとするルビー。

「それはどうかな。僕は君を自由に操れる」と言い、書斎へ行きタイプライターを取り出す。

ルビーが家から出て行こうとすると、まるで透明の壁がそこにあるかのように家から出られなくなる。

「何これ?」

「僕が君を作ったんだ。君を創作したんだ、だから君を自由に操れる」とタイピングしたルビーの小説を見せるも信じないルビー。

そこでカルヴィンは狂ったようにタイプし始める。

ルビーはフランス語を話す、指を鳴らす、服を脱ぎながら歌う、犬になりきる。

そしてその通りになるルビー。

「愛している・離れない。あなたの口が、目が、鼻が好き。あなたは天才、あなたは天才、あなたは天才、、、、」タイプした言葉を狂ったようにそのまま口にする彼女。

タイプをやめたカルヴィン。途端に、ルビーは部屋を出ていく。

我に帰ったカルヴィンは、再びタイプライターに向き合い打ち始めた。

「ルビーは家を出るとすぐに過去から解放された。彼女はもはや彼の創造物ではない。彼女は自由になった。。」

朝がくるとルビーは部屋からいなくなっていた。

そしてまたカルヴィンと愛犬スコッティの2人きりの生活になった。

カルヴィンはタイプライターをしまい、パソコンでルビーの物語を書き始めていた。そしてその物語は「The Girlfriend」という小説として出版され大ヒットとなった。

カルヴィンは作家として再び評価される。

そんなある日スコッティを散歩させていると、ルビーと瓜二つの女性と出会う。カルヴィンは驚くが、その女性はカルヴィンの事を知らない様子。

彼女は「The Girlfriend」を読んでいるところだった。カルヴィンと話しているうちに彼女は「私たちどこかで会ったかしら、、」と記憶をめぐらすが、本の著書紹介にカルヴィンの写真が載っており、そのせいかと納得する。

そしてカルヴィンはその女性の隣に座り、二人は話し始める。

〔終わり〕

おまけ

映画のスパイスでもあるルビーのファッション。

ルビーfashion

ルビー演じる「ゾーイ・カザン」とカルヴィン演じる「ポール・ダノ」は実生活でも長年の恋人であったらしく、息ピッタリだったのは納得。

人間同士、特に男女の関係は思い通りに行かないことばっかりで苦しくなることも多々あるけど、だからこそ他人と深く関わる事は大事なんだと思わせてくれる映画。

気になった方は是非。

長い文章をご覧頂きありがとうございました。

ではでは。


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