セラムン二次創作小説『気になるあの戦士の……』


ジェダマーズ


目のやり場に困る服装で、彼女を見る度に何処を見ればいいか分からない。

美しい顔をしているマーズ。顔を直視する事すらはばかられる。

そんな彼女の体を見ることなど、恐れ多い。


「なに?」

「あ、あぁ、いや」


顔を眺めると、途端に不機嫌に問い詰める様な鋭い言葉が返ってくる。


“美しい顔立ちで見惚れていた”


ストレートにそのまま伝えられたらいいのだけど、口下手ゆえに狼狽えて終わる。

せっかく彼女が作ってくれた会話のチャンスだったというのに、無駄にしてしまった。己の不甲斐なさに後悔してもしきれない。


「その格好、寒くないのかと思って……」

「はぁ?」


汚名を卍解しようとして空回る。あからさまに嫌な顔が返ってくる。

何故俺は、気の利いた事が言えないのだろうか。


「いや、いつもその格好で来るから」

「これが正装で、プリンセスの側近の戦士の証だから」


他の格好で来るなんて発想は無かった。と続けて言うマーズ。


「いざと言う時に守れなきゃ、護衛の意味も無いですから」


この言葉に、彼女がプリンセスの守護戦士としてのプライドと、何故彼女がプリンセスの守護戦士に選ばれたか?その意味を垣間見た気がした。

流石は戦いの戦士だけある。彼女の覚悟を少し見れた気がした。


セーラー戦士の服装、それはプリンセスに純潔である証。






ネフジュピ


「いつも有難い!目の保養になる」

「何がだよ?」

「その格好さ。露出がすげぇだろ?そそるねぇ~」

「お前、馬鹿だろ?」

「ハハハハハ」


この地球の女は、肌をあまり見せない格好が主流だ。特に脚元は隠してナンボ、みたいなところがある。ロングスカートが当たり前だ。上半身は胸が強調されている事が多い。

逆にセーラー戦士は上を隠して、下を隠さず。脚元が丸見えのミニスカートだ。

この地球の女では拝めない物をセーラー戦士で補っていると言っても過言では無い。


「動きやすそうだよな、その格好」

「ああ、その点で言うと最高だぜ」


これでいつプリンセスが危険な目にあっても護れる。そう嬉しそうにジュピターは続けて語る。余程、プリンセスが好きな様だ。


「俺たちと一緒だな」

「何か言ったか?」


ボソッと呟いた言葉はジュピターには聞こえなかった。

彼女と同じ様に、俺だってマスターを想っているし、護りたいと思ってる。だからこうして護衛してるわけだ。

まぁ、嫌々ではあったものの、セーラー戦士の格好と言うご褒美が付いてきたわけだ。大当たりと言った所か?


マスターとプリンセスの禁断の恋に、感謝だな。



クンヴィ


「その格好、恥ずかしくは無いのか?」

「恥ずかしいなんて思った事、一回もないわよ!」


プリンセスの側近にも関わらず、主よりも露出が高いとは、これ如何に?

女性と言う立場からしても、この露出の高い格好はどうなのか?

いつも目のやり場に困る。


「この格好はプリンセスの側近である証なの。これ以外は考えられないわ!」

「そうか、変な事聞いて済まなかった」

「別にいいわ。私も聞きたいことがあったの」


ヴィーナスは、この格好に誇りを持っていたようだ。余計なお世話と言う奴だったというわけだ。


「何だ?」

「あんたの格好こそ、恥ずかしくないの?胸元なんか開けちゃって」


同じ言葉を返されてしまった。流石は負けず嫌いなリーダーだ。


「いや、全く」

「そう、寒くは無いの?」

「ああ、マントもあるからな。そちらの方が寒そうに見えるが?」

「慣れているから、大丈夫よ。そのマントもあんただけよね?動きにくそうだけど?」


ヴィーナスも、我々の服装に疑問を持っていた様だ。次々と質問が来る。


「マントはリーダー特権だ。まぁ、確かに動きにくい時もある。しかし、マスターとて同じ」


俺はマスターと同じ様にマントを与えられ、誇りに思っていた。リーダーとして、認められたと嬉しく思っていた。

動きにくい事もあったが、それも鍛錬だと受け入れていた。

きっと彼女のこの格好も、そう言った事なのだろう。

そう言った意味では、彼女のプリンセスへの忠誠を感じる有意義な時間だった。







ゾイマキュ


セーラー戦士は全員、凄い格好をしているなと思った。

そしてその中でもマーキュリーは、群を抜いて寒そうだと感じた。

色合いも寒色の水色で、ノースリーブ。

何故こんな格好なんだ?


「随分と変わった格好だな?」

「ええ、これがプリンセスの側近としての正装だから。緻密に計算されて、動きやすい格好に出来ているの」


この言葉から、彼女自身も不思議に思ってセーラースーツの研究をしたのだろう事が伺える。

流石は知性の戦士、勉強熱心だ。


「確かに動きやすそうだ。しかし、寒そうに思うけど」

「地球では寒いわね。四季があって気温が違うから。月では四季もないし、気温もコントロールされているからちょうどいいわ」


戦闘や月での気温を考慮すると、全て都合よく出来ている格好と言うわけだ。


「四天王のあなた達の格好もどうなってるのか気になってたのよ!通気性とか、動きやすさとか!」


キラキラとした目でお願いされる。勉強熱心なのは良いが、大した作りでは無いので困る。


「これも動きやすいよ。まぁ、セーラースーツとは違って全シーズンに対応してる訳では無いから、四季に付き変えているけど」

「そうなのね。今度、あなた達の服装の研究を、是非させて欲しいわ」


彼女の研究からは逃れられそうもない。

そう悟った日だった。





おわり


20220404 四四の日の書き下ろし



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