セラムン二次創作小説『どんな些細な事でもあなたは……(ネフまこ)』




まことと付き合って何度か家に訪れたある日、勇人はポツリと呟いた。


「この家の間取りって、まことにとって使いやすそうに出来てるよなぁ……偶然か?」


まさか家についてそんな風に見られているとは思ってなかったが、まことは気づいて貰えたことに嬉しくなった。


「いや、偶然じゃないよ」

「あ、やっぱり?何となくそうかなと思ったんだよな。使い勝手良さそうに出来てる」

「拘ったんだ。気づいて貰えて嬉しいよ」

「俺、よく気づくだろ?理想の彼氏!」

「自分で言うか」


何気なく気づいたこともキチンと声にして伝えてくるのは勇人の気遣いだろう。

本人の言う通り、どんな些細なことでも気付き、それを伝える。それが当たり前のことで、今までも自然としてきたことが、やはりこうしてまことにとっても嬉しいことだったりするのだ。


「うさぎ達には何も言われた事ないし」

「え、そうなのか?」

「気づいているのかさえ分からないけど」

「気づいていたら言うだろ?何でも言いそうだし」

「……確かに」


何度もまことの家を訪れているうさぎ達だが、彼女達の口から勇人の様な質問はされたことがなかった。

何でも言える間柄を築き上げている関係性ゆえ、気づかず今まで来ているのだと指摘されて、単純に同調した。


「でも、よく分かったよなあ」

「おう!ベランダは広くてガーデニングや家庭菜園にあっているし、キッチンはコンロが三つ。絶対ここの二つは譲れない拘ったところだろ?」


ドヤ顔で語る勇人は、絶対的自信に満ち溢れていた。

まことのことは何でも分かる。何でもお見通しだと言わんばかりの自身だった。


「ご名答!完璧な答えだ。この二つは譲れない条件で、色んな所に内見に行って納得いった物件に出会うのに苦労したよ」


麻布に引っ越す。引っ越さなければと引き寄せられるようにやって来た地だったが、それでも住む家には拘りたかった。

一人暮らしだけれど、自分が快適で使い勝手がいい方が住んでいて楽しい。決して住めればどこでもなんて考えは無く、兎に角楽しい一人暮らしを心がて探した。


「高いところにも住めないし、マンションでも住める階が限られていて、中々納得出来る所が無くて苦労したよ」


もう三年も前の事だが、昨日の事のように思い出していた。探す苦労をしたのも今ではいい思い出となっている。


「そっか。セキュリティもしっかりしてるしな。安心だ」


麻布と言うセレブの街。格安マンションでもオートロックでセキュリティは万全を期していた。


「それもありがたかった。まあ強盗が入ってもこの鍛えた腕で倒せるけどな。戦士でもあるし」


マンションを契約した時はまさか自分がセーラー戦士で強敵で戦うことになるとは思わず、オートロックは必要なかったかもしれないと思った。


「まことは戦士でも女だ。オートロックは必要だろ」

「だな」

「じゃあ結婚してもここに住むか?二人で住むには充分広いし」

「一軒家がいいなぁ。もっとデカいキッチンで、広い庭で、そこでちょっとしたカフェ開いたりしてさ」

「お、いいねぇ。その夢に乗った!」


二人はごく自然にお互いがいる人生を幸せそうに語り合った。





おわり


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